メディア裏通信簿

保守派を「非知性」「バカ」と印象づけようと躍起になる朝日新聞って…

※この記事は月刊正論7月号から転載しました。

女史 軍艦島とか世界文化遺産になる見通しになって韓国が反発してたけど、あれって、おかしくない? 日本が褒められたらなんでも文句つけるって、いくらなんでも…。

教授 5月3日付の朝日新聞朝刊には、韓国が、軍艦島などで「朝鮮半島出身者が強制労働させられた」ということを理由に反発しているという記事が出ていましたね。おそらく「強制労働」とは、戦時の徴用のことを言っているのでしょうが、日韓併合当時は朝鮮半島の人は日本人ですから、当時の日本国民に一般的に行われた徴用が行われるのは普通のことです。それをもっともらしく報じているから、「朝日は世界遺産登録に本音では反対なのかな」なんて思いつつ、新聞をめくっていたら、ドーンと全面で「世界遺産候補…『明治日本の産業革命遺産』への旅」「49900~58900円」とツアー広告が出ていました。(笑)

編集者 朝日も世界遺産登録で広告の恩恵にあずかっているではないですか。

先生 広告掲載料はほしいのかもしれないが、やっぱり韓国の味方をしたいのだと、俺は思う。4月17日付の朝刊に「強制連行、史実から考える」と訴える東大教授の外村大のインタビューが載った。「どうせ韓国の味方でしょうとか、どうも『反日』らしいとか、色眼鏡で見られがちですが、私は日本近現代史の、実証を重んじる研究者です」と言っているんだけど、その後に「戦前の日本帝国の実像は、裏側からのほうがよく見える」とも言っている。「裏側」って韓国ってことだろ。やっぱり韓国側に立ってしゃべってんじゃないか(笑)。外村は「おおむね暴力を伴う動員が見られ、約70万人の朝鮮人が主に内地に送り出されました」ともいうが、日本政府が本当にそれをしていたら重大な国家犯罪だ。確たる証拠があるのか。

女史 韓国の見方が正しいのが前提なんだね。よく、ネットで韓国や中国を非難する人たちが「ネット右翼」「ネトウヨ」と呼ばれて、左翼から小バカにされているけど、あの人達は、少なくとも日本人として中韓に反発しているんだよね。別に反韓・反中を煽ればいいとは思わないけど、日本人なのにまず中韓の立場に立つという人たちも、おかしいと思うけどな。

教授 保守も「ネトウヨ」もすべてを一緒にして、感情的に反韓国や反中国を叫ぶ非知性的な人たちだと印象づけようとするのは、最近の左派左翼の傾向ですね。

4月12日付の朝日新聞朝刊の「日曜に想う」では、特別編集委員の山中季広記者が、「ネトウヨ」と酒を飲んだ話を書いているんですが、「保守系は人々の直感に訴える」「リベラルの訴えは乗り手の理性に触れる。保守の訴えはゾウの不安や欲求を突く」という米国の心理学者の見解を紹介して、リベラル=理性、保守=感情的、という印象を強調していました。自分は左右中立のようなふりをしていますが、結局は、保守的な考え方をする人はバカだと思わせようとしているんでしょうね。

先生 朝日新聞は一連の不祥事の反省で少し客観性、中立性を持たせようと努力していると思っていたんだが、4月に年度が変わって、心を新たにしたのか、どんどん元に戻ってきている。

安倍首相がどう演説しようと-

教授 安倍晋三首相が歴代総理で初めて米国連邦議会の上下両院合同会議で演説し、かなり好意的に受け取られました。米国人が喜ぶように外交的な注意を払い、70年前の戦争からの和解と日米の結束を演出したなかなかの文章で、結果は成功でしょう。演説の内容に議論はあって然るべきですが、一部マスコミや知識人は、こき下ろしているんですね。ただ安倍政権を批判したい、という結論ありきの報道です。

先生 5月1日付の朝日朝刊も「『アジア諸国民に苦しみを与えた事実』とは何か、それに首相がどんな思いを抱いているのかは、この演説からは伝わってこなかった」「沖縄への言及がなかった」と手厳しかったが、そんなに何でもかんでも一つの演説に入らないよ。この日の朝刊では、4人の識者に話を聞いているんだけど、このうち2人が批判、慶應大教授の細谷雄一ら2人が好評価。2対2でバランスを取ったつもりなんだろうが、批判の方はひどかった。特に白井聡は「文明の牽引役としての役割を失いつつある米国に、どこまでも『はい、喜んで』とついていくことを表明した演説」「米国の傀儡政権かと思わせる」と、いくら何でも言い過ぎ。

教授 彼はいつも書いているようなことを言っているだけ。安倍首相が何をしゃべっても、こう言おうと決めていたんでしょ。

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