さよなら。ありがと。バニラビーンズ、最後まで“らしさ”貫いたラストワンマン「アデュー」

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バニラビーンズが10月6日に東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEで解散前最後のワンマンライブ「バニラビーンズ ラストライブ -adieu-」を開催した。

バニラビーンズ

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バニラビーンズ

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2007年10月3日にデビューしてから11年にわたって活動を続けてきたバニラビーンズ。翌7日のライブ企画「T-Palette Records Presents バニラビーンズに感謝祭 ~Final Innocence~」をもって解散することが決定していたことから、6日の渋谷duo MUSIC EXCHANGE公演は2人にとって最後のワンマンライブとなった。チケットが完売となり、1階フロアはバニビの解散を惜しむファンで埋め尽くされ、2階席エリアにも多数のゲスト、関係者が集まり、レナとリサの勇姿を見届けた。

レナ

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ラストライブはこれまでのステージと変わることなく、オープニングSE「VanillaBeans」が流れる中、スタート。バニビはゆっくりとステージ中央に立ち、別れをテーマにしたナンバー「Say Goodbye」を1曲目に届けた。MCでは湿った雰囲気もなく明るい調子で「バニラビーンズは解散します!」と伝えられると、フロアからは「ええええー!」と惜しむ声が。レナは「短い時間ではないけど、あっという間の時間を最後まで楽しんでいってください」と呼びかけ、セットリストがこれまでの活動を振り返る内容であることを明かした。バニビはその言葉通り、序盤で2007年のデビューシングル「U▽Me」、3rdシングル「サカサカサーカス」と初期ナンバーを歌い、マネキンのようなポージングで観客を魅了していく。また多くの観客が集まったことに2人は「今までどこに隠れていたんでしょうかね」「2階席も床が抜けるくらいの関係者が……」「床が抜けたら面白いね」「メガネ率高くない?」と観客や関係者をいじるなど、普段通りのトークで会場を笑わせた。

リサ

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続けて2人は初のテレビ出演を果たしたカジヒデキ作詞の「LOVE&HATE」、映画「腐女子彼女。」の主題歌に採用された「恋のセオリー」、健康的なワキ見せポーズが印象的な制汗剤のCMソング「D&D」の3曲を披露。デビュー時から在籍していた徳間ジャパンから発表されたナンバーに懐かしさをにじませつつ、2社目のT-Palette Recordsに移籍して最初にした活動は東京・タワーレコード渋谷店のエントランスとトイレの清掃作業だったことを振り返った。また次に披露された曲は2ndシングル「ニコラ」の続編にして、Tパレに移籍したばかりのタイミングで発表されたナンバー「エルスカディ」。普段なかなか披露する機会がなかったが、リサの希望で今回セットリストに加えられたというこの曲のあとには、2012年発表の5thシングル「トキノカケラ」、モータウン調のポップな6thシングル「チョコミントフレーバータイム」と続ける。さらに6thシングルのカップリング「ひとつのうた」ではこの日初めてレナとリサがマイクスタンドよりも前に立って観客との一体感を高め、アッパーチューン「ノンセクション」まで一気に5曲を畳みかけた。

バニラビーンズ

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ライブ中盤、2人はTパレには“レンタル移籍”という形で4年ほど在籍していたことを話し、リサが「何が“レンタル”だったのかイマイチわからない」、レナが「私たち、芸が細かいんだよね。“レンタル”の前に“北欧”の設定って? (解散にあたる言葉として)“帰国”って?」とユニットの設定について言及。さらに「これから何か始める人にはオススメしません。設定にはお気を付けください」「このご時世、わかりやすくないと。皆さんはわかりやすく生きてください」とバニビとして得た教訓を説いて笑いを誘った。そして2人はライブ後半に活動後期にあたる楽曲群を立て続けに披露することを宣言。その言葉通り、カジヒデキによるプロデュース曲「マスカット・スロープ・ラブ」や、「プリーズミーダーリン」「ワタシ…不幸グセ」「きっといい場所」「有頂天ガール」と連投してにぎやかな空間を作り出した。

