「小沢氏出馬」で民主二分
菅陣営「まだ起訴の可能性」 盛り上がる「反菅」勢
9月の民主党代表選に向け菅直人首相の再選を支持する陣営と、対抗馬を模索する「反菅」陣営の駆け引きが20日、激化した。「反菅」陣営は小沢一郎前幹事長の出馬待望論を強め、菅陣営は脱小沢路線を堅持する構えをみせて対抗している。
「反菅」陣営の中核の一つ、鳩山由紀夫前首相のグループが長野県軽井沢に約160人を集めた研修会から一夜明けた20日。菅陣営は小沢氏待望論を標的に反撃に出た。
「果たして民主党立党の原点に返ったときにどうなのかという感じだ」。岡田克也外相は記者会見で、検察審査会が政治資金規正法違反事件で強制起訴の是非を検討している小沢氏を「起訴される可能性がある方」と断じ、待望論に疑問を投げかけた。
仙谷由人官房長官は記者会見で、小沢氏が代表選に出る資格があるかと問われると「(出馬を)検討しているんですか、本当に。私は存じ上げない」と応じた。
仙谷氏が主宰する前原誠司国土交通相を支持するグループ「凌雲会」は夜、都内のホテルで約50人が会合。首相再選支持と「脱小沢」路線の堅持を改めて確認した。枝野幸男幹事長も出席した。
首相自身も仙谷氏らと同調した。記者団には「私は政権を担当することになり、政策調査会(政調)を復活した。全員が参加する政権運営、党運営は実現しつつある」として、挙党態勢は実現済みとの認識を示した。
一方の反菅陣営。小沢氏側近の山岡賢次副代表はテレビ朝日番組で「いまは国民生活を守る時で、危機管理内閣をつくるべきだ。それをやりうる力のある人は誰なのか。皆さんの意見はかなり小沢さんだ」と述べた。山岡氏は番組後、来週にも小沢氏に出馬要請したい考えを示した。
夜には都内の日本料理店で鳩山グループの樽床伸二国会対策委員長と平野博文前官房長官、小沢グループの三井辨雄国対委員長代理と樋高剛前副幹事長らが会合。「この難局を乗り切るには小沢さんしかいない」との認識で一致し、輿石東参院議員会長と密接に連携していくことになった。
小沢氏は20日、都内の自宅にこもった。関係者によると、小沢氏は14日、京都市内の料亭旅館で引退した前参院議員の高嶋良充、佐藤泰介両氏を慰労した際に「9月が勝負だ」と漏らしたという。