GM、355万台を追加リコール 年初から計2004万台に
【ニューヨーク=杉本貴司】米ゼネラル・モーターズ(GM)は16日、355万台を追加リコール(無償回収・修理)すると発表した。今年に入ってからのリコール台数は2004万台となり、2009~10年に起きたトヨタ自動車の大量リコールを上回った。対策費用も累計で20億ドル(2000億円強)となり、世界の自動車業界でも異例の規模となってきた。
今回のリコールでは15車種で6件の不具合が判明。このうち95%を占めるのが中型車「シボレー・インパラ」や「ビュイック・ラクロス」など7車種に関するものだ。エンジンを点火する「イグニション・スイッチ」と呼ぶ部品が正常に作動せず、走行中にエンジンが切れる可能性がある。
GMは2月にも同じ部品の欠陥が判明。これを10年以上も放置し、少なくとも13人が死亡したことから批判が集中している。今回は2月の欠陥発覚を受けた車両品質に関する再調査で見つかったもので、GMは8件の衝突事故が起き、6人がけがをしたとしている。
再調査していなければ今回の欠陥も判明しなかった可能性が高く、改めてGMの品質管理体制のあり方が問われそうだ。このほか別件で19万台強をリコールする。
GMのリコールは今年に入って44件、累計2004万台に上る。世界最大の自動車市場の中国で1年間に売れる車の総数(13年で2198万台)に匹敵し、GMの2年分の世界販売台数を上回る。トヨタは09~10年に米国を中心にブレーキ関連で3件の不具合で大規模リコールに追い込まれたが、当時の世界でのリコール台数は1600万台前後とみられ、GMはこれを上回る。
GMはすでに1~3月期にリコールの対策費として13億ドルを計上。4~6月期は4億ドルを見込んでいたが今回の追加リコールで7億ドルに増やす。今後、さらにリコールが広がり、費用が膨らむ可能性もありそうだ。
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