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北朝鮮、イランに潜水艇輸出 米韓が確認

2010年6月10日7時8分

 【ソウル=牧野愛博】米韓両国は、北朝鮮が韓国哨戒艦沈没事件で使ったとされる「ヨノ(サケ)級」潜水艇(130トン)を数年前にイランに輸出していた事実を確認した。複数の軍事関係筋が明らかにした。イランと北朝鮮の軍事交流は弾道ミサイルを巡る協力から始まったが、最近は潜水艇やウラン濃縮技術にも拡大しているという。

 同筋の一人によれば、米国政府は最近、哨戒艦沈没の原因究明の一環として、2007年前後にイランの港で撮影したヨノ級潜水艇の写真数枚を、韓国側に提供した。クレーンを使って潜水艇を移動させる写真などで、イラン政府関係者とみられる人物も写っているという。

 韓国国防省は先月末、04年6月に平壌にある特殊船舶造船所でヨノ級潜水艇が建造されていた事実を公表した。主に輸出の目的で造られた可能性が高いという。

 また、別の関係筋によれば、米韓両国は08年ごろ、イランが「カディール級」潜水艇(120トン)を保有している事実を確認した。外観がヨノ級潜水艇と酷似しているほか、韓国哨戒艦を沈没させた北朝鮮製重魚雷「CHT―02D」も装着できるという。イランがヨノ級潜水艇を改造したか、北朝鮮の設計図を元に独自に開発した可能性もある。

 軍事関係筋の一人は、イランの輸入目的について、「ペルシャ湾のホルムズ海峡の封鎖などに使う目的があるのではないか」と語った。

 北朝鮮は87年ごろから短距離弾道ミサイル「スカッドB」の改良型をイランに大量輸出し、軍事協力関係が本格化した。イランの資金援助もあり、中距離弾道ミサイル「ノドン」の開発に成功。イランのミサイル「シャハブ」開発にもつながるなど、関係を維持してきた。イランは北朝鮮製兵器の対価として、ウラン濃縮技術に必要な設計図や知識も伝えているという。

 北朝鮮の軍事輸出は、06年と09年に実施した核実験に伴う国連制裁によって急減している。ただ、追跡が難しい軍事製品の設計図や技術者のやり取りは依然続いている可能性が高い。

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