審議会

総合資源エネルギー調査会石油分科会石油部会燃料政策小委員会(第 8回) 議事録



                           平成15年6月25日(水)

【御園生委員長】 それでは定刻となりましたので、ただいまから総合資源エネルギー
調査会石油分科会石油部会燃料政策小委員会第8回会合を開催させていただきます。まず
本日の委員の出欠状況につきまして、事務局から報告をお願いいたします。
【畑田専門官】 本日の出欠状況でございますが、内田委員、それから宮本委員が所用
により御欠席との御連絡をいただいております。また、廣瀬委員は御欠席ですが、代理と
いたしまして濱田様に御出席いただいております。横山委員からは、30分ほどおくれて
御到着という予定を伺っております。また、事務局側といたしまして、資源燃料部長細野
が所用により途中で退席させていただきたいと思います。
【御園生委員長】 それでは、議事に入ります前に、本日の配布資料の確認を事務局よ
りお願いいたします。
【畑田専門官】 それでは、お手元の資料を確認させていただきます。まず資料1とい
たしまして、議事次第、資料2といたしまして、小委員会名簿、それから資料3といたし
まして、前回第7回の議事要旨がございます。次に資料4−1といたしまして、エタノー
ル許容値検証試験結果について(案)という資料でございます。資料4−2といたしまし
て、エタノール許容値検証試験データ集、資料5といたしまして、海外の導入実態、関連
施策の動向という資料でございます。もし不足等がございましたら、お申しつけください。
【御園生委員長】 よろしいでしょうか。
それでは、本日の議題に入りたいと存じます。まず、議題1としまして、エタノールの
ガソリンへの混合許容値等についての説明を事務局よりお願いいたします。
【畑田専門官】 それでは、資料4−1に基づきまして説明をさせていただきます。去
る6月20日の規格検討ワーキンググループにおいて御議論いただきまして、ワーキング
グループにおけるこれまでの検討を取りまとめていただいた内容について、事務局から御
説明をさせていただきます。
取りまとめの内容は、エタノール許容値検証試験結果についてということでございます。
最初のページにありますとおり、中身は1から6までの安全性等に関する各種の試験と、
7にあります許容値の設定についてということになっております。この資料中に細かい試
験データ等がありますけれども、そちらは御説明を省略させていただきまして、試験から
導かれますワーキンググループとしての結論に直接関係する部分のみ御紹介させていただ
きたいと思います。
まず、スライドの2番にあります、エタノール混合燃料の性状調査結果というところで
ございます。1枚めくっていただきまして、下のスライド、オクタン価というスライドが
ございますけれども、これにつきましては、エタノール混合率の増加に伴い、オクタン価
は上昇しますけれども、既存車には特に問題はないと考えられるとしております。
紙を1枚めくっていただきますと、次のページに、密度といたしまして、エタノールを
10%まで混合した範囲においては、JISのガソリン規格の範囲内であり、問題はない
であろうとしております。
同じページの下のスライド、6番ですけれども、蒸留性状については3つ目の「・」に
ありますが、エタノールをガソリンに混合する時には、ベースガソリンの基材を適切に選
択することによって、適正な蒸留性状を確保することが必要であるという結論になってお
ります。
次に紙を2枚めくっていただきまして、下半分のスライド、スライド10番の蒸気圧で
ございます。蒸気圧につきましては、エタノールを混合していくことによりまして上昇い
たします。これにつきましても同様に、ベースガソリン基材を適切に選択して、適正な蒸
気圧を確保する必要があるということでございます。
紙をめくっていただきまして、スライド11番、発熱量です。これは発熱量がエタノー
ルの混合により低下いたしますので、エタノール10%混合の場合に、燃費は3%程度悪
化すると考えられております。下半分のスライドで、酸化安定度でございます。2つ目の
「・」に書いてありますとおり、エタノールを混合しても既販車への影響は特にないと考
えられるということでございます。
また1枚めくっていただきますと、実在ガムというスライドがございまして、エタノー
ルを混合していくことによる、ガソリンの中にあります実在ガムへの影響は見られなかっ
たという結果でございます。
同じページの下のスライドで、貯蔵安定性というのがございます。3つ「・」がありま
すうちの2つ、酸化安定度、それから実在ガムというものにつきましては、3カ月放置し
た後も特に問題は見られませんでした。3つ目の水分濃度というものに関しましては、3
カ月放置したことによって、エタノールに関して水分濃度が増加していく傾向が認められ
たということでございます。
紙をめくっていただきますと、混合安定性という性状がございまして、これに関しては、
結論としては、エタノールを混合したガソリンについては、貯蔵時における燃料の適正な
管理が必要であるという結論を得ております。
次のスライドですけれども、材料影響試験結果ということで、金属材料影響試験に関し
ては、スライドにありますとおり、エタノール、それから各種のアルコールそれぞれの試
験を行っております。
紙を1枚めくっていただきまして、下のスライドにあります金属材料影響試験の結果(エ
タノール)とありますけれども、結果といたしまして、アルミニウム材料では3%以下の
混合率では、安全上問題となる影響が見られなかったものの、5%以上の混合率ではアル
ミニウムの腐食が確認され、安全上の問題が懸念されるということであります。
他方、メッキ材料である亜鉛、すず、それからターンシートと呼ばれるものに関しまし
ては、変色は見られましたけれども、安全上問題となる影響は認められなかったという結
果でございます。
次に紙を2枚めくっていただきまして、飛ばしているのは試験のデータそのものです。
金属材料影響試験結果の評価(エタノール)、スライド番号で22になりますが、そこにあ
りますとおり、金属材料影響試験の結果を踏まえると、ガソリンへのエタノール混合に関
する許容値については、金属腐食性という観点からは、3%以下とすることが必要である
という評価となっております。
続きまして、また1枚めくっていただきまして、各種アルコールに関する金属材料影響
試験の結果というスライドです。こちらは多くのアルコール混合ガソリンにおいて、金属
の腐食が確認されたということでございます。この中で、エタノールよりもプロパノール、
プロパノールよりもブタノールの方が金属腐食を発生させる最低の混合率が高いというこ
とが確認されております。
データがありますので、また紙を2枚めくっていただきまして、スライド27といたし
まして金属材料影響試験結果の評価(各種アルコール)というスライドでございます。こ
ちらにありますとおり、金属腐食性は、アルコールの炭素数の増加に伴って低くなる傾向
があるものと推定されるということでございます。
ここまでが金属材料試験でありまして、次に材料影響試験のうち、ゴムと樹脂でござい
ます。試験条件などが詳しく書いてありますので、ここでまた2枚紙をめくっていただき
まして、スライド番号で31になると思いますが、ゴム・樹脂材料影響試験の結果という
ところです。エタノール濃度の増加によりまして、以下の傾向が認められて、物性の低下
が確認されました。ゴム材料に関しましては、硬度、それから引っ張り強度が低下いたし
ました。また、体積変化率の増加も確認されております。樹脂材料に関しましては、降伏
応力、引っ張り弾性率の低下、それから体積変化率の増加といったものが確認されており
ます。
1枚めくっていただきまして、ゴム・樹脂材料影響試験の評価というところです。ゴム・
樹脂の物性低下、例えば膨潤等ですけれども、これは燃料ホースの抜け圧力の低下ですと
か、部品の機能低下を引き起こすとされております。このために、エタノール混合燃料を
使用する際には、ガソリンを使用した時と比較して、既販車の燃料耐性等が低下する可能
性がございます。しかしながら、試験結果を見ますと、3%以下のエタノール混合率にお
いて確認された物性低下は、既販車の安全性に影響を及ぼすレベルではないと考えられる
というのが評価でございます。
続きまして、排ガス試験結果のセクションです。1枚めくっていただいて、下のスライ
