認知症で不明1万人超 13年、所在未確認2年で258人
認知症が原因で行方が分からなくなったとして、昨年1年間に家族などから警察に届け出があった不明者は、2012年から715人増の1万322人だったことが5日、警察庁のまとめで分かった。12、13年の2年間に届け出があった計1万9929人のうち、今年4月末時点で所在が確認できていない人は258人に上った。
警察庁は5日、認知症の行方不明者に的を絞った対策を初めてまとめ、全国の警察に指示。保護されても、自分の名前が分からないという人の身元を着衣や所持品などから確認できるようにするため、犯罪捜査で使用される不明者照会データベースを活用するほか、市区町村との情報共有を促進するよう求めた。
警察庁によると、家族などから届け出があった行方不明者のうち、昨年中に所在が確認された人は、12年以前に届け出があった92人を含め1万180人で、うち388人は死亡していた。
所在確認までの期間は、届け出の受理当日が6443人(63.3%)、2~7日間が3506人(34.4%)で、97.7%が7日以内に確認される一方、32人は2年以上かかっていた。
所在が確認された状況別では、警察による発見が6045人、自宅に戻ったところを家族が確認したケースが3464人で、283人は届け出た家族らの勘違いなどだった。
認知症の行方不明者をめぐっては、07年に群馬県館林市で保護された女性の身元が今年5月、テレビ番組をきっかけに判明した際、市が当初から女性の名字を確認していたにもかかわらず、群馬県警が昨年12月まで把握していなかった問題が表面化。警察庁が行方不明者の早期発見や身元確認対策を検討してきた。〔共同〕