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報告数の25%が50歳以上と「予想以上に高い割合」
定期接種化で小児の水痘入院例が大幅に減少
VZV-IgG抗体保有率は90%以上のはずだが…

 昨年10月に定期接種化された小児の水痘ワクチンの効果により、定期接種化される前と比べて0~3歳の入院水痘報告数が42人から12人(定期接種後3カ月時点)と大幅に減少したことが5月26日、明らかになった。国立感染症研究所感染症疫学センターの森野紗衣子氏が、国立感染症研究所病原微生物検出情報(IASR)で報告した。

 水痘は、水痘帯状疱疹ウイルスVaricella zoster virusVZV)により起こる急性の伝染性疾患のこと。毎年12~7月に多く、8~11月には減少する傾向があり、罹患患者の大半を9歳以下の患者が占める。昨年10月に水痘ワクチンが生後12カ月から36カ月を対象に定期接種化されたのを契機に、11月ごろから小児科定点報告数が減少。2015年は過去10年で最も少ない報告数で推移している。

 今回、森野氏らが報告した内容によると、2014年9月19日~2015年4月26日に感染症発生動向調査に基づいて報告された入院水痘症例は231人。年齢中央値は26歳で、このうち0歳、1歳が各19人(各8.2%)と最も多く、その割合は学童期にかけて減少。50歳以上が58人(25.1%)となった。

 診断時期に基づき、報告数を2014年第38~52週(15週間)、2015年第1~9週(9週間)、同第10~17週(8週間)に分けて年齢分布を比較したところ、0~3歳の割合は2014年第38~52週の29.6%から、2015年第10~17週では8.6%と大幅に減少(図1)。一方20~40代の割合は、30.3%から40.0%に増加していた。

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