ドです。排ガス試験の結果というところをご覧いただきますと、全体としてエタノール混
合濃度を高めていくことによりまして、CO── 一酸化炭素が減少し、NOx──窒素酸
化物が増加するという傾向が確認されております。
これらの傾向は、エタノール混合に伴いまして、含酸素率といった指標、あるいは揮発
特性という特性が変化することによって、空燃費と呼ばれる比率が影響を受けたためと考
えられます。別途、アルデヒド類につきましては、全体としてはエタノールを混合してい
くことによりまして、アセトアルデヒドの増加傾向というものが確認されております。
またデータそのもののところは飛ばさせていただきますので、2枚紙をめくっていただ
いて、排ガス試験結果の評価というスライドでございます。エタノールを混合することに
より、NOx及びアセトアルデヒドの排出量が増加する傾向が確認されたということでご
ざいます。NOx等の排ガス性状及び排ガス浄化装置の耐久性は、燃料の含酸素率に影響
を受けることから、含酸素率の観点からも、混合率の条件を検討することが適当と考えら
れというのが評価となっております。
次の試験ですけれども、エバポエミッションの試験結果というセクションがございまし
て、エバポエミッションというのは、燃料蒸発ガスと呼ばれるものです。紙を1枚めくっ
ていただいて、下のエバポエミッション試験の結果というスライドをご覧いただきますと、
結果といたしまして、乗用車及び軽自動車の新車及び使用過程車において、エタノール混
合率が高くなると、燃料蒸発ガスの排出量は増える傾向をしめしたと。
次にE10、これはエタノール混合率10%の燃料の場合は、軽自動車の新車において、
平成12年度のエバポ規制値をオーバーしたことが観測されました。
データがありますので、また2枚紙をめくっていただきまして、エバポエミッション試
験結果の評価ということでございます。エタノール混合率の増加に伴って、燃料蒸発ガス
排出量が増加する傾向が確認されました。既販車で燃料蒸発ガスを規制値内に抑える観点
からは、エタノール混合率7%以下の範囲においては問題が確認されなかったということ
でございます。
次に、高温運転性試験という試験の結果でございます。これは試験内容が詳しく書かれ
ていますので、3枚紙をめくっていただきまして、高温運転性試験の結果というスライド、
スライド番号の51というところにございます。キャブレタ方式のエンジンにおいて、エ
タノールを7%以上混合したガソリンを使用した際に、運転性の悪化が生じたというのが
試験の結果となっております。
1枚めくっていただきまして、下のスライドは高温運転性試験の評価です。ドライバーの
意図しない車両の挙動、例えば加速おくれ等、これを防ぐ観点からは、エタノール混合率
5%以下の範囲では問題は確認されていないというのが評価となっております。
以上が、各種行われました試験の結果とその評価ということでございまして、最後に、
次のページ、7といたしまして、ワーキングとして取りまとめていただいた、試験結果を
受けたエタノール等許容値の設定についてというところでございます。次のスライドで5
6になるかと思いますが、許容値の設定に関して、まずエタノールのガソリンへの混合率
の上限は3%とするということでございます。
理由といたしまして、1つ目は、エタノール混合ガソリンを用いた金属材料影響試験に
おきまして、3%以下では安全上問題となる影響が見られなかったものの、5%以上では
アルミニウムの腐食が確認されたために、自動車の安全を確保する観点から、上限をこの
ように規定することが必要であるというのが1つ目の理由でございます。
次にありますのは、現行の品確法におきまして、排ガス性状の悪化を防止する観点から、
含酸素化合物であるMTBEの混合率は7%、これは別の指標で含酸素率という指標でい
いますと、1.3%相当とあらわすこともできますけれども、これが上限とされております。
エタノールに関しては、含酸素率1.3%に相当する混合率は、3.5%と計算されますの
で、混合率3%、E3といっていますが、これを上限とすることは、排ガス性状の観点か
らも適当であるということでございます。
また、最後にありますように、ゴム・樹脂の膨潤試験、あるいは排ガス、エバポエミッ
ション、高温運転性といった各試験においても、3%までの混合率においては問題は確認
されていないと。これらがエタノールの混合率上限を3%以下とすることの理由でござい
ます。
1枚めくっていただきまして、次のスライドです。今申し上げましたこととは別途、含
酸素化合物──含酸素化合物というのは、アルコール類などが含まれますが、これに関し
ては、合計の含酸素率が1.3%相当になる、その混合率を上限とするとしております。
理由ですけれども、現行の品確法において排ガス浄化装置の耐久性確保の観点から、含
酸素化合物であるMTBEの混合率は7%、含酸素率1.3%相当が上限とされております。
排ガスの中のNOx量及び排ガス浄化装置の耐久性は、燃料の含酸素率に影響を受けると
されておりますことから、エタノール以外の含酸素化合物については、MTBE7%に相
当する含酸素率1.3%をもとに規定することが適当であると。これが上記のように定める
べきではないかとしている理由でございます。
ただし、上記にかかわらず、メタノールに関しては、現行の規制を踏まえて、引き続き
「検出されないこと」と規定することが必要であるとしております。
同じページの下のスライドです。補足といたしましてここに書かせていただいておりま
すのは、6月20日の規格検討ワーキンググループで御議論いただいた意見を踏まえて、
以下のように記しております。
今回、エタノールとあわせてプロパノール及びブタノールについて行った材料影響評価
の結果によれば、含酸素率1.3%相当の混合率以下において、金属腐食性の観点からの問
題は確認されていないと。また、その他の試験項目についても、代表的アルコールである
ところのエタノールで行われた結果を踏まえれば、同混合率以下において、アルコール類
による問題を予想される結果は起きていないと。
こうした結果を踏まえて、今回、ガソリンへの混合が現実的に想定されている含酸素化
合物は何かというと、アルコール類、あるいはエーテル類ですけれども、これらを念頭に
含酸素化合物については、含酸素率1.3%相当の濃度を上限とする規制を設けることは適
当だと考えられるということでございます。
ただし、今後、今回の議論の中で混合の可能性が高いとは想定されていかなった含酸素
化合物がガソリンに混合されて、問題が生じる可能性が高いと判断される場合には、安全
性、排ガス等の観点から必要な検証を行って、適切な措置を講じていくことが必要である
と補足させていただいております。
次のページに、参考としまして、含酸素率とアルコール混合率の換算等を付しておりま
す。6月20日の規格検討ワーキングにおいて御審議いただきまして、取りまとめていた
だいた内容といたしましては、以上でございます。以上のとおり、御報告申し上げます。
【御園生委員長】 どうもありがとうございました。
ただいま事務局から規格検討ワーキンググループの検討結果について御説明がありまし
たけれども、御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。例によりまして、
御発言される方は、ネームプレートを立てていただければと思います。本日は実験結果に
ついてはあまり触れないで、それから導かれる結論を御説明いただきましたので、そのあ
たりについても御不明の点がございましたら、どうぞ御遠慮なくお聞きいただければと思
います。いかがでしょうか。山梨委員、お願いします。
【山梨委員】 18のところなんですが、金属材料影響試験の結果、エタノールで「メ
ッキ材料である亜鉛、錫及びターンシートでは、変色は見られたものの安全上問題となる
影響は認められなかった」と、この変色ということが継続すると、また何かということは
心配ないのか、どの程度が影響あるという境目と判断されたことなんでしょうか。
【畑田専門官】 恐らく御質問の御趣旨は、変色したものをさらにずっと放置すると、
腐食につながっていくのではないかという御懸念かと思いますけれども、今回省略させて
いただきました17というスライドがその上にございまして、金属材料影響試験につきま
しては、浸漬温度100℃、あるいは浸漬時間720時間という条件を設定しております。
