おはようございます。日経バイオテクの高橋厚妃です。最近肌寒い日が続いていますので、体調を崩されないようにしてください。さて先週は、BioJapan2017に参加していました。

 BioJapan2017で印象深かったのは、武田薬品工業がセミナーを開催し、同社が構想している「湘南ヘルスイノベーションパーク」について説明したことです。製薬企業が自社の研究所のスペースや機器をベンチャーやアカデミアに使えるように開放するとは前代未聞。セミナーは、BioJapan2017の会場で最も大きな部屋で開催されたにも関わらず、立ち見がでる盛況ぶりでした。ベンチャー企業の社長が参加されているのも見かけました。今までは、同社の決算説明会の記者会見やメディアの個別取材で少しずつ同パークの内容が説明されてきたわけですが、2社のバイオベンチャーが湘南ヘルスイノベーションパークに入居することが決まり、今回の発表となったようです。
慶應大岡野教授のベンチャー、武田湘南研究所スペースや機器など利用へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/17/10/12/03342/

 同社は、「湘南ヘルスイノベーションパークを米国ボストンのバイオクラスターのような場所にする」という考えです。ボストンは、カフェなどで研究者同士が交流し、共同研究が始まったり、研究のアイディアが生まれる場所です。このような環境を目指し、湘南研究所で研究する人数を現在の約3倍にあたる3000人を集める計画ということでした。

 イノベーションを生むためには、まずは頭脳を集めることが重要であることは間違いないと思います。ただ日本人同士の場合、同じ建物に集まっただけで積極的なコミュニケーションが生まれるとは思えません。国内の大学でも、同じ建物に複数の研究室が入っていますが、共同研究をしていない限り、他の研究室に属する研究者と、気軽に意見交換をするケースはそこまで多くないでしょう。共同研究を無しにしても、研究者同士の積極的なコミュニケーションを生むには、人を集めた後、交流を促すための取り組みが必要かもしれません。今後も、湘南ヘルスイノベーションパークに注目していきたいと思います。