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『ガンダムSEED』最終回から20年 「路線変更」重ねるも、不変の「テーマ性」が高評価に

20年前に大団円を迎えた『機動戦士ガンダムSEED』がヒットした要因はいくつもありました。しかし、もっとも重要だったのは、当初から描き続けてきたテーマにあったのです。

時代にマッチした「ライブ感」

『ガンダムSEED』で高く評価された最終回までを収録した、『機動戦士ガンダムSEED HDリマスター Complete Blu-ray BOX』(バンダイビジュアル)
『ガンダムSEED』で高く評価された最終回までを収録した、『機動戦士ガンダムSEED HDリマスター Complete Blu-ray BOX』(バンダイビジュアル)

 2023年9月27日、『機動戦士ガンダムSEED』の最終回であるFINAL-PHASE「終わらない明日(あす)へ」が放送された日から、20年の時が経ちました。2003年当時、多くのファンから注目された最終回は、物語の完結に相応しい感動的なラストシーンを生みます。

『SEED』は当初から、これまでのガンダムファンの年齢層が上がってきたことから、より若い層へのアピールを目的に製作されました。そのことが功を奏してか、小学生から大学生といった学生層を中心にヒットします。

 SDガンダムのヒットから引き継いだガンダムシリーズの新作TVアニメ作品『機動戦士Vガンダム』が1993年にスタートし、後に「平成ガンダムシリーズ」と呼ばれた作品群から約10年後ですから、世代がひと回りしてシリーズの継続には絶妙なタイミングでした。

『SEED』がヒットした要因はいくつもありますが、当時を振り返ってみて筆者が特に思うことは「ライブ感」でしょうか。状況に応じてファンが望む方向に舵を切る感じが成功した一因だと思います。

 作品というものは常に当初予定とは変わっていくもの。時には大胆な路線変更、テコ入れというものがつきものです。そういった点で、ライブ感というものはどんな作品にもあるものと考えられます。『SEED』でそういった部分が成功しているのは、特筆すべき点でしょう。

 たとえば、本来ならば悪役として設定されたイザーク・ジュールの存在があります。声を担当した関智一さんの熱演が、イザークというキャラに単なる悪役以上の魅力を加味させます。その結果、ファンからの人気も高まりました。

 福田己津央監督もこのことを感じて、本来ならば戦死する予定だったイザークを延命させます。最終回までイザークが生きのびたことに関して、「関さんの頑張りだ」と後に語っていました。本来なら生体CPU三人組に撃墜される予定だったはずが、逆にそのうちの2機を撃破するのですから、大金星というものでしょう。

 このイザークと同じく、当初は「キレると残虐になる」と設定されていたディアッカ・エルスマンも物語中盤で味方側の頼もしいキャラとなります。その後のミリアリア・ハウとの関係など、序盤の感じとはだいぶ変わっていました。

 イザークは続編であるTVアニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』でも、味方側としてファンの期待に応える活躍を見せています。2024年1月公開予定の劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』でも大きな活躍があるのか、発売が予定されているぬいぐるみではキラ・ヤマト、アスラン・ザラ、ラクス・クラインに次いで4種でラインナップされていました。

 このように、走り出してから方向を決めるような疾走感のあるスタイルが、学生層という若者の支持を集めたのかもしれません。ファンの気持ちにマッチしたかじ取りが、『SEED』をヒットさせた要因だったのでしょう。

【画像】新作『SEED』劇場版公開で登場、キラ、イザークら4人のぬいぐるみが可愛い(6枚)

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