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WBC熱 米に温度差 大リーガーはシーズン第一

2009年2月24日11時44分

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写真06年大会で、メキシコに敗れがっくりするジーター(中央)ら米国代表選手たち=AP

写真2月初旬、ドミニカ共和国で練習するロドリゲス(ヤンキース)。左はギーエン(ロイヤルズ)=AP

図拡大WBCの日程と会場

 野球の国・地域別対抗戦、第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が目前に迫った。06年に開かれた第1回大会と同じ顔ぶれの16カ国・地域が参加する。連覇を目指して盛り上がる日本代表と比べ、世界一奪取を目指す米国代表などは静かに開幕を待つ。キャンプ地フロリダ州でWBCへの取り組みを取材した。

    ◇

 「代表のユニホームを着ることは誇りに思う。私自身、例年よりも早めに始動した。WBCは大きな挑戦。絶対に勝ちたい」。米国代表の主将デレク・ジーター内野手(ヤンキース)は、力を込めて話した。06年の第1回大会も出場したが、2次ラウンドで敗退。「野球の本場」の名誉にかけても、頂点を目指す意欲を見せている。

 今大会に向けて早めに動き出した候補選手は多い。昨季のナ・リーグ首位打者チッパー・ジョーンズ内野手(ブレーブス)は、チームメートよりも一足先にキャンプ地に入り、フリー打撃などをこなしてきた。「生きた球を打って目を慣らしている。シーズンとは違う楽しみがある」

 ただ、米国代表が集合するのは3月2日。1次ラウンドまでの準備期間は、5日間しかない。長いシーズンを戦う下地を作るこの時期に、所属チームを離れられないというのが現実だ。

 加えて米国は、ベストメンバーを組めなかった。昨季、20勝以上をあげた4投手の名前はない。昨季14勝をあげ、ワールドシリーズでもMVPに輝いた左腕コール・ハメルズ投手(フィリーズ)も出場しない。「百%の状態でないのに投げるのは嫌だ。前回大会に出場した投手は、準備不足のため公式戦で低迷した。僕の目標は、ワールドシリーズで勝つことだ」

 ドミニカ共和国代表は、2月28日前後にフロリダ州ジュピターに集結する。強打者アレックス・ロドリゲス内野手(ヤンキース)の参加もあり、優勝候補に挙がっている。前回は米国代表で出場した同選手だが、今回は両親の出身地であるドミニカ共和国の代表に加わった。

 しかし、ここでも温度差はある。昨季のナ・リーグMVPのアルバート・プホルス内野手(カージナルス)は大会で故障した場合、保険でカバー出来ないことを理由に出場を辞退。若手のメルキー・カブレラ外野手(ヤンキース)は、自分が候補に選ばれたことを知らなかった。リストを見せられると「いつの間に……。チームで定位置をとりたいから練習に専念する」。

 年間王者が「ワールドチャンピオン」と呼ばれるように、シーズンで結果を出すことが、大リーガーの目標だ。昨季「世界一」に輝いたフィリーズのチャーリー・マニエル監督は「野球は毎日の継続で調整するもの。故障も怖い」。そして、こう言った。「3年前、私は日本の優勝を予想していた。彼らは連覇するだろう。野球に関し、日本人は完璧(かんぺき)に整えてくる。文化の違いだ」

 2次ラウンド以降は第1回大会同様に米国内で開催される。目の前で熱戦が繰り広げられれば、ファンもメディアも熱くなるだろう。ただ、現時点でWBCに関する米メディアの反応は鈍い。AP通信のマーク・ディトラー記者は言う。「WBCはオープン戦みたいなもの。それよりも、(3月3日の)米国代表とヤンキースの練習試合が話題になる。ジーターが、ヤンキースと初めて対戦するんだ。こういうニュースの方がおもしろいね」

■欧州も冷ややか

 欧州勢はオランダとイタリアが前回に続いて参加する。両国とも欧州のなかでは野球が盛んで、ともに五輪は過去4回出場している。

 オランダの投手陣の軸は、オリオールズやヤンキースでプレーし、大リーグ通算90勝のシドニー・ポンソン。現在はフリーエージェントで所属先が決まっておらず、WBCは実力を改めて示す場所にもなる。一塁手のランドール・サイモンは05年にオリックスでもプレーした元大リーガーだ。2人はともにカリブ海のオランダ領の島出身だ。

 イタリアで期待されるのは、カブス傘下でプレーする23歳の右腕、アレサンドロ・マエストリ。イタリアのアカデミーで育ち、イタリア生まれの選手で初めて大リーグチームと契約した。

 五輪競技復活を目指す野球界としては、欧州勢が奮闘すればいいアピールになるはず。ただ、各国の連盟関係者は冷めた反応だ。「代表の勝利が野球人気を高めるはずだが、あまり期待できない」とオランダ連盟の広報担当者。イタリア連盟は「試合はこちらの深夜。野球人気にはあまり貢献しないだろう」と話す。(ロンドン=村上研志)

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