この条件は、通常車が15年間使用された場合にさらされる条件と同じだと考えており
ます。また、以前火災事故等が起きた時には、実際腐食して、質量減少に相当する腐食が
起きて、それが事故になったとされておりますので、15年に相当するこの試験条件で変
色したということは問題ないと判断できるのではないかと考えております。
【御園生委員長】 よろしいでしょうか。松村委員、どうぞ。
【松村委員】 2点ございます。一つは、結論は既販車に対する安全性、そして排ガス
影響を起こさない濃度は3%ということは、いろいろなデータで非常に適切にまとめられ
ていると思うんです。これはあくまで既販車に対するそういったハームがない濃度と認識
しているわけですけれども、実際にこれを実行するに当たって、車に持っていくまでの流
通段階で2点懸念があると思っています。
スライド15番目のところに、「エタノールの混合率の増加に伴い水相容量も増加して
おり、貯蔵時における燃料の適正な管理が必要と考えられている」というところで指摘さ
れているんですけれども、実際にはこのレベルをどうすべきか、それからそういった材料
は、今の流通のものでよいのかとか、そこら辺、ここの委員会での議論かどうかわからな
いんですが、問題点として実際の流通の時に水分混入による、水側へのエタノールの移行
によるオクタン価の低下とか、それから水が非常に増えたことによる流通材料への腐食だ
とか、そういう問題が懸念されることが1点です。
それからもう一点は、これもこの委員会での議論になるかどうかわからないんですが、
エタノールに対する揮発油税の課税をどういうふうなやり方でやっていくのか。石油の場
合は、原油、あるいは製品を輸入して、そこで全部かけられるし、そういうジャンルの輸
入番号がついているからいいわけですけれども、エタノールの場合は、いろいろなところ
に使うわけですし、工業用、飲料用いろいろあるんでしょうけれども、そういったところ
をどういうふうにチェックしてやっていくのかというのが、ここの委員会かどうかわから
ないんですが、問題点として、実行するに当たった時に、そういう2つの懸念があるので、
どういうふうに明記するのか、あるいは今後の検討課題にするのか、問題提起としてどこ
かに表現していただければと。
【御園生委員長】 いかがでしょうか。
【西脇課長補佐】 今の松村委員の御指摘ですが、1つ目は流通過程における品質管理
等の問題、もしくは流通インフラへの影響になってくると思いますが、まさに委員が御指
摘のとおり、そういう問題があるというのは、我々としても認識しております。
今回品確法でエタノール許容値3%ないし含酸素率1.3%以下が適当じゃないかとい
うのは、あくまで品確法の趣旨である自動車用燃料として、自動車への影響ということで
見て定められるわけですが、それとは別途、流通過程への影響があるというのは認識して
おります。
この点については、私ども資源エネルギー庁の方でも、委託調査研究として石油業界の
協力なども得て、現在調査などもさせていただいておりまして、これは一つの課題として、
例えば、燃料政策小委員会で、エタノールの今後の中期的利用の中で出てくる話として、
一つの重要な論点として取り上げいくということが、今後やっていかなければいけないこ
とだと認識しております。
それともう一つ、税の話、あと税をどういうふうにきちんと適正に課税していくかとい
うところのお話が2点目だったと理解しているんですけれども、その点につきましても、
例えば、昨年12月に閣議決定されましたバイオマス・ニッポン総合戦略の中で、今後の
バイオマス燃料の中期的な利用に当たっては環境整備が必要だと記述されておりまして、
その中に、当然税の問題というのも入っていると思いますので、そういう意味で、今後税
のあり方と課税の仕方の部分というのも、政府全体の課題としては入っていると思います
し、また、それを受けまして、燃料政策小委員会の中でも、必要があれば触れていくこと
ができるんじゃないかと考えております。
【松村委員】 どうもありがとうございました。
【御園生委員長】 よろしいでしょうか。十市委員、どうでしょう。
【十市委員】 1点質問なんですけれども、先程の最後の許容値の設定についてのまと
めのところに関係して、質問をさせていただきたいと思います。
金属腐食ですとか、ゴムに対する影響というのは、この結果そのとおりだと思うんです
けれども、これは既販車ですから、将来的にE3ではなくて、E10とかになれば、当然
材料を変えることで対応できるという話はここでもありました。
続いて、よくわからなかったのは、排ガスとの関係なんですけれども、現在の排ガス規
制でいくと、含酸素率1.3%が規制になっているということでいきますと、現在の規制が
残る限りは、E3以上は無理だという理解でよろしいですか。要するに、排ガスの方の対
応でもまた設備対応とか、材料も含めて、そういう対応をしないと入らないという理解で
いいかどうかという点だけお願いします。
【畑田専門官】 委員御指摘のとおりだと思うんですけれども、今後3%を超えてどこ
までいけるのかを検討していくという時には、車両側の対応ですとか、インフラ側の対応
等含めて検討していただくことになりまして、その中には、排ガスに関する自動車側の対
応をどこまでできるのかということも含めて議論していくことになると考えております。
【御園生委員長】 よろしいでしょうか。八嶋委員、どうぞ。
【八嶋委員】 結論に異議を挟むつもりは別にないんですけれども、この3%という決
め方なんです。最初の方、前半の方の混合燃料性状調査というのは、1、2、3、4、5、
6というように、1%刻みでテストしていらして、その後の腐食とかというところになる
と、1、3、5と飛んでいるようなところ、ちょうど3%というのは、クリティカルなと
ころなので、資料がありながら、どうして4%をテストなさらなかったのかというのは、
こういう数字を決める時には、サイエンスといっていいかどうかわかりませんけれども、
気になるところかなと思います。特に、先程のお話のように、含酸素量でチェックすると
いうような話の時には、調測はクリティカルなところですね。ですから、なぜ4%でのテ
ストのデータがないのかという計画をお聞きしたいと思います。
【御園生委員長】 これは、初めに決める時に御審議いただいたことではございますが。
【八嶋委員】 そうですか。
【御園生委員長】 蒸留性状の方は、試験が簡単だからきめ細かく、後から追加してや
ったというような事情がたしかあったと思うんですけれども、いかがでしょうか。
【畑田専門官】 御指摘の点につきましては、2つあると思っていまして、一つは御指
摘のとおり、燃料性状のところでは、1%刻みで実験をしております。というのは、これ
は比較的容易にというか、短期間でできる試験ですので細かく刻んでおりますけれども、
別途材料試験といったところについては、これもできる限り細かいメッシュ、細かいパー
センテージの切り方でやった結果、こういう実験をしたいということで、今委員長からも
おっしゃっていただいたとおり、御了解をいただいて、その試験をしたというところでご
ざいます。
もう一つは、これは結果論になりますけれども、排ガス性状という観点を踏まえますと、
含酸素率1.3%相当というのは、エタノールでは3.5%ということになりまして、排ガ
スの観点からは、3.5%より上というのはよくないということになりますので、3.5%
以下について言えば、3%を実験した結果、安全が確認されておりますので、結果として
3%とするのは適当ではないかと考えております。
【御園生委員長】 よろしいですか。ありがとうございます。では、大聖委員。
【大聖委員】 特にエバポエミッションと、それから高温運転性の試験のところですけ
れども、例えば10%ぐらい混ぜますとまずいわけですけれども、その中で、これは報告
書の形でまとめられる際にでも結構ですけれども、高濃度になった時にはどういう対応が
必要かということもコメントされてはいかがと思うんです。既販車に対する対策というよ
りは、せっかく10%までやったんですから、10%をやった時に起こるであろうことが
あって、例えば具体的に言えば、今度はガソリンの方の基材の方のコントロールが必要だ
ということですね、エバポと高温性の試験に関しては。そういうことを少し追求されたら
どうかと思います。
【御園生委員長】 ありがとうございました。
【畑田専門官】 御指摘のとおりだと思っております。エバポそのものを測定した、あ
