英ピアソン、エコノミスト誌の株式50%売却 伊社などに
【ロンドン=小滝麻理子】英教育・出版事業大手のピアソンは12日、グループで保有する英経済誌エコノミストの株式50%を4億6900万ポンド(約910億円)でイタリアの投資会社エクソールなどに売却すると発表した。7月に傘下の経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の売却で日本経済新聞社と合意したのに続き、メディア事業の売却を進めて教育事業に特化する。
日経へのFTグループの売却にはエコノミストの株式は含まれておらず、今後の対応が注目されていた。
声明文によると、ピアソンはエクソールにエコノミスト・グループの普通株の27.8%を2億2750万ポンドで、それ以外の特殊株を5950万ポンドで売却する。ピアソンが保有する残りの普通株はエコノミスト・グループが1億8200万ポンドで買い戻す。
これによりエクソールのエコノミスト・グループの持ち株比率は4.7%から43.4%に上昇し、筆頭株主になる。
今後は1つの株主が20%を超えて議決権を行使できないように定款を変える。いずれの株主も過半数を取得できないよう取得上限も導入し、編集の独立性を守る考えだ。
イタリアの財界で有力なアニエリ一族が率いるエクソールは、欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズの主要株主として知られ、近年はイタリアの新聞やメディア企業への投資を積極化している。エクソールのジョン・エルカーン最高経営責任者(CEO)は「我々はエコノミスト誌の証しである編集上の信頼と世界への見識に敬意を払っている。これまでのメディア企業への投資と一貫したものになる」と述べた。
ピアソンのジョン・ファロンCEOは声明文で「ピアソンは今後教育事業の世界戦略に100%集中する」とコメントした。
エコノミスト・グループの2015年3月期の売上高は前の期に比べ1%減の3億2800万ポンド、営業利益は2%増の6000万ポンドだった。購読者数は約160万で、ここ数年は頭打ちになっている。今年2月には新しい編集長に初の女性としてザニー・ミントン・ベドーズ氏が就任した。