「まずは関取。将来は横綱を目指したい」と意気込む榎本=丸亀市垂水町
香川県丸亀市垂水町の榎本勇起(16)が大相撲の佐渡ケ嶽部屋に入ることが決まった。小学生時代から相撲一筋に打ち込み、昨夏には全国高体連の海外遠征メンバーにも選ばれた逸材。昨春、角界入りした川成(尾車部屋)魁ノ隆(友綱部屋)と同学年で、41年間、幕内力士が不在の香川県勢にとって期待が高まる。榎本は「今まで応援してくれた人に恩返しするためにも、まずは関取になることが目標。入るからには一番(横綱)になりたい」と意気込んでいる。2月5日に入門。春場所にデビューする。
榎本が本格的に相撲を始めたのは垂水小4年の時。近くの香川相撲クラブ(善通寺市)で礼儀作法から教わった。以来、「心技体がそろっていないと、勝てないスポーツ。負けた時の悔しさがある分、勝った時の喜びが一番いい」と生活の大部分を相撲に費やした。
6年までの3年間、毎朝5時から約5キロのランニングを続け、授業が終わった夕方から高校生相手にけいこを積んだ。当時、近くの中学校に相撲部がなかったため、小豆島高の田中栄一郎監督を頼って内海中に進学。同監督宅で下宿しながら、さらに精進を重ねた。
小豆島高に進んだ昨年は8月の四国対抗大会の少年で香川県勢初優勝。インターハイは団体16強、国体は香川県少年勢初の8強の原動力になった。各親方からの勧誘が熱くなる中、「納得のいく1年だった。このまま高校のタイトルを目指していくより、小さいころからの夢だったプロでやりたい」。思いを強くして11月の九州場所で佐渡ケ嶽部屋の合宿を訪問。雰囲気を気に入って入門を決めたという。
177センチ、125キロで、得意技は突き押し。力士としては小柄ながら「相撲は体が小さくても、うまい人は勝てる」ときっぱり。厳しくなる立ち合いは覚悟の上で「頭からいくのは怖くない。不安より期待の方が大きい」と意欲的だ。
既に昨年末で同高を中退。田中監督は「榎本が抜けた穴は大きい。でも本人が決めたこと。集中力がすごく、気持ちで取るタイプ。プロ向きだと思う」と激励。佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)は「性格が素直で、足腰のバネが強い。先代(元横綱琴桜)のような押し相撲の力士になってほしい」と期待している。