るいは高温運転性そのものを試験するという時には、ベースガソリンを調整しないで、今
売られている通常のガソリンに10%なり、数パーセントなりを添加して実験したという
ことでございますので、当然御指摘のとおり、蒸気圧なり、蒸留性状が変わってしまって、
そこを調整しないまま試験をした結果がこれだということがございます。
対応としては、これまたおっしゃるとおり、ベース基材の対応というのは一つ考えられ
るわけですけれども、その辺はわかりやすく示していきたいと思います。
【御園生委員長】 ありがとうございます。他にはいかがでしょうか。植田委員、どう
ぞ。
【植田委員】 ワーキングの結果を踏まえて、補足をつけていただいて大変ありがたく
思います。補足について、実際上どういうステップになるのかというのが、わかれば教え
ていただきたいんです。
今回、アルコール類、エーテル類が混ぜられる含酸素化合物と想定して、種々の試験を
して、含酸素率1.3%ということになったんですけれども、ここで言われている、今回想
定していなかった含酸素化合物が市場で混合されるといったケースがあった場合、ここで
は安全、排ガス等の観点から必要な検証を行う、適当な措置を講じていくことが必要であ
るということなんですけれども、その場合、誰が問題提起をして、どこが取り上げてとい
うスキームをどこかで別途議論しておく必要はあるのではないかと思います。
【御園生委員長】 何かありますか。
【畑田専門官】 今の植田委員の御指摘ですけれども、特に後半の部分、御指摘のとお
りだと思っていまして、まず一つ、現状の認識について申し上げれば、今普通に物的特性
なども踏まえて、ガソリンへの混合が現実的に想定される含酸素化合物はアルコール類、
エーテル類だと思っていますけれども、もし今、植田委員のお話にあったように、そうで
ないものをまた混合する方々というのが、事業者の方が出てきた場合、まず一義的には、
製造物に対する責任というのは製造者の方は負っていますから、きちんと安全なものを混
合しているというところの説明責任、証明責任というのは、事業者の方が負っていると考
えております。
他方で同時に、国の方といたしましても、こういうような状況がございましたら、ここ
にありますように、問題が生じる可能性が高いと判断される場合には、速やかにそういう
問題を取り上げていく、適切な措置を講じていくということじゃないかと考えております。
同時に、最後植田委員から御指摘がありましたけれども、こういうことに対するスキー
ム、制度づくりについても、今後この燃料政策小委員会の場、もしくは規格検討ワーキン
ググループの場できちんと議論していく必要があると考えております。
【御園生委員長】 よろしいでしょうか。河本委員、どうぞ。
【河本委員】 質問なんですけれども、エタノールの価格とガソリンの価格というのは
どのぐらい値段が、どっちが高いとか、そういうのは現在わかっているんでしょうか。と
いいますのは、もともとこの発想は、ガイアックスが出てきて、こういう話になってきた
わけですから、結局松村さんもおっしゃったように、混ぜる人がどの程度インセンティブ
としているかということになってくるわけで、もし、アルコール、エタノールがそんなに
高くなければ、入れる人がいる、そして、税金の問題も出てくると。しかし、エタノール
が高いものであれば、現実問題、そんなにたくさん入れる人もいないんじゃないかと。
それから、税法上では、混ぜた段階で、それも込みでガソリン、揮発油とみなされてい
ると思うんです。そうすると、3%混ぜると、今計算したんですが、53円80銭掛ける
3%は1.6円なんです。だから、その辺のコストの感じがどうなっているのか教えてもら
えばありがたい。わからなかったら結構です。
【西脇課長補佐】 今の河本委員が御指摘の価格のところなんですが、これから次の海
外調査との絡みで、また別途詳細な報告があるかと思うんですが、今ここで簡単に申し上
げますと、私どもが理解しているのは、今ガソリンの方が、何もかかっていない状態で、
精製上出た段階ですと、もちろん上下はありますけれども、26,7円じゃないかと思っ
ています。
それに対して、エタノールの方は、例えば輸入してきたものが、多分船づけの段階で、
40円台後半から50円ということ、あとこれに、例えば関税とか、さらに今、2006
年までNEDOを通じてアルコールを取引するということがアルコール事業法で定まって
いますので、そうしますと、私どもが理解しておりますのは、市中に出ていくエタノール
の価格という意味では、リットル100円近くなるのではないかと。そういう観点から言
うと、河本委員の御指摘に答えますと、そういう価格差があるというのが現状ではないか
と思っております。
【河本委員】 ということは、あんまり混ぜるというインセンティブは経済的にはない
と考えられますね。
【御園生委員長】 ほうっておいたらないということですね。
【吉田課長】 事務局の方で、短期の課題と中長期の課題を同時並行的に御議論してい
ただいているので、わかりづらい面もあるので、コメントさせていただきます。
先程申し上げましたように、E3というのは、短期緊急の課題ということで取り組んで
きたと。ここから浮かび上がってくる中期につながる話として、先程大聖先生とか、松村
先生からお話のあったE10みたいに上げていった時の話、こういうのをどうするんだと
いうのは、本日の後半で引き続き御議論いただくような課題ということで、これを引き続
き御審議いただきたいと。
それからあともう一つは、植田委員からあった、想定しなかったような新しい燃料とい
うのがぽこっと出てきた時のスクリーニングというのをどうしていくんだというふうなと
ころでございますが、これもまたある意味では、燃料政策小委員会の中期的な課題という
ことで御審議を賜ると、先程西脇の方から説明いたしましたが、そういうような2つの引
き続きの課題というのが短期を整理する中で付随的にあると整理してございます。
【御園生委員長】 ありがとうございます。そういうことで、以前に高濃度アルコール
についてはここで議論を済ませたわけですけれども、今回は既販車に対して、ガソリンに
アルコールをどれだけ混ぜても安全であろうかという観点で議論をしていただいているこ
とになるかと思います。
私から確認の質問なんですけれども、エタノールに関しては、アルミに対する腐食が一
番問題であって、メーンにはそれが理由で3%という線が出たと理解しています。エミッ
ション等については、データを見ると必ずしも明確なトレンドが出ていないものもあるん
だけれども、低いレベルであり結局アルミ腐食の問題が一番シビアになるので、そこで3%
が結論されていると理解していますけれども、それでいいかということ。
もう一つ聞かせていただきたいんですけれども、最後にアルコール類、エーテル類の話
があるんですが、ここは少し飛躍しているとも思えます。混合の可能性が高いと想定され
ないものについては今御議論いただいたとおりなんですが、ということは、最後にふれら
れた幾つかのエーテル、アルコールは混合の可能性が比較的あると判断したのかというこ
と。それから、これ以外にも類似のアルコールとかエーテルがあるんですけれども、それ
は1.3%含酸素率ならば、ここで審議している観点から、混合してもいいということにな
るんでしょうか。
例えば、C3、C4、C5のものはどうかとか、エーテルについて、MTBEが出てい
るから類似のETBEもいいと今回結論したことになるのかどうかについて、お願いしま
す。
【畑田専門官】 まず1点目のエタノールに関して最もキーになったのは、アルミニウ
ムの腐食性であるかという点については、委員長がおっしゃるとおりでございます。
その他、含酸素率を用いて他の部分を規定しておりますけれども、これは行った排ガス
試験において確認されたのは、アルコールの濃度を高めた時に、規制値は超えませんけれ
ども、上昇のトレンドは確認されたということ。それから、今回ではありませんけれども、
以前にMTBE7%を決めます時に実験が行われておりまして、この時は、その瞬間に排
ガスが悪化するということではなくて、数万キロ走った時の排ガス浄化装置の耐久性とい
う観点から定められておりまして、そういった実績を参考にいたしまして、含酸素率から
規定したところでございます。
今回想定したアルコール、エーテルについては、今回ワーキンググループで議論を始め
