■単身赴任の間に妻が信者に…息子を放置し教団活動に没頭
自ら命を絶った信者2世もいる。橋田達夫さんが向かっているのは、2年前に自殺した長男の墓だ。
橋田達夫さん
「辛いです。まだ生きているような感じがいつもする。3日に1回ぐらい彼の夢を見る」
信者の妻が高額献金したことで山上容疑者のケースと同様、家庭崩壊に追い込まれたという。橋田さんは1983年に結婚。結婚の翌年に長男が生まれた。だが結婚から6年後、橋田さんの家庭に異変が起きた。
橋田達夫さん
「子どもが小学校一年生のときに大阪にいた。先に僕は転勤していて、後で(元妻たちが)来たんですよね。そうしたら毎日毎日、(元妻が)どっか行くと思って。そしたら教団の施設なんです」
きっかけは妻の入信。大阪に単身赴任中、高知の自宅に統一教会の信者が訪れ妻を勧誘したという。この時、入信について妻から何も知らされていなかった。
橋田達夫さん
「(妻が)家の中のお金を持ち出す」
村瀬健介キャスター
「具体的に把握されているものは?」
橋田達夫さん
「壺、印鑑、高麗人参、もうフルコースです」
教団活動に没頭していたという妻は本部がある韓国にも行くようになり、自宅を留守にすることが多かったという。
橋田達夫さん
「(小学生の)子供が修学旅行に行くときにも(元妻は)韓国行っていない。じゃあその支度は誰がしてあげる?って。僕はアイロンをかけられない。結局親戚を頼った」
村瀬健介キャスター
「アイロンをかけてもらいに?」
橋田達夫さん
「そうそう。もうシワシワで行かすわけにいかんしね。修学旅行ですからね。だからもう青春どころじゃなかったと思います、息子は」
長男の目の前で夫婦喧嘩を繰り返すようになっていったという。これはその喧嘩で壊れた橋田さんの眼鏡。近所の人たちも一家の異変に気付いていた。
●近所の人
「外からでも聞こえるくらいの大きな音もしてたと思うんですけど。道を通る人が慌てて警察に電話した」
■不登校の息子のため…信者の妻「救うために悪霊が憑いている田んぼを売る」
韓国や教会に通い家をあけることが多い妻。中学1年生で長男は不登校になった。妻は長男を救うことを理由に所有している田んぼを売ると言い始めたという。
橋田達夫さん
「(土地を)売るって言い出した。子どもに悪霊が憑いてるから」
村瀬健介キャスター
「田んぼに悪霊がついてる?」
橋田達夫さん
「田んぼに悪霊がいるから、子供がおかしくなっていると。名義を変えたら子供は治ると」
妻は土地売却で得た1000万円を手にした直後、家族を置いて韓国に・・・。それとは別に2000万円を持ち出したこともあったという。橋田さんは離婚。子供たちは妻のもとに留まり橋田さんは家族が暮らす家の近くの倉庫で一人、暮らすようになった。
■息子が自殺…「元妻が脱会しないと無理」弁護士・警察に取り合ってもらえず
そして、長男が36歳になった、2020年・・・
橋田達夫さん
「サイレンが鳴った。(自宅で)煙があがった。これはうちじゃないか?と帰ってきたらもう警察が全部入ってました」
長男は焼身自殺をした。場所は扉を開け自宅に入ってすぐの庭。
橋田達夫さん
「ここは長男が亡くなったところです」
周りの柱などが焼け焦げている。さらに納屋には・・・
橋田達夫さん
「これは長男が乗っていた自転車です。後ろが焼けた跡です」
橋田さんは、長男の遺品を見せてくれた。
橋田達夫さん
「これだけ焼けてなかった」
村瀬健介キャスター
「お父さんそれ大切に持っている」
橋田達夫さん
「もうずっと。彼が最後まで持ってましたのでね。もうかわいそうなんだ本当に」
村瀬健介キャスター
「やっぱり焼け焦げてしまっていますね」
橋田達夫さん
「でも、警察もよくこれだけ残ってくれたと」
財布の中には診察券と小銭など5000円余りが入っていた。長男は自殺の2年ほど前から暴力的になり、母親を殴ることもあったという。
村瀬健介キャスター
「ご長男が亡くなった原因はどこにある?」
橋田達夫さん
「やっぱり母親がずっと教団に行って朝から晩まで。悪霊がいるとか、そんなことばっかり彼女は子供に伝えていきますのでね。やっぱり心も歪む」
教団に家庭を破壊されたと訴える橋田さん。これまで警察や10人以上の弁護士に相談したが、取り合ってもらえなかったという。
橋田達夫さん
「身内・家族のことだからと。僕が被害者で訴えても元妻が脱会しないと無理だと言われた」
村瀬健介キャスター
「30年間苦しかったですよね」
橋田達夫さん
「もうなんとも言えません。言葉にはもう出ませんね本当に。本当に高知の教団、本当にもう恨みどころじゃないないんですよね。きちんとけじめをつけてもらいたい」
■「対応したい」と回答するも…
高知の教団に対し、自ら赴き何度も返金を求めてきたという。この日も電話で・・・
橋田達夫さん
「本当にうちはね。お金ももっていかれた。もう大変な思いをして君らに僕は何回も言うたやんか。長男も自ら命をたった。本当に君たちに僕の気持ちもわかってほしいしこの恨みを解いてほしい」
橋田さんは電話の相手に外に出てくるよう頼んだ。