スリランカ議会選挙、与党陣営勝利 中国依存修正など継続へ
【コロンボ=堀田隆文】17日に実施されたスリランカの議会選挙(一院制、定数225)はシリセナ大統領を支持する統一国民党(UNP)など与党陣営が勝利した。シリセナ氏が1月の大統領選で破ったラジャパクサ前大統領を擁する野党連合は思惑通りには議席を伸ばせなかった。過度の中国依存の修正などシリセナ政権が進めてきた政策は継続する見通しだ。
各党ごとの選挙区での獲得議席数は固まり、UNPなど与党陣営は93、野党連合である統一人民自由連合(UPFA)が83。これに比例区の議席を加え、全体の225議席のうち与党陣営は106、野党連合は95となったもようだ。
UNPを率いるウィクラマシンハ首相は「(これは)国民の勝利だ」と述べ、事実上の勝利宣言をした。今後、各党の当選者が順次、発表される予定だ。
議会の過半数を占めるには113議席以上が必要だが、与党陣営は友好関係にある少数派タミル人政党などの協力を得られれば過半数を確保できる情勢だ。選挙後の連立工作などで勢力を拡大するとの見通しが強まっている。現地の政治アナリストは「野党連合の一部議員が与党に協力する動きも出てきそうだ」と話す。
シリセナ氏は1月の大統領選で、UPFAの中核であるスリランカ自由党(SLFP)の党首だったラジャパクサ氏に造反し、UNPと組んで勝利した。
しかし、シリセナ氏は大統領就任後、「大統領に就いた党員を党首にする」というSLFPの規約に基づき同党党首に就いた。党内には自身の支持者も残っている。野党連合の多くはラジャパクサ氏支持とされるが、今回の選挙で当選する議員のなかにも「シリセナ派」が存在する見通しだ。
与党陣営の勝利は、野党連合が擁したラジャパクサ氏の汚職疑惑や行き過ぎた家族主義に対し、国民の間で根強い批判があることを浮き彫りにしたといえそうだ。選挙期間中には「今回の選挙は今までで一番クリーンで自由だ」と、シリセナ政権による選挙運営を評価する声も多かった。
ラジャパクサ氏は議員として当選する公算が大きい。だが、野党連合が大勝できなかったことで、目指していた首相就任の可能性は薄い。AFP通信によると、ラジャパクサ氏は18日朝の時点で「首相になる夢は消えつつある」と話し、事実上の敗北宣言をしたとされる。
シリセナ氏と与党陣営は、ラジャパクサ氏が推進してきた対外政策における過度の中国依存を修正し、インドや欧米、日本などとの関係強化も図る「全方位外交」を掲げている。今回の選挙結果を受け、この路線も継続するとみられる。