日航再上場、初値3810円 売り出し価格20円上回る
日本航空(JAL)が19日、経営破綻に伴う上場廃止から2年7カ月ぶりに、東京証券取引所第1部に再上場した。初値は売り出し価格(3790円)を20円上回る3810円だった。時価総額は約6900億円と世界の航空大手の中でも屈指の規模。世界の株式市場では米フェイスブックに次ぐ今年2番目の大型上場となった。
日航は株式再上場を経営再建の総仕上げと位置付けている。今後はアジア・欧米間の中・長距離国際線事業を中心にした成長戦略に軸足を移す。日航の植木義晴社長は同日、「過去の失敗を悔恨し、安全運航と快適なサービスを通じて業績向上に努めたい」とコメントを発表した。
日航再建を主導してきた官民ファンド、企業再生支援機構は保有する日航株をすべて売却。出資した公的資金(3500億円)を回収し、3000億円近い売却益を得た。日航への公的支援は国民負担なく終結する。
日航株は午前9時の取引開始とほぼ同時に初値を付け、一時は売り出し価格を115円(3%)上回る3905円まで上昇した。時価総額はライバルの全日本空輸(ANA、約6400億円)を超えた。世界の航空会社でもシンガポール航空(約7900億円)などと上位群を形成する。
日航は2010年1月に会社更生法の適用を申請、同年2月に上場廃止となった。京セラ出身の稲盛和夫名誉会長の下で不採算路線からの撤退などリストラを進めた。12年4~6月期は欧州債務不安や燃料高で欧米の航空大手が軒並み赤字・減益になる中、日航の連結純利益は前年同期比2倍の269億円と過去最高だった。高い収益力を背景に「株式市場でも個人や外国人など幅広い買いを集めた」(国内証券)。
しかし格安航空会社(LCC)の台頭や首都圏空港の発着枠拡大で航空業界の競争は一段と厳しくなりそう。日航は国際線事業の拡大などで、これまで抑えていた航空機投資や人件費が今後膨らむ見込みだ。身軽なコスト体質の維持が課題になる。