トランプ大統領始動

為替操作発言 米議会、根強い日本警戒論 5年不介入でも監視対象

 【ワシントン=小雲規生】米国の金融業界では日本が為替操作を行っているとの見方は少ない。ただ、米議会では、トランプ氏と対立を深めているはずの民主党議員の中にも警戒論は根強く、トランプ氏の豪腕への期待もある。

 貿易相手の為替介入の実態を発表している米財務省の報告書では、日本は「監視対象」とされてはいるが約5年間、介入していないとも評価。金融界でもこうした認識は浸透している。

 議会では日本への疑惑もくすぶる。自動車産業が集積するミシガン州選出のスタブノー上院議員(民主党)は1月24日、トランプ氏に中国を為替操作国として指定するよう要求し、「日本も監視すべきだ」と述べた。民主党のシューマー上院院内総務は15年、「中国や日本のような国が為替を操作している」と言及したことがある。

 金融関係者の間では日銀の金融緩和に円安を誘発する効果があることも認識されており、「円安誘導」の疑いをかけられやすい立場でもある。米大手銀行のサイモン・ディレック氏はテレビのインタビューで、「安倍晋三首相の訪米を前に、日本は為替操作国と呼ばれることだけは避けたいだろう」と話している。

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