2021.07.16
# エンタメ

『サマーウォーズ』の前と後、「チーム・細田守」に起こった「決定的な変化」

エヴァンゲリオンとの「意外な接点」も
倉田 雅弘 プロフィール

齋藤からシナリオを渡されて、「感想を聞かせてくれ」と言われた高橋は、日本テレビ映画事業部としての参加を決意する。前述した『細田守とスタジオ地図の仕事』内のインタビューによれば、実は別ルートでも日本テレビに『サマーウォーズ』への出資の話は来ていたという。

しかし齋藤から直接来た話であったことと、『ハウル』での罪滅ぼしの意味も込めて、「どうせ他の局員がやるのであれば、自分がやるべきではないか」と考えたそうだ。そして後にマッドハウスに挨拶に寄った帰り、深々と頭を下げた細田監督から「よろしくお願いします」と言われた時、「これはやっぱりやらざるを得ない」と思ったという。

さらにエグゼクティブプロデューサーとして日本テレビの奥田誠治、プロデューサーとして伊藤卓哉が参加して、細田監督のプロデューサーチームの礎は形作られていった。

この『サマーウォーズ』制作の期間について、高橋は「人生のなかで唯一、ものすごくがんばったと思っているんですよ。いろいろな人に手伝ってもらったし、あらゆる方向に手をつくしました」と後に語っている。

 

「エヴァンゲリオン」との意外な接点

『サマーウォーズ』が公開されたのは2009年8月1日。そのおよそ1カ月前の6月27日から『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』が公開されたのに併せて、日本テレビではテレビシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』を再放送し、その終わりに『サマーウォーズ』の宣伝を流した。

両作の視聴層が近しいことと、キャラクターデザインが同じ貞本義行であることを意識しての宣伝展開だろう。

ちなみに高橋は、過去「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」を制作したスタジオカラーの設立に協力し、後にはスタジオ地図の立ち上げにも関わることになる(高橋とスタジオカラーについては、こちらの関連記事をご覧いただきたい)。

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