中日・立浪和義新監督(52)が新春インタビューに応じ、自身が持つNPB最多記録の通算487二塁打に迫っている巨人・坂本に「坂本君であれば抜かれてもいい」と“エール”を送った。一方で、新監督初陣となる3月25日の巨人戦への強い意気込みを示し、バンテリンドームの「ホームランテラス構想」も語った。(取材・構成=長尾 隆広、表 洋介)
立浪監督が誕生。13年ぶりにユニホームを身にまとう。
「緊張感を持ちながら生活できている。(昨年)秋に練習し、若い選手がどれだけ伸びているか。キャンプが楽しみ」
5位に沈んだ昨季は12球団最少のチーム405得点。打開策の一つとして、4番のビシエドに「40発」のミッションを伝えた。来日6年間で通算打率2割9分2厘と安定感は抜群だが、18年の26本塁打が最高で、その後3年間は20発未満。
「一度食事もしたが、彼が変わればチームも変わる。息子が(少年野球の)ドラゴンズジュニアで有望みたい。その映像も見せてもらったが、父と違い、息子はバックスイングをしっかり取って打ってる。米国へ帰っても一緒にスイングして、『パパを頼むよ』と。息子の言うことは聞くからね」
近未来の4番候補に19年ドラ1・石川昂(東邦高卒)を指名。PL学園高の先輩・清原和博氏をほうふつとさせる。
「(ビシエド以外で)30本以上打てる可能性が一番高いのは石川昂。ボールを飛ばす打者はいろいろいたが、『振っている』感じなく飛ぶのは清原さん(に似ている)。現状で守備は二塁が有力だが、(高橋)周平も二塁ができないことない。石川昂が育てば『三塁・石川昂』『二塁・高橋周』の方がいいかもしれない」
12球団の本拠地で最大級の広さを誇るバンテリンD。テラス席を設置すれば本塁打は増える。
「何だかんだ言って、野球は本塁打が出ないと楽しくない。毎回2―1の試合とかではね。若い選手が育ってきたら球場を狭くするべきだと思っている。ただ、今年すぐにというのはちょっと苦しい状況。早く野手をたくさん育てて球団にお願いしたい。ファンの皆さんが喜ぶ形にしたい」
初陣の相手は巨人。恩師の故・星野仙一氏も初めて監督になった87年の開幕戦は巨人戦(●0―6)。
「就任会見した(昨年)10月29日も、星野さんの1次政権の就任会見と一緒の日だった。そこを選んだわけでもないが、何か縁を感じた。今年の日程が出た時、東京Dの巨人戦というのを見て、身震いした。良くも悪くもいいところでスタートさせてもらえる。原監督はずっと勝って、積み重ねている。ただ、1年目であろうと勝負の世界に入れば関係ない。我々は挑戦者。思いっきりやるだけ」
巨人の坂本は、立浪監督が持つNPB最多記録の487二塁打に残り85本。
「当分抜かれることはないと思っていた(笑い)。でも記録はいつか必ず抜かれる。逆にあれだけの選手がそこを意識してやるのも素晴らしい。むしろ坂本君であれば抜かれてもいい。そういう思いで見ていたい」
坂本への評価は高い。
「巨人の真のチームリーダー。解説者時代に数回食事したこともあり、野球への考え方もしっかりしている。過酷なポジションで2000本打ったが(周囲の)評価はちょっと低いと思う。今年からは監督と対戦相手の選手。いろんな思いはあるが、戦いとなったら別物。自分のチームが勝つためにしっかり抑えたい」
◆立浪 和義(たつなみ・かずよし)1969年8月19日、大阪・摂津市生まれ。52歳。PL学園高で86年春の甲子園に出場、87年は主将として甲子園春夏連覇。同年ドラフト1位で中日に入団。88年、新人王と高卒ルーキー初のゴールデン・グラブ賞。03年に通算2000安打を達成。09年に現役引退。13年WBCで日本代表の打撃コーチ。通算2586試合、打率2割8分5厘、2480安打、171本塁打、1037打点。通算487二塁打はNPB歴代1位。