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G7サミット、途上国の経済活動再開を後押し 背後に中国への対抗心

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G7サミットで記念写真に納まる(左から)ミシェルEU大統領、バイデン米大統領、菅首相、ジョンソン英首相、ドラギ・イタリア首相=英コーンウォールで2021年6月11日、AP
G7サミットで記念写真に納まる(左から)ミシェルEU大統領、バイデン米大統領、菅首相、ジョンソン英首相、ドラギ・イタリア首相=英コーンウォールで2021年6月11日、AP

 英南西部コーンウォールで開催中の主要7カ国首脳会議(G7サミット)は、世界経済の均衡ある回復のため、途上国に対し、新型コロナウイルスワクチンの供給やインフラ整備の支援を強化する方針を示した。途上国の経済活動再開を後押しする狙いだが、背後には「ワクチン外交」などで影響力を拡大する中国への対抗心も透けて見える。

中国の影響力拡大阻止に本腰

 「大事なのは、回復が一様ではなかった2008年の危機時の失敗を繰り返さないことだ。パンデミック(感染症の世界的大流行)の傷が長引けば、不平等が固定化されるリスクがある」。11日のサミット開幕のあいさつで、議長国・英国のジョンソン首相は08年のリーマン・ショック後の世界的経済停滞を引き合いに、G7が格差是正に向けて結束する必要性を訴えた。

 コロナ禍で20年に大幅減速した世界経済は、ワクチン接種の進展や各国の大規模財政政策によって21年は改善傾向にある。しかし、ワクチン確保に苦労している途上国や新興国では、約3分の2の国は1人あたりの所得減少が22年まで解消されない見込みで、先進国との格差が大きな課題となっている。

 そこでまずG7がサミットで具体策として打ち出すのが、途上国などに対する少なくとも10億回分のワクチンの提供だ。ジョンソン氏は10日発表した声明で、G7各国が会合で合意する見通しであることを表明。「我々は来年末までに世界の人々にワクチン接種を行うことができ、コロナ禍からのより良い回復が可能になる」と述べ、大規模なワクチン支援による世界的復興に意欲を示した。詳細な内訳は明らかにしていないが、英国は1億回分のワクチンを途上国などに提供すると表明。米政府も声明に先立ち、8月から5億回分の提供を始めると明らかにしている。

 さらに…

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