「北斗星」の思い出 市民ら街おこし
北海道北斗市に6月、廃止された寝台特急「北斗星」の客車を展示する「北斗星広場」が開業した。市民団体が町の活性化を願って、資金を集めて整備。全国からファンが訪れる人気スポットになっている。
中学校の移転に伴い、使われなくなったグラウンドを活用した広場に、かつて札幌と上野を結び、北斗市内も走った寝台特急「北斗星」のブルーの客車2両が展示されている。客車の隣には、中華料理店「北斗軒」もオープンし、有志が植えた黄色のマリーゴールドが訪問客を迎え入れる。
北斗星は1988年に青函トンネルの開通とともにデビュー。廃止後はJR北海道が解体するはずだったが、市民団体のメンバー、沢田導俊さん(37)が「北斗星のファンは全国にいる。市内も走った縁のある車両を誘致すれば人を呼び込める」と思い立った。
客車の輸送や設置のための資金が課題だったが、昨年春にインターネットで出資を募るクラウドファンディングを始めたところ、1カ月間で約1500万円が集まった。
客車は昨夏から先行公開。埼玉や鹿児島など全国各地から1日平均100人のファンが集まり、シンガポールや台湾といった訪日客も来た。「子供のころに家族で札幌に帰る際は、決まって北斗星だった」などと懐かしむ人も多いという。
7月下旬、広場を訪れた北斗市の無職、北村義さん(76)は「地元ににぎわいの場所ができるのは良いこと。中華料理もおいしかった」と笑った。沢田さんは「まだまだスタートラインに立ったばかり。愛される観光地になるよう、地域の人と考えていきたい」と話す。〔共同〕