缶コーヒー、4割がアルミ缶に 15年国内出荷見通し
缶コーヒーの素材が大きく入れ替わる。アルミ缶リサイクル協会(東京・中央)が13日公表したアルミ缶の2015年の国内出荷見通しは、前年見込み比8%増の210億缶となった。増加分のほとんどが缶コーヒーという。スチール製の割合が高かった市場だが、アルミ製が4割に増える計算だ。ペットボトルなど容器が多様化し、市場の争奪戦が激しくなってきた。
「今年が一つのヤマになる」。13日に記者会見した白井啓一理事長はこんな見解を示した。念頭にあるのは飲料大手、日本コカ・コーラの動きだ。業界団体はミルク入りコーヒーへのアルミ缶使用を認めない安全検査ルールを昨年8月に改正。それと前後して、コカ・コーラはアルミ缶への切り替えに動いた。
協会の予測では非アルコール飲料のアルミ缶出荷量が13年の61億5千万缶から15年には85億缶に増える。年間100億缶弱といわれる缶コーヒー市場でのシェアは2割から4割になる計算だ。
昭和電工は需要拡大を見越し、事業子会社の小山工場(栃木県)に年数億缶規模でアルミ缶の製造ラインを新設。昨年10月から稼働した。
新日鉄住金など製鉄会社はスチール缶の材料であるティンフリー鋼板の出荷減に直面する。原料である鉄鉱石価格は1トン60ドル程度まで1年で5割超下落した。コスト面ではアルミ缶と拮抗しているが、白井理事長は「スチール缶は日本にしかない。(飲料会社などが)グローバル調達するにはアルミ缶が優位だ」と強調する。
全国清涼飲料工業会(東京・中央)によると、コーヒー飲料はペットボトルでの販売が年々増えており、13年は60万キロリットル超と全体の2割にのぼった。コンビニでは紙コップでの販売も増えている。コーヒー容器を巡るシェア争いの行方はまだ混沌としている。