最高裁、警官発砲の賠償命令破棄
栃木県警警察官の発砲で死亡した中国人元研修生の羅成さんの遺族が県に約5千万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷は16日、約1千万円の支払いを命じた二審・東京高裁判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した。
山浦善樹裁判長は、二審が「発砲直前、羅さんが灯籠の石で殴り掛かろうとした」とする警察官の供述の信用性を否定した点について「客観的証拠との整合性を検討していない」と指摘した。
一、二審判決によると、羅さんは2006年6月、同県栃木市の路上で知人とともに職務質問を受け逃走。抵抗したため、男性警察官が拳銃1発を腹に発射した。
事件では遺族の付審判請求が認められ、警察官が特別公務員暴行陵虐致死罪に問われたが、一、二審判決は正当防衛の成立を認めて無罪を言い渡し、最高裁で確定した。〔共同〕