るといった際にも御審議いただきましたが、確かに混合が想定されるものとして可能性が
高いのはアルコール類、エーテル類の中でも、MTBE、ETBEが代表的なものである
と、こういったものを想定して検討を行うべきだとされておりますので、アルコール類の
中でも代表的なエタノール、プロパノール、ブタノール、エーテル類としては代表的なも
のとしてMTBE、ETBEを想定しながら、検証してきたと。その結果として、このよ
うに御提案しているということでございます。
【御園生委員長】 どうぞ、新井委員。
【新井委員】 河本さんの質問なんかに関連しそうな感じがしましたので、やめてしま
ってもいいかとは思ったんですけれども、私が気になるのは、3%は合理的な、非常に科
学的に推し進めた調査の結果ですので、これに私などが異議を申し立てるつもりは全くな
いんですけれども、これはいわゆる経済活動の方から見ると、この3%というのは、現状
の中では相当強い規制的なものになるのか、あるいはある妥当な範囲で、この範囲で相当、
この分野での経済活動というのができると考えられるのか、その辺のところは、今日の結
論とは直接関係ありませんけれども、視野に入れた場合にどうなるのかというところが聞
きたいんですが、いかがでしょう。
【西脇課長補佐】 今の新井委員の御指摘なんですが、私どもとしては、こう理解して
おりまして、3%の規制なんですけれども、例えば3%というのを量として考えていくと、
例えば、我が国の今のガソリン使用量というのが直近ですと年間6,000万キロリットル
ございますので、もし3%全部入った場合、180万キロリットルになると。
これに対して、今我が国で、飲料分も含めて全体として取り扱われているアルコールの
量が約40万キロリットル、かつ世界全体で生産されているアルコール類の量が約3,00
0万キロリットルで、そのうち貿易されているのが300万キロリットル程度じゃないか
と言われていることを踏まえると、少なくとも今の世界や我が国において、生産流通、あ
と貿易されているアルコールの量からいうと、かなりの量なんじゃないかということで、
3%という数字が、今直接的に規制的なもの、その中で経済活動から見て抑制的なものだ
とは私ども、必ずしも理解しておりません、数字からいうと。
ただ、これと別途の議論として、先程河本委員からの御指摘の中にもありましたけれど
も、エタノールの価格の問題は規制値の話と別途存在していまして、エタノールの価格が
ガソリンと比べて高いという現状、その中でどうやって利用していくんだという課題が別
途あるかと思います。
この点については、今日も後半、世界各国での取り組みに関するプレゼンテーションが
ございますけれども、まさに燃料政策小委員会での中期的な検討の中でどう考えていった
らいいかというのは議論していく、していただきたいと思っております。
繰り返して恐縮なんですが、今回の規制ということだけを見ると、3%という数字自体
は、今の日本のガソリン消費量全体の中の3%ということと、世界、日本のアルコールの
輸出入等を見ていくと、量としては決して抑制的な、規制的な数字ではないのではないか
と考えております。
【新井委員】 もう一点さらに、量的な意味で総体として見た場合は、もちろんそうい
う結論がつくんでしょうけれども、今実態の方が動いている部分があるわけです。その部
分との関連というのを視野に入れておかないと、量の面でこうだと言っても、あまり説得
力がなくなるかなと。
こんな質問をするのも、この種の審議会でいろいろやっていまして、実態的な法を持っ
ていらっしゃる方から、いろいろな、様々なアプローチがありまして、といっても手紙が
来たり、何なりということでありますけれども、あまり例のないケースだったものですか
ら、その辺のあたりが若干気になるということでお尋ねしているわけです。
【吉田課長】 すみません。もう一度繰り返しになってしまうんですが、既に走ってい
る車の安全性、環境特性というふうなことをちゃんと、きちんと維持するという観点から
すると、今回の3%という規制値は科学的、中立的に検証していただいた、ある意味での
必然だと思っております。
他方、繰り返しになりますが、環境とか、バイオマスの活用とかといった観点からもう
少しこういったものを利用していったらいいんじゃないかという御議論も他方で存在する
と。それについて言えば、今西脇が申し上げましたように、この3%というのは、そうい
った活動に取り組もうという方たちにとっては、極めて大きなポテンシャルを秘めた数量
ではないかということを申し上げているというところでございます。
他方、環境にいいからといって、自動車を御利用なさる方の安全性を犠牲にするという
ようなことにはなり得ないというのが、この審議会での一貫した御議論だと承知していて、
新井委員もそれを承知の上で、御確認されていると存じます。
【御園生委員長】 よろしいでしょうか。今の後段の中長期的なことについては、この
後の議題でまたございますので、そこで御意見をいただいて、今後の進め方の参考にさせ
ていただければと思います。
それでは、どうもありがとうございました。先程来の御議論からいいますと、エタノー
ルは3%、それからその他の類似のアルコール、エーテルについては、含酸素率1.3%を
上限値とするということで、若干御指摘があった点は改めるようにしたいと思いますが、
御了承いただいて、よろしゅうございますか。どうもありがとうございました。それでは、
そのようにさせていただきたいと思います。
では、事務局から今後の予定について、御説明をお願いいたします。
【畑田専門官】 本日この場で取りまとめていただいた内容につきましては、これを反
映する省令の概要という形にいたしまして、パブリックコメントのプロセスに入らせてい
ただきたいと考えております。
それで、この場をおかりしまして、資源燃料部長の細野より一言御あいさつを申し上げ
させていただきたいと思います。
【細野部長】 大変活発な御議論をありがとうございました。ただいま御議論が出てお
りましたとおり、この委員会の検討すべき課題、あるいはその周辺の話というのは、まだ
まだこれからより深めていただく途中でございますが、先程課長からも申し上げましたけ
れども、先般品確法の法律を改正させていただいて、これの施行を3カ月後に控えている
現状において、とりあえず今、アルコールを混ぜていい上限許容値というものを定めてい
ただく議論を委員長の方で取りまとめていただきまして、まだ議論が途中であるというこ
とを踏まえた上で、改めてお礼を申し上げたいと思います。
今、事務局から申し上げましたように、パブリックコメント等、まだこれからさせてい
ただきますので、それを経た上でございますけれども、今、御議論いただいたラインで、
8月28日の法施行に間に合うように、経済産業省令の方に反映させていただきたいと思
っております。
もちろん、それを踏まえまして、既存の車を前提としました3%規制につきましては、
8月28日以降の実施について、万般遺漏なきよう、事務局の方としても、御議論をいた
だいた精神とか、背景を十分踏まえまして、責任を持って対応させていただきたいと思っ
ております。
まさに議論途中でございますが、今の議論を越えた、いろいろな社会的経済的、あるい
は技術的な課題を引き続き深めていただくと。特にバイオマスの絡みでは、格別の議論が
あろうかと思います。従いまして、この点で、引き続き御議論をちょうだいいたしまして、
より広い燃料政策の実現にお力添え、あるいはお知恵をおかりしたいと思いますので、よ
ろしくお願い申し上げます。
とりあえず途中でございますが、一言御礼をさせていただきます。ありがとうございま
した。
【御園生委員長】 よろしくお願いいたします。
では、次に議題2としまして、バイオマス燃料の海外調査についてということで、説明
を事務局からお願い申し上げます。
【吾郷課長補佐】 恐れ入ります。資源エネルギー庁の新エネルギー対策課の吾郷と申
します。本日は、調査に御協力いただきました三菱総研の井上さん、福田さんにも御同席
いただいています。よろしくお願いします。それでは、始めたいと思います。次のページ
をお願いします。
今回のテーマは、海外で実際どのようにバイオマス燃料が使われているだろうかという
ことを簡単に国別に御紹介するという趣旨でございます。対象国としては、アメリカ、E
U、それからEUの政策に加えて、欧州主要国、具体的にはフランス、ドイツ、スウェー
