ソウル雑踏事故、憲法裁が閣僚の罷免認めず 遺族は反発

[ソウル 25日 ロイター] - 韓国憲法裁判所は25日、159人が死亡した昨年のソウル・梨泰院の雑踏事故を巡る責任を問われ、国会で弾劾訴追された李祥敏行政安全相の罷免を認めない判決を出した。
国会は今年2月、弾劾訴追案を可決していた。
憲法裁は「この悲惨な事件は、単一の原因や人物によって引き起こされて深刻な事態になったものではない」とし、異なる政府機関が大規模な惨事に団結して対応できる体制がなかったと指摘した。
憲法裁は、李氏が不適切な発言をしたことは認めたものの、弾劾の理由には当たらないとし、同氏が職務を怠ったわけではないと表明。判決は全員一致だったとしている。
7月25日、 韓国憲法裁判所は、159人が死亡した昨年のソウル・梨泰院の雑踏事故を巡る責任を問われ、国会で弾劾訴追された李祥敏行政安全相の罷免を認めない判決を出した。判決を出した同裁判所の法廷で同日撮影。聯合通信提供(2023年 ロイター)
憲法裁では警察が厳重に警備する中、審理を傍聴していた一部の遺族が判決後に泣き崩れ、2人の母親が倒れて救急車で運ばれた。裁判所前には遺族や支援者が集まり「(李氏の)訴追を免除した憲法裁を非難せよ」と抗議の声を挙げた。
尹錫悦大統領は、李氏の解任を求める野党の要求を拒否していた。大統領府と与党は国会で過半数を占める最大野党「共に民主党」が弾劾を進めるため多数派の権力を乱用したと非難している。
判決後、行政安全省が発表した声明で李氏は、今こそ団結し、事故を巡る「無駄な政争」を止めるべきだと表明した。
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