バニラビーンズ

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2013年に「SUMMER SONIC」に初出演した際のメイン仕事がMCだった思い出や、当時発売前でミックスすら終わっていない状態の「有頂天ガール」を「イナズマロック フェス 2014」で披露した記憶などを振り返ったバニビ。2015年に3社目となったエイベックスにレーベルを移籍したことを回想したあと、2人は再々移籍第1弾シングル曲の「女はそれを我慢しない」や、「バニラビーンズはこんなカッコいい一面もあったんだよ」という思いからセットリストに加わったという情熱的なナンバー「ビーニアス」などをパフォーマンスした。

ラストライブはいよいよ終盤へ。2人は2017年10月から全国タワーレコード縦断ツアーを行ったことや、2018年9月にラストシングル「going my way」をリリースできたことに感謝の言葉を伝え、同シングルのカップリング「ラストソング」は今までにあまりなかった「ありがとう」と伝える楽曲であることを説明した。「(バニビは)歌で別れ言いがち」というリサの鋭い指摘もありつつ、レナが「ちゃんとありがとうっていう、感謝の気持ちを込めて」と述べて、2人はしっとりと同曲をファンに送った。そしてレナが「皆さんが人生の中でバニラビーンズに出会っていただけたことがうれしいです。だって、記憶の中にいるんでしょう。うれしいことだなって」と話し、2人は前向きなナンバー「going my way」を本編の最後に歌唱して、笑顔でステージを去っていった。

バニラビーンズとファン。

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アンコールを求める声に応えて、レナとリサは19時過ぎに再びステージに登場。アンコール1曲目に「東京は夜の七時」をカバーすると、ファンはメンバーへのサプライズで北欧諸国の国旗や日本の国旗、プラカードを持って声援を送った。リサは北欧の国旗の数々に思わず「みんなに(設定を)北欧路線に戻してもらいました」、レナは「(国旗は)どこに売ってるの?」と笑顔でファンに話しかけていた。続けて夏の間に歌い続けていたという思い出深いナンバー「Summer vacation」の歌唱前には、レナが「もうみんなも歳を重ねて記憶力も落ちただろうから、記録してもらおうかな」と撮影許可をファンに与えた。そして「2018年の夏はこの曲を歌い終わった時点で終わりです」と続け、10月にも関わらず夏日になったこの日にぴったりの「Summer vacation」を歌い届けた。

バニラビーンズ

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「本当に本当に次で最後の曲です」「ええええー!!」などと、ステージとフロアのやり取りが繰り広げられたラストライブの終盤。レナが「いつまでもあると思うなお金とバニビ」、リサが「歌でさよならを言うタイプなんで、私たち」と、2人は最後までバニビらしく小気味よいフレーズを交えてトークを展開した。そんなやりとりを経て、最後にバニビは別れと感謝のメッセージが込められた2ndシングル曲「ニコラ」を笑顔で歌い上げ、「以上、私たちバニラビーンズでした。アデュー」と別れを告げてステージをあとにした。終演後、スクリーンには歴代のバニラビーンズの活動を振り返る写真の数々が投影され、最後には11年間応援してくれたファンへのメッセージが掲出された。会場にはバニビへの感謝の気持ちに満ちた、温かい拍手がしばらく鳴り響いていた。

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「バニラビーンズ ラストライブ -adieu-」2018年10月6日 東京都 渋谷duo MUSIC EXCHANGE セットリスト

SE. VanillaBeans
01. Say Goodbye
02. U▽Me
03. サカサカサーカス
04. LOVE&HATE
05. 恋のセオリー
06. D&D
07. エルスカディ
08. トキノカケラ
09. チョコミントフレーバータイム
10. ひとつのうた
11. ノンセクション
12. マスカット・スロープ・ラブ
13. プリーズミーダーリン
14. ワタシ…不幸グセ
15. きっといい場所
16. 有頂天ガール
17. 女はそれを我慢しない
18. ビーニアス
19. 時計じかけのワンダーランド
20. ラストソング
21. going my way
<アンコール>
22. 東京は夜の七時
23. Summer vacation
24. ニコラ

※▽はハートマーク。

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みねわきファクトリー(拳) @mine_ik

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