Kis―My―Ft2・横尾渉、知識欲に火をつけられた一言「しょせんアイドル…」資格・免許は今やふたケタに

 Kis―My―Ft2の横尾渉(37)の2週連続インタビュー。後編は、今年4月からレギュラーとなったNHK「あさイチ」(月~金曜・前8時15分)の料理コーナー「みんな!ゴハンだよ」や、俳句で才能を発揮しているTBS系「プレバト!」(木曜・後7時)について。現在のマルチな活動を支える豊富な知識を持つようになったきっかけや、デビュー12年を迎えたグループへの思いを語った。

 インタビューを行ったのは5月の「あさイチ」生放送後。手際よくアレンジの利いたレシピを紹介しているが、「料理しながらしゃべるのって難しい」と試行錯誤中だ。「メンバーはデビュー当初から『料理番組やればいいのに』と言ってくれていた。せっかく頂いたチャンス。旬でもあり、冷蔵庫にある食材で作れるレシピを自分なりに思案してます」と、こだわりを明かす。

 料理の腕前や、知識欲を生かして習得した資格・免許は10を超える。

 「全部でいくつあるか分からなくなってきてますね。番組の企画でメンバーと受けた箸検定、あとは1級マグロ解体師、から揚げ検定、和食にすと、ペット介護士、ペット終活アドバイザー、整理収納アドバイザー、簿記、スキューバダイビング…。乗り物も自動車の他にバイク大型、小型船舶2級、水上バイクとかも持っていますね。今では資格は自分の名刺代わりです」

 「勉強は苦じゃない」とひょうひょうと語るが、素顔は熱心な努力家だ。

 「ご飯屋さんで隣に座った方と話すのが昔から好きで。ご一緒した人生の先輩の会話についていけないことも多々あり『しょせんアイドルだもんな』と言われることもあった。『じゃあ全部ついていけるようになろう』と、浅く広くですけど勉強するようになった。テレビや本から情報収集もしますし、タクシーに乗ったら運転手さんとよくしゃべってます。その地域のことを教えてくれるので、すごく面白いんですよね」

 取材中は、料理から派生して気候変動による食材の旬のズレ、日本の農産物の海外需要、政治にまで話題が及び「ごめんなさいね、ぺらぺらぺらぺらと」と、ふと冷静に。記者もつい聞き入ってしまう余談が面白い。

 豊富な知識は、活躍中の「プレバト!」でも生かされている。2015年の初出演時は「学校の授業で数句読んだ程度の超初心者」からのスタートだった。

 「出演が決まってから、分からないなりに句集を読みあさった。だって、バカ丸出しだとキスマイの看板や家族、ファンの顔に泥を塗ることになるから。今も歳時記とにらめっこして、一句作るのに必死です」

 番組の俳句査定では才能をいかんなく発揮し、現在は「名人」ランクで最高位の10段。ジャニーズでは初、番組史上5人目となる「永世名人」の座に王手をかけている。だが、一時はスランプに陥ったという。

 「番組で添削してくださる夏井(いつき)先生に『正直、作り方が分からなくなってます』と相談したんです。そうしたら、先生が僕のマネジャーに好きな食べ物を聞いて『エビフライで5文字、母が作ったで7文字。はい、あと季語入れれば完成! これが俳句。難しく考えすぎです』とおっしゃって、それでいいんだとはっとした。いかに無駄を省いて十七音に奥行きを持たせられるか。難しいけど奥深くて面白いです」

 料理や資格取得、俳句は「ジャニーズの中の隙間産業」と自身は表現するが、地道に開拓した唯一無二の居場所でもある。

 「ここまで来られたのは、メンバーやキスマイのファン、周りの人たちに支えてもらったという気持ちが大きい。オレンジ(横尾のファンの呼称)も信用してついてきてくれた。これからもグループにどうしたら還元できるのか、皆さんにお返しできるのかということを大事にしていきたいです」。偽りのない本音だからこそ、表情には覚悟がにじんでいた。(奥津 友希乃)

 ◆横尾 渉(よこお・わたる)1986年5月16日、神奈川県生まれ。37歳。2001年、ジャニーズ事務所入所。11年8月、Kis―My―Ft2として「Everybody Go」でCDデビュー。13年、グループの派生ユニット「舞祭組(ぶさいく)」を結成。23年4月からNHK「あさイチ」の料理コーナーにレギュラー出演。ペット終活アドバイザー、1級マグロ解体師など多くの資格・免許を取得。血液型A。

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