「日馬富士事件」大相撲からいまだに暴力沙汰が消えないワケ

出すべき答えはシンプルなはずなのに…

何が何だかわからない…

横綱日馬富士が、同じモンゴル出身の力士、貴ノ岩を殴打し、怪我を負わせたとされる事件。毎日うんざりするくらいテレビやメディアを賑わせている。

そして、日が経つにつれて、経緯が明らかになってくるどころか、逆に毎日、何が何だかわからない状態になってきている。

最初は、「日馬富士はビール瓶で殴打し、殴られた貴ノ岩は頭蓋底骨折で髄液漏の疑い」ということが伝わり、日馬富士は廃業必至か、などという憶測を呼んだ。

しかし、同席していた横綱白鵬が、「ビール瓶では殴っていない」と証言をしたかと思うと、診断した医師も「最初はその疑いがあるということだったが、診断の結果、骨折も髄液漏もなかった」と証言した。

日馬富士自身は、警察の取り調べで、暴力は振るったが、平手打ちだったと述べたという。また、貴ノ岩本人は、警察の聴取には、「目をつぶっていたので、何で殴られたのかはわからない」と述べているそうだ。

そうかと思うと、別の同席者は「カラオケのリモコンで殴った」「灰皿だった」と言う者もいれば、果ては「ビール以外のアルコールの瓶で殴った」などとわけのわからない証言まで出てくる始末。

まったく、芥川龍之介の『藪の中』そのもののような有様で、誰が本当のことを言っていて、誰が嘘をついているのか。起こったことは1つであるはずなのに、見る人によって物の見え方がこんなにも異なるようだ。

あるいは、日馬富士は、素手で殴ったかと思うと、灰皿を持ち、ビール瓶に持ち替え、それからカラオケのリモコン、最後は「ビール以外のアルコールの瓶」というように、まるで千手観音か何かのように、すばやくありとあらゆる「固い物」を手にして、殴りつけたのだろうか。

 

登場人物みんなが胡散臭い

当の貴ノ岩自身は、現在相撲協会も居所がわからないそうだ。そして、師匠の貴乃花親方は、協会の危機管理委員会による聴取も拒否し、マスコミの前にも現れない。

貴乃花親方は、巡業部長という職にありながら、巡業中に起こったこの「事件」について、協会に報告をしなかったり、最初は「階段から落ちた」と嘘をついていたり、診断書が2通あったりと、その言動に疑念が集まっている。

協会の聴取を一切無視して、いきなり警察に被害届を出したのは、協会への強い不信感があり、協会が「事件」をもみ消しにかかることを恐れての対抗策かとの見方がある。

しかしその一方で、来るべき理事選を睨んで、八角理事長を失脚させるための算段だという見方も出ている。

何と言うか、何だか登場人物みんなが胡散臭い。なぜこんなことになっているのだろうか。

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