一之瀬航季、第100期生として「名に恥じない舞台人」に向けた決意を語る…「はいからさんが通る」31日上演予定 

スポーツ報知
入団7年目突入を前に、念願の新人公演初主演に挑む宝塚歌劇花組ホープ・一之瀬航季

 宝塚歌劇花組ホープ・一之瀬航季(いちのせ・こうき)が、入団7年目に入る春に、飛躍の時を迎える。兵庫・宝塚大劇場で今月31日上演予定のミュージカル「はいからさんが通る」の新人公演で、主人公の陸軍少尉・伊集院忍役を担当。悲願の初主演を務める。音楽学校入学時から節目の世代として注目された第100期生の一人。「タカラヅカの男役にしかできない部分に魅力を感じますし、まだまだしなければいけないことがたくさんある。それが幸せ」と高みを目指して大舞台に臨む。(筒井 政也)

 春が来た。配役発表までは「ずっとそわそわして、エレベーターで降りる階を何度も間違えたほど(苦笑)」と気をもんだが、初めて届いた“サクラサク”。「上級生の方、下級生まで泣いて喜んでくれて、そのたびに何度も涙が…。必ずいい舞台にして、感謝の気持ちをお返ししたい」と張り切っている。

 2017年の「はいからさん―」の再演で本拠地トップお披露目を飾る柚香光(ゆずか・れい)の背中に学ぶ。前回は別公演の出演だった。「温かい作品という印象。大正時代の和と洋の絶妙さがすごく好き。そして、柚香さんがカッコいい。あまりに違い過ぎてどうしようと思うほどですが、少しでも近づけるように。とにかく真似をして、かつ私らしい部分も足したい」と、一之瀬流の忍像もイメージする。

 その「私らしさ」を追求する毎日だ。「なんでも器用にできるタイプではない」が、これまでの新人公演では本役の上級生が様々に入れ替わり、多彩な経験を積んできた。「上級生のいいところを盗み、それを合わせたような男役になりたいと思っていたんですが…」。だが昨年に「A Fairy Tale」で演じた、やり手社長のオズワルド(本役・瀬戸かずや)が転機に。「骨太な大人の男性役ができつつ、タカラヅカらしく華やかな王道もやれる。そのビジョンがはっきり見えた。それが私には大きかった。『男らしさ』を自分の武器にしていけるんじゃないかな、と」。今回の忍は一見、優男だが、中身は芯がしっかりした人物。アプローチに注目だ。

 「宝塚にかける愛情だけは誰にも負けない」。その出会いは小学生の頃で「将来の道を決めるため、母がいろんなものを見せてくれた時期があったんです」。唯一、強烈な印象を受けたのが宝塚だった。2003年にOGと現役生が共演した「シンデレラ」を観劇し「キラキラした世界に衝撃を受けました」。その舞台に出演した現役生が、のちの花組トップ・真飛聖(まとぶ・せい)。ある意味、運命だったのかも。

 中学時代から受験の準備を始め、高校1年時で一発合格した。「高1では、バレエでジャンプの多い振りを続けていたからか、夏休みだけで身長が4センチ、1年通して11センチ伸びました(笑い)」。そして、記念すべき第100期生として入団。「初舞台の口上もいつもとは違う形でしたし、100人ロケットもあって、本当に恵まれているなと。100年の名に恥じない舞台人でありたいと思います」

 研7突入を控え、まだまだ伸び盛り。新たな劇団100年史序章を創造していく世代だが「古き良き宝塚、というのも大事にしたい。芸名もあえてキラキラしたものではなく、いそうでいない男性の名前に。航海、航空…広く高い所を目指して旅をしていくぞ!というイメージです」。初めて立つ0番地(センター位置)が、その出発点になる。東京宝塚劇場は5月21日上演予定。

 ◆一之瀬 航季(いちのせ・こうき)3月15日生まれ。千葉県松戸市出身。2014年3月「宝塚をどり」で初舞台。第100期生。花組配属。新人公演では18年「MESSIAH(メサイア)」で当時2番手だった柚香光の山田右衛門作(えもさく)役に、19年「CASANOVA」では専科・夏美ようのミケーレ伯爵役に挑んだ。身長173センチ。愛称「はなこ」。

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