デンでどんな政策がとられているか。それからブラジル、それからアジア諸国として、中
国、インド、タイを御紹介申し上げます。
調査事項としては、バイオマス燃料がどの程度使われているか、どんな背景で導入され
たのか、どんな施策がとられているのか、値段はどの程度のものなのか、今後どう進んで
いくのかということを御紹介しようと思っております。ただ、国によりまして、入手でき
るデータが精粗ございますので、その点は御了承いただきたいと思います。次、お願いし
ます。
今日、議論をさせていただきますバイオマス燃料というのが、どういうものかというの
を御紹介したページでございます。一番上にございますとおり、本日取り上げますのは、
まず1番目はエタノールでございます。これは我々は今バイオ燃料のことを議論しようと
しているわけですけれども、エタノールはバイオマスで作るもの以外にも、石油起源の合
成エタノールというものもあるということを御承知おきください。ただ、生産量ベースで
いいますと、バイオマスで作られるものが9割以上を占めていると聞いております。
エタノールをガソリンに混合するわけですが、例えば、5%混合すれば、混合されたガ
ソリンのことをE5、それから10%まぜればE10というような表記が一般にされてお
りまして、この資料でもこれを使っております。
それから、ETBEというものがございまして、これはエタノールとイソブチレンから
作られる化合物でございまして、これももともとの原料であるところのエタノールをバイ
オマスで作れば、バイオ燃料というのに該当するということでございます。これもガソリ
ンに添加させて使われております。
次に、BDFというのが書いてございますが、Bio Diesel Fuelの略でございます。これ
は、主に植物系の油、菜種とかヒマワリ、大豆、パームといった油を搾って、それをエス
テル化すると。これを軽油に混ぜて使うなり、場合によっては、100%軽油の代替物と
して使うというものでございます。これも、混合比率に応じて、例えば、BDFを5%混
合したディーゼルオイルのことをB5、20%であればB20と申します。次、お願いし
ます。
まず、世界全体でどの国でどれぐらいものが作られているんだろうかということを御紹
介いたします。エタノールについては、全体の生産量で申しますと、およそ3,000万キ
ロリットルから3,500万キロリットルぐらいの推移になっております。主な生産国であ
りますが、1番がブラジル、世界生産の半分近くを占めております。2番がアメリカ、3
番、中国、4番、インド、以下ロシア、フランス、イギリスと続いております。
この統計は、エタノールの生産量でございます。従って、合成アルコールの数量も含ん
でございます。ただ、先程申し上げましたとおり、バイオエタノールの方が比率的には非
常に多ございますので、これでバイオ燃料の傾向もわかるんじゃないかということでござ
います。5位以下のロシアとか、イギリスとかというのは、相当合成のものが入っている
と思います。次、お願いします。
それで、作られたエタノールというのが、何に使われるかというのを示したのが、この
図でございます。これから議論いたします燃料用が一番多くて、6割超でございますが、
その他に、工業用原料として20数%、それから、お酒として飲むものが15%ほどござ
います。
今後について申し上げますと、飲料用のものはそれほど増えないのではないかと言われ
ておりまして、工業用のものは、世界のGDPの伸びにつれてそこそこ伸びていくと言わ
れております。そういう意味でいいますと、今後は燃料用のシェアというのが少し上がっ
てくるのではないかと言われているそうでございます。次、お願いします。
今度は、BDFの生産量がどこの国にどれぐらいあるだろうかというのを示しておりま
す。一番背が高いのがドイツでございまして、次がフランス、その次がイタリア、この3
カ国で相当な部分を占めているということでございます。
それでは、各国別の説明に移らせていただきます。まず、アメリカでございます。導入
の背景、目的をまず御紹介いたしますと、エタノールについては、戦前にも何度か使われ
た実例はあるようでございますが、本格的に広がってきたのは、オイルショックの頃を契
機に、石油代替燃料として注目されたということ。それから、次に1990年以降、大気
汚染防止の観点から、一定の地域については含酸素剤を添加するような義務づけの法律が
できまして、この関係で使用量が増えたということ。それから、法規制がかかっていなく
ても、オクタン価調整剤としてこれが用いられることもあるということ。それから、オク
タン価調整剤として、ないしは含酸素剤として使われているMTBEという物質がござい
ますが、これが最近地下水を汚染するのではないかということで、使用を禁止する、ない
しは自粛する動きが出てきていまして、代替物としてエタノールを使おうという動きもご
ざいます。それから、アメリカはもともとエタノールを作る原料でありますトウモロコシ
の大生産国でありまして、そういう意味で背後には農業振興の観点というのも非常に色濃
く出ているということでございます。
BDFにつきましては、まだ生産量も少ないので、それほど大きな政策というのは打ち
出されていないのですが、やはり農業振興の観点と、近年では温暖化対策という観点が着
目されております。
エタノールとBDFについてそれぞれどんな原料を使って作っているのかというのが次
に書いてございまして、エタノールについて申しますと、トウモロコシを原料に作られて
おります。ただ、アメリカで作られているトウモロコシの10%分ぐらいがエタノールに
回っているそうでありまして、人間が食べるものや、家畜が食べるものに比べて、ものす
ごく比率が大きいということでは決してないようでございます。それから、BDFは大豆
で作られております。ですから、どちらも国内生産で主にアメリカの中西部で作られてい
るものを使っているということでございます。
右側に移りまして、それをどうやって車に適用しているんだろうかということなんです
が、ガソリンに10%混合したE10というもの、ないしは類似の、先程申しました含酸
素燃料として法規制がかかっているものは、10%よりはもう少し比率が低い場合もある
んですが、それをまとめてE10と申しますと、それが大部分でございます。その他、政
府の車両とか、そういったものについてはもっとエタノールを使おうということで、E8
5という規格の専用車両を使った利用というのも一部なされているということでございま
す。それから、バイオディーゼルについても、普通の軽油に2%ないし20%混ぜたもの
が主に使われております。
販売状況の方ですが、今申し上げましたとおり、E10以下のものについては、全米の
主要都市で相当幅広く利用可能になっておりますが、E85の方は極めて限定的なスタン
ドで販売されているという状況のようです。それから、BDFにつきましても、ここにB
DFは89カ所のスタンドで販売と書いてございますが、これは多分B100のことであ
りまして、B2ですとか、B20とかですと、中西部の、まさに大豆を生産しているあた
りの州ですと、相当数のスタンドで売っているようでございます。次、お願いします。
価格でございます。ちょっと見にくいのですが、左側の図をご覧いただきまして、エタ
ノールの線が一番上の線でございます。それから、普通のガソリンが一番下の線でござい
ます。従って、価格差が30セントとか40セントとか、もう少し大きい場合もあります
けれども、あるというのが見てとれると思います。ただ、この価格は、油槽所渡しの価格
でありまして、この後、ガソリンスタンドで売られる時には、下に書いてございますが、
連邦税の減税措置がついておりまして、そこが一部補われる形になっているということに
なっております。
それから、右側の生産量と供給能力の方でございます。先程申し上げましたとおり、M
TBEをエタノールに代替するという動きもございまして、近年米国での生産量は急速に
伸びております。逆に申しますと、需要に合わせて生産が伸びているというのが実態かと
思われます。次のページ。
それから、BDFの価格でございます。これもやはり価格差が、ガロン当たりで10か
ら20セントあるということでございます。リッターに直すと3から6円ということでご
ざいます。これを埋めるための連邦レベルでの税制優遇措置というのは現状のところはな
いようでございます。ただ、アイダホとかアリゾナとか、メリーランドとか幾つかの州で
