東京五輪「イスラム教徒のハラル料理が無い」報道が「フェイクニュース」と叩かれた深いワケ

選手村に比べてプレスセンターの「おもてなし」は…

コロナ禍中のオリンピックもようやく終了。菅政権は「コロナに打ち勝った証としてのオリンピック」と息巻いていたが、結果としてはオリンピック開催中に東京の新規感染者数は1日で5000人を超え、今も終息のメドは立っていない。

そんな東京オリンピックだが、1つ僕の印象に残った「メディアリテラシー」にまつわる問題があった。

数日から数週間、日本で暮らすことになるオリンピック選手やそれを取材するメディアの人たちにとって、そこで提供される食事というのはとても大切である。選手は肉体面のみならず精神面のコンディションも整える必要があるし、メディアだって体力と神経を使う仕事である。そうした人たちを支える仕組みとして、そして楽しみとして、食事は最も重要なサービスであると言える。

 

選手村の食事は好評だったと、様々なメディアで記事になっていたし、選手自身もSNSなどで食事を褒めていた。若干、オリパラ側からの宣伝臭がして辟易していた部分もあるし、自由に外出などができない状況で、食事が唯一の楽しみという状況があるかも知れないが、まぁ国が国際イベントを「我が国凄い」の宣伝に使うのは常である。

選手やメディアだって日本の事をわざわざ悪く書きたいわけではないのだから、なるべくいいところを中心に取り上げてSNS等にアップするのは当然である。

そんな選手村に比べ、各国のメディアが集うプレスセンターでのおもてなしはどうもお粗末だったようだ。食事が高いとか、コーラが富士山の山小屋くらい高く売られているなどと話題になっていたが、僕が気になったのは、ムスリムに対する対応である。

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7月24日に共同通信が東京ビッグサイトに設置されたメインプレスセンターにハラル料理や礼拝室の用意が無く、ムスリムのメディア関係者から不評であるという内容を報じた。(※1)

ところがこの内容がネットでなぜか「誤報」「フェイクニュース」と断定され叩かれていたのである。

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