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『あさが来た』亀助役で注目の三宅弘城 劇団で鍛えられた華麗な“七変化”俳優

 スタートから平均視聴率20%を超え、10日には自己最高の24.8%(12日現在)を記録するなど好調のNHK連続テレビ小説『あさが来た』。ヒロイン・今井あさを演じる波瑠と和服の所作も美しく、男ぶりに磨きがかかった夫・玉木宏を中心に、姉・はつ役の宮崎あおい、その夫・柄本佑、その母でイビリが話題の萬田久子など、絶妙なキャスティングも注目されているが、彼らを支える脇役のひとりとして“いい味”を出しているのが、中番頭・亀助を演じる三宅弘城だ。実は一部にカリスマ的なファンを持つ劇団「ナイロン100℃」の看板役者のひとりで、事務所は松尾スズキ主宰の「大人計画」に所属。幅広い役柄をこなし、パンクコントバンド、グループ魂では“石鹸”としてドラムドラムを担当する。そんな名バイプレイヤー・三宅弘城の魅力に迫ってみたい。

『あさが来た』で亀助を演じる三宅弘城 (C)ORICON NewS inc.

『あさが来た』で亀助を演じる三宅弘城 (C)ORICON NewS inc.

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■学生時代「有頂天」に影響 時代が育てた役者としての嗅覚

 三宅は1968年生まれの47歳。中学時代からバンド「有頂天」のファンで、学生時代にバンド活動を始め、宮藤官九郎や阿部サダヲも参加する劇団『大人計画』のユニット「グループ魂」では“石鹸”名でドラムを担当している。有頂天のリーダー・KERA(現在はケラリーノ・サンドロヴィッチ名で活動)は、今でこそ劇作家として、岸田國士戯曲賞や読売演劇大賞などを多数受賞、舞台はもちろん、TVドラマ『時効警察』(テレビ朝日系)や映画『グミ・チョコレート・パイン』などの脚本も手がける演劇界の大御所となったが、1980年代の有頂天の曲は、当時のバンド・ブームを“ナナメ”に見て、人を食ったような、シュールかつコミカルなテクノポップ。ただし、ライブにおけるメンバーの演奏テクニックはかなりのハイレベルで、そのギャップが面白かったのも確かだ。

 そうしたオフビートなセンスは三宅に大きな影響を与えたようだ。大学在学中の1988年にKERA主宰「劇団健康」のオーディションに合格、そのままナイロン100℃の旗揚げメンバーとして参加。演技の幅は広く、芝居の進行からボケ役、ツッコミ役、時には狂気を感じさせる役まで、何でもこなしてしまう役者としてのセンスは、ナイロン100℃で鍛えられたと言ってもいいだろう。小劇団が次々と生まれ、バンドブームが巻き起こった1980年代のナンセンス、ギャグ、ブラックジョーク、サブカルチャー…エンタテインメントの世界において何でもアリだったパワフルな時代が、三宅を育てたといっても過言ではないのだ。

■子供も向け番組では筋肉ムキムキの“みやけマン”に変身

 それ故、NHK大河ドラマ『新選組!』(2004年)、『篤姫』(2008年)などの時代劇や、『怪物くん』(日本テレビ/2010年)の「これはまずいね〜」というセリフが印象的なお巡りさん、映画『少年メリケンサック』では “モヒカン”姿を披露するなど、数多くの人気映画やドラマで脇役として強烈なインパクトを残してきており、バイプレイヤーとしての実力、幅の広さは折り紙付き。『あさが来た』では、大番頭の雁助役・山内圭哉と吉本新喜劇顔負けの絶妙なやり取りを披露したり、あさの貸付金取り立てや九州の炭鉱行きにも同行する重要な役どころを演じているが、ホトホト困った顔から、してやったり的なニンマリ顔まで、その表情のバリエーションは変幻自在。劇団で鍛えられた七変化ぶりは“愛されキャラ”としても認知され、“三宅萌え”の女性ファンも急増しているとか。

 かと思えば、教育エンタテインメント番組『みいつけた!』(NHK Eテレ)のコーナー「おっす!イスのおうえんだん」に体操のおじさん“みやけマン”として登場し、歌ったり踊ったりしてチビッ子たちの人気を獲得(歌の作詞作曲は、それぞれ大人計画の宮藤官九郎と星野源)。同コーナーには体操の選手のような服装で出演し、その“筋肉”も注目を集めている。それぞもそのはず、学生時代には「体操競技部」で汗を流しており、『怪物くん』ではバク転を披露するなど、身体能力の高さを活かした演技も得意とするところ。「劇団健康」のオーディションでも、バク転といかりや長介さんのモノマネで合格したという逸話を持つ。グループ魂での汗が飛び散る演奏はコンサートの見せ場のひとつで、クドカンに「体は20歳」「頭は5歳」と賞賛(!?)されるゆえんでもある。

 俳優を主軸としながらも、幅広いフィールドでさまざまな顔を持つ三宅の魅力は、ナイロン100℃や大人計画で培った、“とことん他人を楽しませる努力をする”といった姿勢の賜物だと思われる。まさに変幻自在のエンターテイナー・三宅弘城。これからの活動に目が離せなくなりそうだ。

(文/五目舎)

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