西田敏行60年来のサユリスト「念願かないました」共演で喜び…映画「いのちの停車場」独占インタビュー(2)

スポーツ報知
院長の仙川を演じた西田敏行(カメラ・森田 俊弥)

 西田敏行(73)が演じた仙川は「まほろば診療所」に在宅医として勤務する咲和子(吉永小百合)の良き相談相手。ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」では私腹を肥やす悪徳院長役でおなじみだが、「あれは悪い医者ですから、今回は全然違いますね。悩んでいる命、苦しんでいる命、いろんな命に語りかけ、対話する医療従事者として演じました」。

 診療所のスタッフを父親のように温かく見守るキャラクターは自身と重なる。「演じるというより、自分の心にある一番優しい、柔らかい部分を押し出す感じで仙川を捉えていましたね」。憩いの場であるBAR STATIONの場面では「みなみらんぼうさんのマスターぶりが楽しくてね。リラックスして撮影を忘れるくらい、カウンターに座っているのが楽しかった」。

 60年来のサユリスト。吉永とは映画「天国の大罪」(1992年)以来、29年ぶりの共演だ。「念願かないました。ずっと共演したくて、(笑福亭)鶴瓶ちゃんに『あんたばかり共演してずるいよ』と言ったり、吉永さんにも『僕を出してください』と直訴していました」。現場での吉永には「あれだけのキャリアを積んでいるのに新人のような初々しさを全身にたたえているのが不思議で、神秘性を感じました」。

 この映画を通じて死について考えさせられた。「明るく楽しく笑って最期を迎えたいけど、そうはいかないだろう」と思っていたが、完成した作品を見て考え直した。「どこかすがすがしく、希望が見えてきた感じがしました。命が終わっても、輪廻(りんね)のように自分の意識はどこかにあるんじゃないかな。永遠の別れじゃない」と前向きになれたという。(有野 博幸)

 ◆西田 敏行(にしだ・としゆき)1947年11月4日、福島県生まれ。73歳。68年、青年座養成所入所。78年「西遊記」、80年「池中玄太80キロ」などのドラマで人気に。88~2009年まで映画「釣りバカ日誌」シリーズ22作に主演。94年「学校」で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞、03年「ゲロッパ!」で報知映画賞主演男優賞。歌手としてNHK紅白歌合戦4回出場。家族は妻と2女。

 ◆いのちの停車場 東京の救命救急センターの医師・白石咲和子(吉永小百合)は、ある出来事をきっかけに故郷の金沢にある「まほろば診療所」の在宅医として働くことになる。そこで必要とされるのは必ずしも医療行為だけではない。院長の仙川徹(西田敏行)、訪問看護師の星野麻世(広瀬すず)、運転手の野呂聖二(松坂桃李)らと試行錯誤しながら診療することで、患者に寄り添うことの大切さを知っていく。

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