昨年後半から低迷を続けていたグラフィックス・チップの出荷量が、09年第2四半期に前期比31%の伸びとなった。グラフィックとマルチメディアを専門とするリサーチ会社Jon Peddie Research (JPR)の最新のグラフィックス市場推測データで明らかになった。

JPRによると、不況の長期化を予測した流通側からの発注が昨年第3四半期に止まり、在庫削減だけの状態が続いていたが、今年第1四半期にわずかながら上向きに転じる兆候が見られた。それが第2四半期には回復が明らかな数字となって現れた。夏の休暇と秋の商戦への準備が重なる第2四半期は前期よりも出荷数が減少するのが例年だ。ところが今年の第2四半期の出荷数は9,830万ユニットで、前期の7,487万ユニットから31.29%増。前年同期の9,442万ユニットと比べても4%増である。「通常の季節的な傾向に反してベンダーにとって良好な第2四半期になった。これは活気のあるバックトゥスクール・シーズン (米国で新学年が始まる前の7-8月)に向けて流通側が準備していた現れだ」としている。

ベンダー 09年2Q シェア 09年1Q シェア 成長率 08年2Q
AMD 18.13 18.4% 12.81 17.1% 41.5% 17.11
Intel 50.30 51.2% 37.20 49.7% 35.2% 44.67
NVIDIA 28.74 29.2% 23.26 31.1% 23.6% 29.63
Matrox 0.06 0.1% 0.07 0.1% -6.2% 0.10
SiS 0.40 0.4% 0.70 0.9% -42.9% 1.90
VIA/S3 0.67 0.7% 0.84 1.1% -19.5% 1.00
合計 98.30 100.0% 74.87 100.0% 31.3% 94.42

ベンダー別では、コストパフォーマンスの高さが評価されているAMDと、統合グラフィックスに強いIntelが第2四半期にシェアを伸ばした。

バックトゥスクール・シーズン向けの流通の動きから「在庫が停滞する最悪の状況は脱した」とJPR。「第3四半期中または第4四半期には通常の季節的な傾向に戻るだろう。景気減速前の水準に達するのは2010年以降になる」とした上で、今年後半にPCおよびグラフィックス市場が着実に上向くと予測する。繰延需要に加えて、ホリデーシーズンに向けてMac OS X Snow LeopardとWindows 7が登場する。また「ATIとNVIDIAが40nmデザインによるハイパフォーマンス製品をアグレッシブな価格で出してくるだろう」と予測。特にグラフィックスはPC産業だけではなく、航空宇宙や車載機器、産業機器、医療システム、キオスク、POS端末など幅広い分野に影響が及ぶと指摘。こうした要因から「回復について、われわれは楽観的だ」としている。