陸奥湾イルカを観光・教育活用 遊覧船観測やビーチ整備も
青森県の陸奥湾を回遊するイルカを観光や教育に活用しようと、湾に面したむつ市は観光遊覧船に新しく「イルカウオッチングコース」を設け運航を始めた。1日1便で6月18日まで。生態研究も目的で、傷ついたイルカを保護し、人が触れ合えるビーチの整備も検討している。
陸奥湾には4月下旬から6月中旬、餌となるイワシなどを求めてカマイルカが集まるが、地元住民や漁師以外にはあまり知られていない。小型で動きが素早いため調査が難しく、生態や回遊ルートにも不明な点が多かった。そこで、むつ市は研究・保護と並行し、陸奥湾イルカの認知度を上げようと動き始めた。
遊覧船は午前9時に市内の脇野沢港を出港し、イルカのいそうな場所を1時間かけて航行する。
海水浴場に面した海に保護用の巨大な網を設置し、定置網に引っ掛かるなどしてけがをしたイルカを収容。自然環境の中で放し飼いにし、療養させながら生態を調べる。イルカとの触れ合いが人の精神を癒やす効果に着目し、将来的にはアニマルセラピーができるビーチをつくりたい考えだ。
市の事業に携わるNPO法人シェルフォレスト川内(むつ市)の五十嵐健志理事長は「イルカ研究を中心に観光や教育、セラピーなどの面で、陸奥湾を人の集まる場所にしたい」としている。〔共同〕