<論説>近世の鯨と幕藩領主 : 丹後伊根浦の捕鯨を手がかりとして (特集 : 海)

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書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>On Whales and Domainal Lords in Early Modern Times, Employing the Whaling of Ine in Tango as a Key to Interpretation (Special Issue : SEA)
  • 近世の鯨と幕藩領主 : 丹後伊根浦の捕鯨を手がかりとして
  • キンセイ ノ クジラ ト マクハン リョウシュ : タンゴイコンウラ ノ ホゲイ オ テガカリ ト シテ

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抄録

日本近世の海と幕藩領主層との関係を考える素材として鯨・捕鯨をとりあげる。大規模捕鯨業地域では、領主にとっての捕鯨業の経済的、軍事的意義が解明されているが、全国的にみると鯨をめぐる漁村や幕藩領主の動向には不明な点が多い。本稿では、捕鯨の経済的意義が高いとはいえない小規模捕鯨浦を対象に、漁獲鯨と捕鯨漁場への領主の関与について検討した。領主には、貸付金や漁獲後の注進方式、微税方式等を整えるものの流通には関与しないなど、際立った積極性は認められない。また、捕鯨漁場についても、漁村間の慣行を追認するという態度をとっていた。こうした状況は幕末に至ると変化し、捕鯨権に対する積極的関与がみられるようになる。新規操業村の認可、および個別領主の領地前海にとどまらない漁場の拡大が認可されるが、その根底には殖産政策があった。こうした領主の動向は、幕末期には全国的に展開していた可能性がある。

収録刊行物

  • 史林

    史林 100 (1), 74-105, 2017-01-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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