は、一部州レベルで減税措置が講じられているということだそうでございます。次、お願
いします。
もう半分説明してしまった形になりましたが、政策面ではどういう形になっているだろ
うかということでございます。左側が連邦の政策を書いてございますが、まず一つは、先
程申し上げました大気汚染防止法で、CO濃度やオゾン濃度が許容水準以上の地域に含酸
素燃料の使用を義務づけているということでございます。これは、必ずしもエタノールを
使わなければいけないというものではないわけですけれども、エタノールないしはMTB
Eを使うのが主流だそうでございます。含酸素規制で使われているエタノールの燃料用エ
タノールの量というのが、多分燃料用エタノール使用量のおよそ半分ぐらいを占めている
と言われております。
それから、2番目の政策として、排ガス性状の試験についての扱いがございまして、エ
タノールの含有量を増やしますと、NOxが増えると言われているわけですが、排ガス性
状の試験をする時には、エタノールを入れない状態、ガソリンの状態で試験をするという
仕組みがどうもとられているようでございます。
それから3番目は、先程御紹介しましたとおり、税制の面で連邦のガソリン税、道路財
源でありますが、これの減税がなされているということでございます。
それから、右側に移りまして、州の政策ですが、これはたくさんあるので、代表的なも
のを書いてございますが、先程申し上げましたとおり、カリフォルニアでは2003年ま
でにMTBEの使用を禁止するという動きがございます。私の知る限りでも、同様の動き
が10州以上の州であるように聞いております。
それから、イリノイ州を例に引いてございますが、州でも売上税の減税措置を講じてい
るところがございます。生産者に対する補助金を出している州もございます。特にミネソ
タ州については、ガソリンへの10%のエタノール混合を義務づけております。これは、
もともと連邦法の大気汚染防止法の関係で、ミネソタ州の都市部が指定されて、含酸素規
制を受けていたわけですが、それをある種引き継ぐ形で州独自の規制としてエタノール混
合を義務づけております。
また、ミネソタ州は、バイオディーゼルについても2005年から一定の条件のもとに
混合を義務づけるという法律を既に施行しております。
次にヨーロッパでございます。EU全体としましての政策をまず先に御紹介いたします
と、EUでは近年、再生可能エネルギーの比率を高めるという取り組みを非常に強く打ち
出しておりまして、1997年に出されましたホワイトペーパーで、2010年に再生可
能エネルギー供給比率を12%にするということをうたっておりまして、このうちバイオ
マスを7%というようなことが書いてあるそうでございます。
それを受けて、2000年のグリーンペーパーというのが出まして、この中で特に輸送
用燃料の分野では2020年までに20%を石油代替燃料で賄おうという目標を掲げてお
ります。多分現状では石油代替燃料比率というのは、コンマ数パーセントのレベルだと思
いますけれども。その石油代替燃料の中で、バイオマス燃料というのが期待できる三本柱
のうちの一つと位置づけられていると聞いております。
こういうこともありまして、EUとしてバイオ燃料を入れていくということの政策目的
としては、石油代替としての石油依存度の低減、それから温室効果ガスの削減、大気汚染
の防止、雇用・新規産業創出、それから農業振興というような観点から、こういった施策
が打ち出されているようでございます。
今御紹介した2つのホワイトペーパー、グリーンペーパーをさらに具体化するEUの指
令として、2003年5月17日に成立した、「バイオ燃料導入促進に係る指令」というの
がございます。これは、EUの加盟国各国ごとにバイオ燃料の使用に関する目標値、全体
の燃料使用量に対する比率、パーセンテージを決めなさいということがまず書いてござい
ます。
ただ、これが義務値ではなくて、目標値という書きぶりになっておりまして、どこまで
それをぎりぎり義務的にするかというのは非常に議論になって、結局目標値に落ちついた
ということでございます。
目標値の参考値として、2005年に2%、2010年に5.75%という指標が一応デ
ィレクティブ──指令には書いてございますが、各国は別にそれに従わなくてもいいと。
ただし、従わない場合には、どうしてその差が出るのかという客観的説明を後で報告して
くださいという仕組みになっているそうでございます。そういった目標を定めた上で、そ
れが実態的にどれぐらい使用されているのか、それからシェアを高めるためにどんな措置
をとったのかという各国の状況を毎年欧州委員会に報告するという仕組みになっておりま
す。
それから、最後のところですけれども、エタノール5%、BDF5%以上混入した燃料
については、ラベル表示をするなどの情報公開の必要性も書いてあるそうでございます。
次に、ヨーロッパの国を3つ御紹介します。フランスとドイツとスウェーデンになると
思いますけれども、それぞれ違ったものに取り組んでいるものですから、その3つを選定
したということでございます。
まず、フランスにつきましては、エタノールをETBEに変えて使っております。先程
御紹介したアメリカは、エタノールをそのままガソリンに混ぜておりましたが、そうでは
なくて、失礼、アメリカでは両方あるのかもしれませんけれども、フランスでは、原則、
エタノールはみんなETBEになってバイオマス燃料が使われているということでござい
ます。上限は15%だと思いますが、実態的には、6,7%混ぜられているというのが通
例だそうでございます。もともとの原料たるエタノールを作るのには、フランスの小麦、
てん菜──砂糖大根が原料になっているそうでございます。
それから、BDFにつきましても、軽油への5%混合──BDF5を利用しているとい
うことでございます。一部公共車両にBDF30という規格も使われているということで
ございます。ちなみに、BDFの原料は、菜種、ヒマワリなどの国産原料になっておりま
す。次、お願いします。
フランスは、施策的にはどんなことをしているかということですが、こちらでも石油に
係る税金の一部免除というのが行われております。それから、免税額の総額があまり大き
く広がらないようにという配慮のようでございまして、割り当て制をとってございます。
つまり、この税制優遇が受けられるエタノール、ETBEの総量を割り当てで規制してい
るということのようでございます。次、お願いします。
次はドイツでございまして、ドイツは、バイオマスエタノールは現状、燃料用にはほと
んど用いられておりません。他方、BDFの方でございますが、こちらはドイツではニー
ト利用──100%のBDFを軽油の代替燃料として使うというのが一般的でございます。
使用量としては、BDFとしては世界一でございまして、軽油の総消費量の1%以上を占
めるまでに急速に伸びてきているというのが右側でごらんいただけると思います。給油ス
タンド数も、全スタンドの約1割ぐらいに達しているということでございます。次、お願
いします。
ドイツについてどんな施策をとっているかというのがこのペーパーでございまして、ド
イツにおきましても、ガソリン、軽油等にかかります鉱物油税が免税になっております。
ただ、どうもドイツでは100%鉱物油を使っていないと、税金が免税にならないという
ことで、例えば、エタノールを5%まぜても鉱物油税はかかるという仕組みになっている
そうで、そういう意味でも、BDFがニートで使われる、100%で使われるという傾向
が作られているのかもしれません。次、お願いします。
次に、スウェーデンでございます。生産規模からいいますと、先程御紹介したフランス
やドイツに比べますと、量は少のうございますが、スウェーデンは、フランス、それから
御紹介しませんでしたスペインのように、エタノールをETBEに変えて使っているので
はなくて、アメリカのように、エタノールのまんまガソリンに混ぜるということをしてお
ります。使われ方としては、E5が極めて一般的に使われておりまして、その他、E85
というものも専用車を対象に使われているということでございます。
その下の方ですけれども、税制措置はどうかと申しますと、やはりこちらでも税制措置
が講じられております。特にこちらは、例えば、バイオ燃料が5%しか入っていなくても、
根っこから税制優遇をするという仕組みになっているようでございます。
