インド中銀が予想通り25bp利上げ、インフレを警戒  ルピー支援策は解除

[ムンバイ 29日 ロイター] - インド準備銀行(中央銀行、RBI)は29日、政策金利であるレポレートを25ベーシスポイント(bp)引き上げ、7.75%とすることを決めた。ロイター調査では大半のエコノミストが25bp引き上げを予想していた。
中銀は、リバースレポレートも25bp引き上げ、6.75%とした。現金準備率は4.00%に据え置いた。
市中銀行の預金残高に応じて資金を貸し出す制度、MSF(マージナル・スタンディング・ファシリティー)の金利については、ルピー相場の安定化を受け、25bp引き下げ、8.75%とすることを決定。ルピー相場支援のため7月に導入した緊急措置を解除した。
インド中銀は、向こう数カ月の消費者物価指数(CPI)上昇率は「政策対応がない場合」9%を上回って推移すると指摘した。9月のCPI上昇率は前年同月比9.84%となり、8月から加速。9月の卸売物価指数(WPI)上昇率は前年同月比6.46%と予想外に加速し、7カ月ぶりの高水準を記録した。
中銀のラジャン総裁は「WPI上昇率は今年度(2013年4月─14年3月)いっぱい、現在の水準を上回って推移すると予想され、適切な政策対応が必要」との見解を示した。
中銀は、今年度の国内総生産(GDP)伸び率を5%と予想した。前年度の伸び率は5%で、過去10年で最低だった。
DBS(シンガポール)のエコノミスト、ラディカ・ラオ氏は「インフレ率の高止まりが中期的な成長見通しに対する障害になるとみられるなか、今回の中銀の決定は9月に示したタカ派的な政策ガイダンスの続きといえる」と分析。「新たな政策アプローチは、財政政策による支援の有無にかかわらず、インフレ期待の抑制だけに専念するものだ」と述べた。
インドの指標10年債 利回りは中銀の発表前から最大6bp低下し、8.58%。ルピー相場 は序盤の下げを取り戻し、横ばいで推移している。
インド株 は上げ幅を拡大。銀行株指数 は1%超上昇している。
インドの経常赤字と財政赤字に対する懸念と米量的緩和の縮小開始観測を背景に、ルピーは下落し、8月には過去最安値を記録。インド中銀はルピー安に歯止めを掛けるため、7月にMSF金利を200bp引き上げる緊急措置を講じた。中銀はその後、9月20日の政策会合でMSF金利を75bp引き下げ、今月さらに50bp引き下げていた。きょうの25bp引き下げで、レポレートとMSF金利の差は通常の100bpに戻った。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab