宝塚歌劇花組公演「ミー&マイガール」(29日開幕、宝塚大劇場)の前夜祭が8日、兵庫の同劇場で行われ、花組トップスター明日海(あすみ)りおが、年齢など現実世界を想起させてはならない「すみれコード」にあわや抵触するピンチに陥った。

 「ミー&-」は1937年にロンドンで初演された世界的ヒット作。宝塚では87年、剣幸(つるぎ・みゆき)、こだま愛を中心とした月組で初演。以来、95年の天海祐希、麻乃佳代(あさの・かよ)、08年の瀬奈じゅん、彩乃かなみらで再演が重ねられてきた。

 OGで同演目に300公演以上出演してきた未沙のえるが、この日のトークを進行。初演から29年…と話題になったときだった。まず、7年目のトップ娘役、花乃(かの)まりあが「29年前に生まれてないよね…」と振られ、花乃は「はい…」。続いて、トップ明日海に「みりお(明日海)は?」と質問が飛んだ。

 微妙な年ごろの明日海は「……」と沈黙。「私はすみれコードの問題で、いるかいないか…ちょっと…」と困惑。劇場も爆笑で、未沙らは「あ、そっか、すみれコードね」とフォローして事なきを得た。

 開幕を目前に控え、けいこも佳境な中での前夜祭。緊張気味の明日海らも一気にリラックスムードへ。麻乃は95年当時を振り返り、天海祐希との思い出を話し始めた。

 天海は前代未聞、入団1年で「ミー&-」の新人公演で主演しており、時を経た95年に本公演主演。これが退団公演だった。

 麻乃によると、天海は退団公演当時、新人時代を思いだし「(新人公演主演は)あまりにも何も分からない1年目でどうしようと思っていたら、当時(本公演で)主演の剣さんが『あなたはそのままでいいのよ』と、顔をギューッとしてくれて落ち着いた」と話していたという。

 同時退団だった麻乃は、感慨深い思いを胸に宝塚人生を締めた天海との時間を共有し「深い、深い思い出だった」と話した。

 大先輩の話に聞き入っていた明日海も、この日ゲストで来場していた瀬奈が主演した08年公演時の新人公演で主演経験があり、本公演では娘役ジャッキーを演じていた。

 明日海は「私も不安でいっぱいで、(本番直前の)通し稽古で、瀬奈さんから『よかったよ~』と言ってもらって、涙がポロポロ出ました」と照れながら明かした。

 その明日海は花乃、芹香斗亜(せりか・とあ)ら花組を率いて、「ランベス・ウオーク」を披露。帽子を操る「ハット・トリック」も見せた。これを見た瀬奈は「みりおちゃんがこんなに立派になるなんて…」。自らの在籍時は新人だった明日海がトップへと成長した姿に目を細めていた。