みなさんこんにちは、日経バイオテクの高橋厚妃です。先日2018年4月13日に、武田薬品工業の旧湘南研究所である「湘南ヘルスイノベーションパーク(略称:湘南アイパーク)」の開所式に参加しました。
武田薬品の旧湘南研究所、19の企業や研究機関が入居
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/18/04/17/04135/

武田Weber社長、「湘南アイパークには製薬企業が入居するのも歓迎」
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/18/04/23/04175/

 「湘南ヘルスイノベーションパーク構想」が公表されたのは、2017年10月のBioJapan2017でした。その際、同社の平手晴彦コーポレート・オフィサーに、具体的な取り組み内容について取材をしました。私がそこで衝撃的だと思ったのが、「湘南研究所の表札を外して、湘南ヘルスイノベーションパークという表札にする予定だ」というもの。もし私が武田薬品の研究者だったら、「アイデンティティーを失うようで、なんだか寂しい気持ちになりそうだ」と思ったのを覚えています。しかし、その後数名の武田薬品の関係者の方とお会いする機会がありましたが、旧湘南研究所を外部に開放する件については、むしろ好意的に捉えている方が多かったです。それに、積極的に外部のアカデミアや企業を呼び込もうという姿勢を感じました。

 開所式の当日に、湘南アイパーク内を見学しました。以前、旧湘南研究所に何度か伺ったことがありましたが、湘南アイパーク内の変化に驚きました。以前は、殺風景な長い廊下が続いていたのが、畳(冬にはこたつも利用可)のラウンジスペースができたり、ビリヤードコーナーが新設されていました。ビリヤードコーナーの壁には、研究成果を発表したポスターが貼られており、近くにはソファもあったりして、議論ができるようになっていました。他にも、通称「ビーチ」と呼ばれている海辺のテラスのようなコミュニケーションスペースが設置されていました(ハンモックもある)。

 また、湘南アイパークはかなり広く、建物が複数のブロックに分かれおり、慣れない人は容易に迷子になってしまいそうなのですが、湘南アイパークになった後は、ブロックごとにテーマカラーが設定され、地図上で自分がいる現在地が分かりやすくなっていました。

 湘南アイパークの建物の内部を見学した結果、そこに集まる人々のコミュニケーションを促そうという仕組みが整っていることが分かりました。ただし、知らない人たちが偶然その「場」に集っても、コミュニケーションが生まれるのは難しいでしょう。入居者同士が、知り合いになるイベントや工夫が必要かもしれません。今後、ここからどのようなイノベーションが生まれるか楽しみにしたいと思います。