東京・秋葉原で通行人ら17人が死傷した無差別殺傷事件で、精神鑑定のために鑑定留置されていた元派遣社員加藤智大容疑者(26)について、6日までに「刑事責任能力がある」という結論が出されたことがわかった。東京地検はこの鑑定結果を受け、勾留(こうりゅう)期限の10日にも殺人や殺人未遂などの罪で加藤容疑者を起訴する見通しだ。
また、事件を担当した東京地検検事らが6日から、遺族や重傷を負った被害者らに対し、鑑定結果の内容や刑事処分の方針などの説明を始めた。
刑事裁判で犯罪被害者や遺族が法廷に入り、被告人質問などを行えるようにする「被害者参加制度」が12月から開始される。この制度開始を控え、東京地検は遺族らに配慮し、鑑定結果などの説明が必要と判断したものとみられる。
東京地検は7月7日、東京地裁に加藤容疑者の鑑定留置を請求し、認められた。加藤容疑者が起訴された場合、公判で最大の争点になると想定される刑事責任能力を確認するのが目的だった。公判の迅速化や事案の重大性を考慮し、本鑑定を3カ月間実施。鑑定中は勾留はいったん停止され、事件当時の心理状態や成育状況などが調べられた。
秋葉原電気街で6月8日に起きた事件では、買い物に来ていた男性やアルバイト中だった大学生らがトラックにはねられたり、刺されたりしたとされ、7人が死亡、10人が重軽傷を負った。