東京圏特区は医療先行 政府、混合診療3病院で
東京圏の国家戦略特区は医療の規制緩和が先行しそうだ。政府は9日に区域会議を開き、保険外診療を公的保険と併用できる混合診療を、慶応義塾大学病院で実施するなどの区域計画を決めた。約30年ぶりに医学部の新設を千葉県成田市で実現するために、官民の分科会を設置することも決めた。一方で外資系企業の誘致につながる事業は今後の課題となった。
区域会議は国・自治体・企業が、規制緩和を活用して実施する具体的な事業を話し合う。同日の会議は石破茂地方創生相、舛添要一都知事、合場直人三菱地所専務執行役員らが参加した。同会議でまとめた区域計画を政府は年内にも認定する見込みだ。
同日決めた区域計画は東京圏で第1弾の事業計画となる。慶大病院、独立行政法人国立がん研究センター、東京大学医学部付属病院の3病院で、がん治療などに国内未承認薬を混合診療として活用できる特例を盛り込んだ。今でも同様の治療は可能だが、実施には手続きなどに6カ月かかる。特区ではスピード審査をすることで半分の期間で治療が可能になる。
先端医療を実現するための病床増設の特例も、東京都と神奈川県の4拠点で活用する。起業家のための雇用労働相談センターを1月末に都心で開くことや、都市計画の特例を使った日比谷地区の再開発も計画に入れた。
会議では区域会議のもとに東京都・神奈川県・成田市がそれぞれ分科会を作る方針も確認した。特に成田市では国際医療福祉大と共に、1979年以降認められてこなかった医学部の新設を目指す。会議で成田市側は「来週にも分科会を立ち上げたい」と説明した。
起業手続きの簡素化や、起業を目指す外国人の在留要件緩和など、海外からの投資呼び込みを目指した政策は、特区法改正案に盛り込んでいたものの、衆院解散の余波で廃案になった。石破地方創生相は閣議後の記者会見で「廃案になった影響がないとはしない」と述べた。選挙後、どれだけこの分野の遅れを挽回できるかが焦点となる。
関連企業・業界