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日本の消費税15%をIMF提言 来年度から段階的に

2010年7月16日9時13分

 【ワシントン=尾形聡彦】国際通貨基金(IMF)は14日、日本に対する2010年の年次審査で、来年度から消費税率を引き上げるべきだと提言した。ギリシャなど欧州の財政危機問題が、財政状態が飛び抜けて悪い日本へも及ぶ危険があるとみているためだ。ただ、消費増税の必要性を強く打ち出す姿勢は、日本の財務省の主張をなぞっているような側面も目立つ。

 10年版の年次審査で、IMFは「最近の欧州の混乱は、政府債務リスクへの日本の脆弱(ぜいじゃく)性を高めている」と指摘した。世界の投資家の間で、主要国の財政の持続可能性への関心が高まるなか、債務残高が国内総生産の約2倍に達し、主要国の中で最悪の日本の財政状態への不信感が高まりかねないという危機感が背景にある。

 6月末のカナダでのG20サミットでは、先進国が2013年までに財政赤字を半減することを合意したなかで、日本だけは例外扱いとなった。日本の公的債務の95%が国内で保有されているという特殊性はあるとはいえ、日本の財政の悪さは際だっている。

 IMFは、11年度から消費税増税に着手する必要性を強調。現在5%の消費税を、10年程度かけて15%まで引き上げる案を軸に、14%〜22%まで税率を上げる選択肢を示した。

 だが、財政再建の手法として、消費増税に偏っている点は否めない。所得税については「控除の見直し」に触れている程度だ。日本の財政悪化の原因は、90年代前半には約27兆円あった所得税収が現在は半減しているという「所得税の空洞化」も大きい。法人税の課税ベースが小さくなっているとの指摘もあるが、IMFは、日本の財務省と同じように、消費税率には引き上げ余地が大きいとの側面に焦点を当てている。

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