国連、パレスチナを「国家」に格上げ 決議案採択
【ニューヨーク=共同】国連総会(193カ国)本会議は29日午後(日本時間30日午前)、パレスチナの国連での資格を「オブザーバー組織」から「オブザーバー国家」に格上げする決議案を採決し、賛成138、反対9、棄権41の賛成多数で採択した。
パレスチナは国連で「国家」の扱いを受けることになるが、実質的な権利の拡大は伴わず、象徴的な意味にとどまる。
決議はパレスチナの資格について「国連の正式メンバーではないオブザーバー国家資格を認める」とした。1967年の第3次中東戦争より前の境界線に基づくパレスチナ国家とイスラエルの2国家共存を要求し、中東和平交渉の再開と加速を求めた。
米国とイスラエルは「一方的な行動で和平につながらない」と批判している。今後米国からパレスチナ自治政府への財政支援の停止や、イスラエルが自治政府の代行として徴収した税金の送金凍結などの可能性が指摘されている。
パレスチナは昨年9月、国連に国家としての正式加盟を申請したが、安全保障理事会で拒否権を持つ米国が反対、審査が棚上げとなっていた。オブザーバー国家への格上げは、拒否権の制度がない総会での決議だけで認められる。