「AV新法の害悪」に食い潰される女優たち…その悲惨すぎる現場の実態

「そっとしておいてほしい」だけなのに

AVの95%は「適正」なはず

6月15日、国会最終日にAV新法(AV出演被害防止・救済法)が参院本会議で可決、成立した。施行はなんと、同月23日から。通常、法律が成立すると30日以内に公布、周知を促し、移行期間があってからの施行となるのだが、今回は、成立から1週間で公布、その翌日から即、施行だ。

この法案、そもそものきっかけは民法改正による成人年齢の引き下げだった。民法は、未成年が親の同意を得ずに結んだ契約を取り消せる「未成年者取り消し権」を認めている。これはもちろんAVの契約に限らない。

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ところが18歳が成人年齢となったため、さまざまな契約が親の同意なしに行えることになった。そこで18歳、19歳のAV出演者が増えることを懸念した女性支援団体などが声を上げたのである。激しいロビー活動に業界のことを知らない国会議員が、「それは大変」と乗せられたのではないかとも言われている。

2016年、AV出演強要問題が起こった際、業界は揺れた。ところがAVには管轄官庁もないため、どこからも指導が入らない。そこで業界は自ら旧弊を是正し、自主規制を浸透させていこうと動き始めた。

 

そして「適正AV」という枠組みを作ったのである。中立公正を旨とする第三者的な機関である「AV人権倫理機構」を軸に、メーカーやプロダクションなどが一致団結して、出演強要をしないこと、きちんと契約書を交わし、しつこいほどの年齢確認をすることなどを徹底させてきたのだ。メーカーの90%、AV女優の95%がこの「適正AV」の範疇に存在する。

ここ何年も適正AVには、18歳、19歳の女優はいないし、強要問題も起こっていない。成人年齢が18歳になった後も、適正AVの枠組みに入るメーカーは「出演は20歳以上のみ」と決めていた。そもそも需要を考えても、実年齢10代の女優がそれほど求められているわけでもないのだ。

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