右水晶と左水晶の区別

書誌事項

タイトル別名
  • ミギ スイショウ ト ヒダリ スイショウ ノ クベツ
  • ウスイショウ ト サスイショウ ノ クベツ
  • Usuisho to sasuisho no kubetsu
  • Discrimination between Dextrorotatory Quartz and Levorotatory Quartz

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抄録

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慶應義塾大学日吉キャンパスにおける文系学生を対象とした化学実験のテーマの1つとして,キラリティ(左と右の区別)に関する実験を平成17年度から開始した。これは主に糖の旋光度を測定するテーマであるが,原子や分子レベルのキラリティが外に表れる例として,水晶の半面像の観察も実験の中に組み込んだ。水晶とは石英のきれいな結晶のことであるが,その内部での原子配列のキラリティは非対称な結晶面をもとに区別できる。また水晶球については,直線偏光板と円偏光板の間にはさみ,エアリースパイラルを観察してその渦巻の方向から,右水晶か左水晶かを判別できる。本稿では石英の結晶構造をもとにこれらの原理を解説し,また右と左の定義にまつわる話題を紹介する。現時点でも右水晶の定義にまだ混乱がみられるが,「右旋性を示す水晶のこと」に統一すべきである。

1. はじめに 2. 旋光性 2-1. 右旋性と左旋性 2-2. 石英の比旋光度 3. 石英の結晶構造と外形 3-1. シリカの結晶相 3-2. α-石英とβ-石英の構造 3-3. 水晶の半面像 3-4. 高温形低温水晶 4. 屈折率の異方性と光の干渉 4-1. エアリースパイラル 4-2. 結晶中での光の伝播 4-3. 光軸に垂直な水晶板による旋光 4-4. 水晶板のコノスコープ像 4-5. 水晶球の干渉像 5. 考察 5-1. 石英か水晶か 5-2. 右水晶と左水晶の定義 5-3. 円偏光板の役割 5-4. オリジナルのエアリースパイラル 6. 学生実験への対応

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被引用文献 (1)*注記

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