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鋭い批評、こびずに1000回 永六輔のラジオ生番組

2010年6月7日

写真:自身のラジオ番組が1000回を迎える永六輔=東京・赤坂のTBSラジオ(同社提供)拡大自身のラジオ番組が1000回を迎える永六輔=東京・赤坂のTBSラジオ(同社提供)

 放送界の草分け、永六輔がパーソナリティーを務めるTBSラジオの生番組「土曜ワイドラジオTOKYO 永六輔その新世界」(土曜午前8時半〜午後1時)が、12日の放送で1000回を迎える。最近は永のしゃべりが聞きづらいこともあるが、激励の手紙で支えるリスナーとの信頼関係は厚い。豊富な話題、鋭い批評性に、人気はむしろ高まりつつある。

 「その新世界」は1991年4月13日にスタート。永は1度も休まず、入院先から出演したこともあるという。最近では基地移転に揺れる沖縄に焦点をあてるなど、社会の幅広い話題を生でしゃべりつくす番組だ。

 同局によると、人気が上昇中。2カ月に1回の個人聴取率調査(ビデオリサーチ調べ)では、これまでも上位の数字を維持してきたが、2、4月には2回連続で首都圏ラジオ局の全ワイド番組のなかでトップの数字を記録した。

 プロデューサーを務める同局の碧海(あおみ)純・制作センター長は「話題の豊富さは群を抜き、社会に対する批評は刺激的でユーモアにあふれている。心地よい音楽としゃべりという番組ではない。だが、エンターテインメントでありながら中身は本当に濃密。世の流れにこびない永さんの生き方そのものが、支持されているのでは」と話す。

 大橋巨泉、きたやまおさむ、ピーコら、鋭い批評眼を持つゲストが入れ代わり立ち代わり訪れるのも特徴。リスナーの手紙やメールの指摘に刺激を受け、話題が広がり、深まっていく。永は番組に届くすべての手紙に目を通す。

 最近は永の声がかすれたり、ろれつがまわらなかったりして聴きにくくなってきたが、リスナーからの手紙の多くは激励だ。「父も晩年は言葉が不自由になった」などと、自らの人生に重ね合わせて聴き続けている人もいるという。

 2000年からアシスタントの外山恵理アナウンサーには、永の人柄と、リスナーとの厚い信頼関係を知った忘れがたい思い出がある。外山が担当になる前週、外山の起用に反対する投書が番組に相次いだ。しかし、スタート時には「永さんの言う通り、見守りたい」という手紙が届く。外山は「永さんは一言もおっしゃらないが、一人ひとりに返事を書いて下さったと思う」と振り返る。

 放送界にかかわって60年以上になる77歳の永は淡々としている。「辞めろって言われればすぐに『はい』って辞めます。待っている人がいれば続けるけど、僕が気にすることじゃないから」(丸山玄則)

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