「講談社 学習まんが 日本の歴史」特集|崎山つばさが“日本一生徒数の多い社会科講師”伊藤賀一に聞く、大人になって初めて目覚める「日本の歴史」の魅力

誰もが学生の頃に一度は手にとったことがあるだろう、“マンガで描かれた日本の歴史”。文字と年代だけで味気なかった歴史が、マンガのなかでは生き生きと輝きだし、夢中で図書室に通ったことを思い出す人も多いはずだ。

この夏、「講談社 学習まんが 日本の歴史」全20巻が発売された。古代から令和までを網羅しており、受験勉強のみならず、大人になってから歴史の面白さに目覚めた人にも心強い友となるだろう。コミックナタリーでは発売を記念して、歴史をテーマにした舞台に数多く出演する俳優・崎山つばさと、カリスマ歴史講師・伊藤賀一の初対談を実施した。知ればもっと好きになる、日本史にまつわるエキサイティングなエピソードとライフハック、そして崎山の役作りにかける情熱を堪能してほしい。

取材・文 / 的場容子 撮影 / 武田真由子

「まんが日本の歴史」とは

「講談社 学習まんが 日本の歴史」ビジュアル

最新研究にもとづいた歴史マンガ

ベストセラー「応仁の乱」著者の呉座勇一をはじめとした歴史研究家が監修を務め、古代から令和まで網羅。日本史をまるごと理解できる。

「講談社 学習まんが 日本の歴史」

実力派マンガ家が全ページ完全執筆

寺沢大介、井上正治、池沢理美、神宮寺一、咲香里、飛鳥あると、石垣ゆうき、山本航暉、沢田ひろふみ、能田達規、いわや晃、山下てつお、西山優里子、三枝義浩といった執筆陣が全ページ描き下ろし。また表紙も執筆している。

難関大学受験対策レベルの情報量

「なぜ起きたのか」を考えさせる1話ごとの扉や3600本のマメ知識、理解を深めるための最新研究などのコラムを収録。受験対策にも最適な豊富な情報量。

全20巻セットには勉強に役立つ豪華特典

歴史人物データカード全120枚

日本の歴史の最重要人物120名の年代、主な出来事や活躍といった主要データをコンパクトに解説。

「日本史重要人物」イラスト年表

カードに登場した全人物の活躍や出来事を1枚にまとめた年表。

オリジナル「三英傑」不織布トートバッグ

石垣ゆうきの描く織田信長、豊臣秀吉、徳川家康のイラストと家紋入りの不織布トート。全20巻ボックスがすっぽり収まるサイズ。

「講談社 学習まんが 日本の歴史」

対談

歴史という科目をもっとカラフルに!

左から崎山つばさ、伊藤賀一。

──今日は「講談社 学習まんが 日本の歴史」(以下「まんが 日本の歴史」)の発売を記念して、日本史に深い縁を持つ伊藤賀一先生と崎山つばささんにお越しいただきました。まず、崎山さんのこれまでの人生の中で、「日本の歴史って面白いな」と思った瞬間について教えてください。

崎山つばさ 興味を持つようになったのは大人になってからです。小・中学生の頃は、年代を覚えないといけなかったり、どちらかというと堅苦しいイメージがありました。だけど大人になり、お芝居などで日本の歴史をテーマにしたものに関わるようになってからは、歴史や人物を紐解いていく時間がすごく好きになりました。

──なるほど。崎山さんは歴史をテーマにした舞台への出演も多いので、そうした機会も多そうです。一方で、伊藤先生は日本史教育をなりわいとされていますが、それはどんなきっかけからだったのでしょうか。

伊藤賀一 僕は京都出身で、土地柄、日本史が身近だったというのが大きいです。しかも、京都の中でも壬生(みぶ)という、新撰組の本拠地の出身なんです。だから子供のときは、世代でいうと「ウルトラマンごっこ」や「仮面ライダーごっこ」をやるはずなんですが、壬生だと「新撰組ごっこ」もあるんですよ。

崎山 面白いですね!

崎山つばさ

伊藤 自分の住んでいる地域が歴史に出てくる地名なので、歴史に興味持たざるを得ないんです。ただ、先ほど崎山さんがおっしゃっていたように、日本史ってやっぱり「暗記が必要で大変」というイメージがあったり、あとは教科としてのカラーが黄土色とか茶色とか……ちょっと堅苦しいイメージなんですよね。

崎山 確かに。僕も学生時代、日本史はCampusの茶色のノートにしていました。

伊藤 そうですよね(笑)。だから、僕が歴史の講師という仕事に就いたときに思ったのは、「歴史という科目をもっとカラフルにしよう」ということだったんです。

崎山 素敵ですね。

歴史を学ぶ意義──人生で大切な3つのことが身につく

──少し前に、伊藤先生がTwitterで受験生に向けて発信されていた内容が印象的でした。「受験生へ。歴史を学ぶと……①いま・ここの常識は唯一絶対のものじゃない、②どんな有名人でも名もなき人でも人生は一度きり、③人は必ず間違う、という3つが心底理解できるから素晴らしいんだよ。人の弱さを解ってやれる強い人になってください。がんばろうね。」歴史を学ぶことの意義が凝縮されているように思います。このつぶやきの背景には、どんな思いがあったのでしょうか。

伊藤 歴史って、ちょっと学ぶ前のハードルが高いんですよね。受験生にもそうでない人にも、そのハードルを超えてもらいたいと思っての発言でした。勉強してもらおうと思うと、モチベーションを上げないといけない。そして僕は、大学に行くために勉強しようと決めた人に対して勉強を教え、合格をさせないといけない仕事です。そう考えると、まずモチベーションを上げることが、この科目ではいちばん大事なんですよ。

崎山 なるほど。

伊藤 歴史という科目は、好きになればひとりでに走り出すような、言ってみればチート科目や、息抜きの科目になる可能性もあるんです。だから、「なんでこんなものを覚えないといけないんだ?」という壁を取り払うために、学ぶ意義を3つ提示しました。

──そうだったんですね。

伊藤 あのツイートでは、きれいごとを言っているようにも見えるかもしれないのですが、実際リアルなことなんですよね。1つ目、常識はまず国によって違うし、常識も世の中も、すごいスピードでどんどん変わる。新型コロナウイルスでは余計変わっちゃいましたよね。それから2つ目、織田信長のような有名人でも誰でも、がんばったって人生1回だけなわけです。

崎山 本当にそうですよね……。

伊藤 それと、3つ目「人は必ず間違う」。歴史って、ほぼ人間の間違いと失敗の歴史なんですよね。

崎山 (深くうなずく)

左から崎山つばさ、伊藤賀一。

伊藤 間違いと失敗が積み重なって、反省しながら前に進んでいるわけです。だから、生徒さんには失敗に寛容になってほしいんです。今、みんな厳しすぎるというか、他人をやたら攻撃する風潮がある(笑)。でも、こんなすごい人たちですら何かしら絶対にすごい失敗をしていて、逆に言うとだからこそ歴史に残ってるんです。歴史を知って「人は必ず間違う」ことを知っていれば、人に優しくなれると思うんです。

崎山 面白いです……! 僕、大学生の頃に通っていた塾のお手伝いで、講師として小学生に社会を教えていたことがあったんですが、今の伊藤先生の話を聞いてからやりたかったですね(笑)。

伊藤 社会科ですか! 珍しいですね。

崎山 僕も楽しく覚えてもらうことをコンセプトにやってはいたんですけど、そもそも「どうして覚えないといけないのか」から入ったほうが、教えてもらう側のハードルを上げずにできたんだろうなと、今のお話を聞きながら思いました。