YouTube(ユーチューブ)のチャンネル登録者数が100万人を突破、瞬間視聴者数は最大で25万人――。気象情報大手ウェザーニューズが手掛ける、ネット上のお天気番組「ウェザーニュースLiVE(ライブ)」が今、爆発的な人気を呼んでいる。その理由を探ると、企業の商品やサービスの熱狂的なファンをつくる「ファンマーケティング」における重要な要素が、いくつも浮かび上がってきた。全3回の連載で、同番組が成長してきた過程、そして企業が持続的にファンを獲得するための秘訣に迫る。

 「皆さん、おはようございます。6月19日月曜日です。今日の全国のお天気をお伝えします」

 ウェザーニュースLiVEは軽快なBGMとともに1日の始まりを告げる。24時間365日、千葉市の幕張新都心にある自社スタジオから生放送で気象・地震情報を届けている。YouTubeの他、ニコニコ動画、TikTok(ティックトック)など様々な動画配信サービスで配信。午前5時~午後11時までは3時間ごとにお天気キャスターが交代で出演し、それ以外の時間帯は各地の天気や気温、降水量といった最新の情報を伝える。

24時間365日、休まず放送している
24時間365日、休まず放送している

 ウェザーニュースLiVEは4月、YouTubeのチャンネル登録数が100万人を突破した。気象情報は今や、スマートフォンでいつでもどこでも調べられる時代だ。それなのに、わざわざチャンネル登録をしてまでこの番組を見ようとする人が爆発的に増えているのは一体なぜか。

 ウェザーニュースLiVEの最大の特徴は双方向性だ。番組の配信中、視聴者がYouTubeのチャット欄から自由に番組へコメントを送ることができる。自分の住む地域の気象状況の他、予報士による気象解説や、キャスターのフリートークなどに対してもコメントを書き込める。そこから出演するキャスターや予報士と視聴者、あるいは視聴者同士で自然なやりとりが生まれるのだ。

 コメントが番組画面に表示されたり、キャスターが反応したりすることも多い。さらに視聴者からのコメントを呼び、視聴者同士でもやりとりが生まれる。こうしたリアルタイムでの「会話」が、番組を盛り上げる大きな要素になっている。

視聴者からのコメントが番組画面に表示される「コメントぽよんシステム」も盛り上げに一役買っている
視聴者からのコメントが番組画面に表示される「コメントぽよんシステム」も盛り上げに一役買っている

 配信した動画の一部を視聴者が切り抜いて投稿する「切り抜き動画」も、ウェザーニュースLiVEの爆発的な人気を支える。視聴者はウェザーニュースLiVEが定めたガイドラインに沿って、キャスターのちょっとした言い間違えやしぐさを番組から切り抜き、動画配信サービスにアップロードできる。コアなファン層が番組の面白さを拡散することで、新たなファン層の拡大につながっているのだ。

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