大阪から香港に向かう路線は、LCCの便が多くある一方、大手航空会社ではキャセイパシフィック、ANA、そして、エアインディアが就航する。エアインディアは、大阪と香港いずれも火・木・土曜日に出発する週3日運航で、大阪発は香港とデリーを経由するムンバイ行き。インドのフラッグシップである航空会社、機内食はもちろんインド料理を楽しみにしていた。

  • エアインディアの日本路線には787-8が投入されている

    エアインディアの日本路線には787-8が投入されている

スターアライアンスに属するインドのフラッグシップ

エアインディアの使用機材は、ボーイング社の787-8ドリームライナー。ビジネスクラス18席、エコノミークラス238席の2クラス制となっている。シート配列はビジネスクラスが2-2-2/エコノミークラスは3-3-3で、ビジネスクラスのシートはフルフラットである一方、エコノミークラスはシート・ピッチ=足元のスペースが33インチ(約83cm)で十分な広さ。日本語を話す客室乗務員は行き・帰りとも見かけず、インド人のみのようだった。

今回の航空券は、エアインディア公式サイトから直接購入。ずっと英語のみで日本語のページが見当たらなかった。英語がある程度できないと、ハードルがやや高いかもしれないが、出発の大阪・関西空港では日本人スタッフがチェックインカウンターや搭乗口などで対応してくれる。ANAなどと同じ航空連合「スターアライアンス」に加盟し、予約クラスによってはANAのマイルを積算でき、スターアライアンスの上級会員だと優先搭乗やラウンジ利用なども可能だ。

  • 大阪から香港、インドのデリーを経由してムンバイに向かう路線

    大阪から香港、インドのデリーを経由してムンバイに向かう路線

スパイス香る機内で「マハラジャ君」がお出迎え

関西空港はまだ日本だが、搭乗口の周りにいる乗客はインド人と中国人がかなり多く、日本人がとても少なかった。早くも異国情緒が漂っていた。

そして、機内に入った途端、噂通りの「スパイス」の香りがした。これまで787-8には多くの航空会社で搭乗してきたが、ここまでスパイスの香り漂う経験はもちろん皆無。また、シートや床の絨毯はエアインディアのカラー、そして、エアインディアのマスコットキャラクター「マハラジャ君」がデザインされたシートのヘッドレストもいくつか見かけ、まさに「乗った瞬間から、インド」だった。

  • エアインディアのエコノミークラス。シートや絨毯もコーポレートカラー

    エアインディアのエコノミークラス。シートや絨毯もコーポレートカラー

ほぼ定刻での離陸後しばらくして、ウェルカムドリンクのサービスが始まった。定番のピーナッツが配られ、オーダーすればビールも無料で提供されるようだ。

  • 離陸後、機内食の前にウェルカムドリンクが提供される

    離陸後、機内食の前にウェルカムドリンクが提供される

チキンとカレー、本格インド料理が登場

そしていよいよ、機内食のワゴンが回って来た。日本食もしくはチキンカレーの2択で、迷うことなくカレーをチョイス。周りを見るとやはり、ほぼ全員がカレーを選んでいた。機内に漂うカレーとスパイスの香りが一層強烈になったのは言うまでもない。

トレーの蓋を開けると、カレーとスパイスの匂いが真っ先にフワッと伝わってきた。チキンと野菜、そして米も細長いインディカ米を使う、まさに本格仕様。その他、パン(バターロール)、スティック状の野菜、チーズケーキというメニューだった。

  • インドカレーの機内食はもちろん、ベジタリアン仕様だ

    インドカレーの機内食はもちろん、ベジタリアン仕様だ

カレーはよく見ると、右にチキンで左に野菜と、両方が味わえるようになっていた。気になるカレーの辛さは、意外なほどマイルドである一方でピリ辛感もあり、日本人の味覚にも合う絶妙な味付け。鶏肉は柔らかくて食べやすく、野菜もオクラやジャガイモなどたくさん入っていて、ボリューム的にも十分。何より、インドカレーはインディカ米に限ると言っていいほど、最高の組み合わせだった。

  • チキンと野菜、両方のカレーが一度に味わえるのもいい

    チキンと野菜、両方のカレーが一度に味わえるのもいい

ちなみに、香港発大阪行きのフライトでは「中華かオムレツか」の2種類しか選べなかった。「ベジタリアンメニュー(インドカレー)をください」とお願いすると、「もし余ったら」という条件付きだったがどうも余りがなく、中華となった。これはこれでおいしかったが、せっかくエアインディアに乗るならばインドカレーをぜひ味わってほしい。

食後のドリンクは、コーヒーか紅茶。ポットを手にした客室乗務員が回ってくる。それ以外の時間帯でも、ギャレーに行って頼めば、ソフトドリンクも含め何種類でももらうことが可能だ。せっかくなのでインドらしくチャイを飲みたかったが、この路線では提供されていないようだった。

  • 離陸前にもらった紅茶は、エアインディアの紙コップに入っていた

    離陸前にもらった紅茶は、エアインディアの紙コップに入っていた

最新のシートながら汚れも……食後は昼寝タイム

エアインディアの大阪=香港線のフライト時間は3時間40分。最新鋭の787なだけあって、タッチパネル方式のIFE(機内エンターテイメント)がエコノミークラスでも装備されている。日本語メニューはないものの、映画ではハリウッドの最新作や往年の名作、インド映画などを観ることができる。シートごとにUSBポートやユニバーサル電源があり、スマートフォンやタブレットなどで充電の心配をせずに済むのもありがたい。

  • エアインディアの787-8は同社最新のIFEが全席装備

    エアインディアの787-8は同社最新のIFEが全席装備

ただ、USBポートが壊れていたり、タッチパネルがうまく作動しなかったりすることがあった。この日の搭乗率は3割ほどだったので、シートを移動することで問題解決できたが、シート周りで細かい汚れなどもかなり多く、787を導入してまだ3~4年とは思えないほど、清掃が行き届いていないところがかなり散見された。機内に漂う独特の"匂い"とともに、神経質な人だと辛いかもしれない。

機内食の後、機内の電源が落とされて「お休み」モードになるのも驚いた。14時過ぎに出発して17時頃に到着するフライトで、他社路線のこの時間帯で真っ暗になった経験はゼロ。窓も暗くなってしまい、787特有の電子シェードも操作できない状態となった。最初は映画を観たり本を読んだりしていたが、シートが3席とも空いていたので仕方なくゴロンと寝転がってうたた寝した。ブランケットは提供され、枕も頼めば貸してくれる。

まさに食後の昼寝タイムを経て、香港には30分も早着した。その着陸直前、窓の外には見事な青空と香港の中心部が見えたのも良かったが、ガラスが薄汚れていたのが残念で、機体の外もあまり清掃していないようだった。

  • 香港着陸直前には窓の外に香港の中心部が見えることも

    香港着陸直前には窓の外に香港の中心部が見えることも

エアインディア、実は20年ぶりの搭乗で、機内でのハプニング等は相変わらずだと感じた。ただ、この機内食をエコノミークラスで味わえるなら、またエアインディアに乗って香港に行く選択肢もアリと思えたほど、個人的には許容範囲。日本から香港に向かう航空券の価格も時期によってはかなり安く、スターアライアンスでの恩恵もいろいろと受けられるのもいい。インドをグルメと合わせて機内でプチ体験したい人にはオススメだ。

※記事中の機内食は、2018年5月の大阪(関西)=香港線で提供されたもの