■「1人100万持って行くとして、1000人で…」

思えば、文鮮明氏も韓鶴子氏も北朝鮮出身。旧統一教会と北朝鮮が深い関係であっても不思議ではない。統一教会側は文鮮明氏生誕の地を、北朝鮮から99年の租借地として認めさせ、世界平和公園として一大リゾートとして整備する予定だったという。しかし、租借まではできたものの、文鮮明氏の生誕地を開発することは許さなかったという。

チェ・ジェヨン牧師
「その地に実際行ってみると何も開発されてなくてただ生家だけがきれいに立て替えられ残りは手つかずのままなんです。なぜなら“首領”は一人で、北朝鮮は、やすやすと認めないから。太陽は二つはありえない。北朝鮮は緩急をつけていたということです」

しかし、ほぼ何もない場所に信者を連れた生地巡礼ツアーは行われ、日本から信者を連れていき多額の献金は集められていたという。


弁護士 渡辺博氏
「生地巡礼ツアーが90年代から行われて、日本人信者が年間1000人参加した。ツアーに行くだけじゃダメで、ちゃんと献金もしてくる。そのお金は生誕の地に捧げるという名目で北朝鮮に届く。1人100万持って行くとして、1000人で結構な金額ですよ。それをずーっと続けてた。10年くらい・・・」

1000人が100万円とすると毎年10億円。それを10年として100億円。その金は北朝鮮側に渡っていたとみるのが普通だろう。こうした多額の金が何に使われたのだろうか…

■北の潜水艦SLBMの開発にも旧統一教会が

旧統一教会と北朝鮮そして兵器開発…。この3つをつなぐ可能性のある出来事が94年にあった。ロシアから北朝鮮にミサイル発射装置が付いたままの潜水艦が売却される際に仲介していたのが東京杉並区にあった小さな商社。潜水艦を“鉄くず”と偽って申告して取引を成立させていたのだ。社員は4人。全員が旧統一教会の合同結婚式に出ていた信者だったのだ。これを取材していたのは前参議院議員でジャーナリストの有田芳生氏。

ジャーナリスト 有田芳生氏 
「びっくりした。家の近所だったので自転車で言ったらアパートの2階の一室なんです。(中略)韓国で入手した名簿に合同結婚式の名前があって4人が一致した。そこからが始まり」


旧統一教会はこの会社との関係を否定、この時も警察は刑事事件にできずに終わっている。しかしこの取引について韓国の国防部は2016年、北朝鮮がSLBM潜水艦発射型弾道ミサイルを打ち上げた際にこのロシアから統一教会の信者が仲介して北朝鮮の手に渡った“鉄くず”が、開発の元になっていたという報告を国会で行っている。

北朝鮮に流れる旧統一教会の資金。もとはと言えば日本人からの献金がほとんどだが、資金や、関係性が北の兵器開発に利用されていたとすれば、言語道断である。日本の保守政治家が中心になって徹底的な解明をしてくれるよう望みたい。

BS-TBS 『報道1930』 10月12日放送より)