センバツで盛り上がる「甲子園球場」…実はそのウラで起きていた「ある進化」

変わらないようで変わった「カクテル光線」
近年、スポーツ施設ではエンターテイメント性向上を目指して、さまざまなテクノロジーが開発・導入されていることをご存知だろうか? なかでも目まぐるしい進化を遂げているのが「映像・照明」。家電ライター・藤山哲人氏が、全国の最新スポーツ施設を訪ね、「光の魅力」にとことん迫る連載企画。第3回目は阪神甲子園球場だ。

改修が進む「野球の聖地」

今年もセンバツで熱い戦いが行われた兵庫県西宮市にある「阪神甲子園球場」(以下「甲子園」)。PL学園×横浜戦で見せた松坂大輔の延長戦での踏ん張り、ハンカチ王子こと斎藤佑樹とヤンキースでも活躍した田中将大の投手戦など数多くの名勝負が繰り広げられ「野球の聖地」としても名高い。

その歴史は古く、1924年(大正13年)に全国高等学校野球選手権大会の開催を目的として建設された“日本初”の大規模多目的野球場だ。しかも収容人数は、後楽園球場を上回り日本最大と言われている。

2008年に始まったリニューアル工事で壁面を埋め尽くされていた「蔦」はいったん外され高野連加盟校に移植。今後、甲子園に戻す予定だという

1948年(昭和23年)には阪神タイガースのホームグラウンドとなり、1956年(昭和31年)に4基の照明塔が設置され、プロ野球のナイターも開催されるようになった。同年には日没までに試合が終わらず、高校野球初のナイターまでもつれ込む試合も実施されている。

こうした歴史を重ね、2024年に100周年を迎える甲子園球場は、2007〜2009年に「歴史と伝統の継承」を謳いリニューアル工事を実施。内野席の大幅改修に加え、雨や日よけとなる屋根(通称「銀傘」)の架け替え工事が行われた。

と、同時に照明塔のLED化の話も上がったが、当時はまだ技術レベルが低いということで見送られることになる。

そして今年2022年――。ついに「歴史と伝統の継承」を謳う最後の工事「照明塔のLED化」が行われ、先の2022年3月9日にメディア向けにお披露目会が実施された。

数々の名勝負に光を当ててきた甲子園球場が誇る照明塔。どのような伝統を継承したLED照明になったのかを取材した。

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