集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法は憲法違反だと住民が訴えている裁判で、一審二審ともに敗訴した原告の住民側は、19日までに上告を断念しました。「最高裁判決が確定した場合、今後の平和運動への影響が大きい」と判断したということです。

この裁判は、集団的自衛権の行使を可能にした2015年の「安全保障関連法」は違憲で、平和的に生きる権利などが侵害されたとして福島県いわき市の住民170人が国に対し1人1万円の損害賠償を求めていたものです。

一審の福島地裁いわき支部は去年2月、憲法判断を示すことなく原告の訴えを退けました。

12月5日、二審の仙台高裁も「安保関連法で集団的自衛権の行使が認められるのは限定的な場合で、明確に憲法違反だとは言えない」などと初めて憲法判断に踏み込んだものの原告の控訴は棄却しました。

仙台高裁

判決について原告の住民側は、「政府の行為の追認」などと述べ批判していましたが、最高裁への上告は断念することを決めました。「政府の見解を追認するような判決が最高裁判決で確定した場合、今後の平和運動に及ぼす影響が大きい」などと判断したということです。