ちょっと調子が悪いですけれども、皆さんお手元の紙をご覧いただいて、時間の節約の
ために続けさせていただきます。
次、ブラジルについてでございます。お手元のページでいいますと9ページ、スライド
番号でいいますと17ページでございます。ブラジルについては、1930年代から何度
かガソリンに5%のアルコール添加を義務づけてきたところであります。石油価格の上下
に伴って、やったりやらなかったりという状況が続いていたわけですけれども、1973
年の石油危機をきっかけに、プロアルコール計画というのが作られまして、補助金も相当
入れて、エタノールの価格をある程度下げて、急速なエタノールの普及を図ったというこ
とでございます。1979年には、アルコール専用車というのを作りまして、含水アルコ
ールを入れて走るニート利用のアルコール車も普及してきたということでございます。
他方、1990年代から、プロアルコール政策というのが若干後退してきまして、エタ
ノール専用車の新車販売数もぐんと下がりました。むしろエタノールを混ぜたガソリンの
利用が主流になっているということでございます。
次のページ、スライド18でございます。今申し上げましたとおり、エタノールをその
もので使う車がある一方で、ガソリン自体にもエタノールを政府の決めた比率だけ混ぜな
ければいけないという義務づけの法律をブラジルは持っております。混ぜる率は、20%
から24%とか25%ぐらいまでの間で変動いたします。これは、政府が砂糖市況とか、
需給状況を見て決めるということで、比較的毎年微妙に比率が変わりまして、最近の例で
すと、2003年2月には25%だったものを20%に下げるというようなことをしてい
るようでございます。
ただ、最初御紹介しました、1970年代の補助金を出してエタノールの価格をコント
ロールするやり方というのは、最近、行政改革の流れでなくなってきているということで
ございます。
次のスライド19をご覧いただきますと、自動車生産台数の推移が年次を追って書いて
ございます。1980年代にはエタノール専用車の方が、ガソリン車よりも多く作られて
いたわけですけれども、近年になってきますと、ほとんどがガソリン車になってきている
というのが見てとれると思います。
次にスライド20をご覧いただきますと、エタノール自体の生産量が書いてございまし
て、こちらの国ではエタノール専用車に使う含水アルコールと、先程申し上げましたエタ
ノールを20数%含んだガソリンに使う無水アルコールと両方作っているものですから、
それが色分けして出ております。
現状ではほぼ半々ぐらいの状況になっております。近年生産量が上がったり下がったり
しておりますが、これはこの国がエタノールをサトウキビから作っているものですから、
砂糖の値段が上がれば、砂糖の方に生産がシフトする、エタノールの生産が落ちるという
傾向がございまして、そういった関係もありまして、生産量が比較的ぶれるということで
ございます。
それから、次のスライド21が、ブラジル国内での燃料価格でございます。エタノール
が下の線、ガソリン、ガソホールというべきかもしれませんがエタノールを20数%含ん
でいるガソリンが上の線でございます。熱量を勘案しましても、エタノールが少し低いの
という感じでございます。
最後に、ごく簡単にアジア諸国の動向を申し上げたいと思います。1番目が中国でござ
います。中国は、エタノールの生産量でいいますと、世界で3番目ということでございま
すが、比較的多くの部分が、飲料用と言われております。燃料としてエタノールを使うと
いうことについては、今まさに試行実験中のようなところでございまして、「稼動中、建設
中のプラント」と書いてあるところに、省の名前が3つ書いてございますが、そのうち2
つの省、黒龍江省と河南省では今、合わせて5つの都市において実証試験をしているとい
うことでございます。E10の実証試験をしているという状況だそうでございます。
そもそもなぜこのようなことを中国が始めたかという理由づけでございますが、限られ
た資料ではございますけれども、一番の関心事はWTOに加盟したということもありまし
て、農業作物の余剰というのが非常に問題になっていて、余剰作物の新たな使い道という
位置づけが強いようでございます。BDFについても幾つか研究がなされているというこ
とでございます。
次、23ページがインドでございまして、こちらも生産量でいいますと、中国に次いで
4番目ということでございます。現状では工業用及び飲料用が半々ずつの利用ということ
になっております。砂糖の生産量でもブラジルに次いで世界2位なものですから、サトウ
キビから作るエタノールとしては、非常にポテンシャルのある国だとは思われております。
2003年1月から、9つの州及び4つの直轄領において、E5の販売、利用を開始し
ているそうでございます。最終的には、これを地域的にも拡大し、濃度としてもE10ま
で引き上げていくということを言っておりまして、これがどんどん順調に進みますと、む
しろエタノールの供給量が足りなくなるのではないかということも言われているそうでご
ざいます。補助金の交付というのが行われておりまして、リッター当たり0.75円ぐらい
の補助金の交付がなされているということです。それから、BDFにつきましても、今、
インドは、自動車というよりはむしろ鉄道用の燃料としての利用を検討しているというこ
とでございます。
それから、最後にタイにおきましても、タイの石油開発公社及びその他の石油会社がバ
イオ燃料の販売を一部開始しているという状況でございます。BDFにつきましても、タ
イでとれますパーム油を使ったBDFを使うということが2002年から始まっていると
いうことでございます。
これで各国の紹介はおしまいなわけですが、最後にそれをまとめますとどういうことに
なるだろうかというと、政策面でいいますと、今この表でいいますと、左側が導入義務づ
けといったような比較的強い政策、右側がある種価格面でのインセンティブという弱い政
策だとすれば、ほとんどの先進国は主に税制措置を講じてきている、混入比率の義務づけ
といったようなものはそれほど多くはないということがご覧いただけると思います。次、
お願いします。
今、御紹介した例からいっても、エタノールを作っている国が燃料用エタノールを使っ
ているという要素は極めて強いと思いますし、原油の輸入比率が高い国が比較的熱心にや
っているという傾向があるかと思われます。次、お願いします。
BDFについても、今申し上げたことは大体同じような傾向が言えるかと思います。次、
お願いします。
以上でございます。ありがとうございました。
【御園生委員長】 どうもありがとうございました。各国の状況につきまして、御丁寧
に御説明いただけたかと思います。ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等ご
ざいましたら、よろしくお願いします。横山委員、どうぞ。
【横山委員】 質問ですけれども、米国のページ、スライド番号9ページ、排ガス性状
試験で、エタノールの含有分が増えると、NOxが増えるんだけれども、「E10ではなく、
ガソリンで排ガス性状試験を実施」と書いてありますね。これはどういう意味なんでしょ
うか。
【吾郷課長補佐】 これはむしろ排ガス試験の時に、エタノール混入をどう扱うかとい
うことなわけですけれども、同じ車で調べても、エタノールの燃料で調べれば、NOxで
いえば、エタノールを混ぜると少し不利に働くわけですけれども、車両の検査自体はガソ
リンで行われていると。つまり、エタノールを入れない形で検査をしているというのは、
もちろんその値自体をどうやって決めるかという考え方にもよるわけですけれども、もし、
同じ基準を当てはめるべきだと考えるのであれば、本来は両方やってもいいではないかと
いうことだと思うんです。
【御園生委員長】 よろしいでしょうか。現実はそうなっているということですね。橘
川委員、お願いします。
【橘川委員】 今の点ともかかわりますし、先程十市委員の質問ともかかわるんですけ
れども、わからないのは、今の話だと、エタノールが多くなるとNOxが増えるという話
だと思うんです。一方で、6ページなどを見ますと、大気汚染防止法改正で、エタノール
を使うということが出されたり、10ページのヨーロッパのところでも、大気汚染対策で、
NOxの削減の脈絡でエタノールを使うという話が出ていて、それと先程の前半の話のと
ころで、含酸素率1.3%というのが、日本のNOx及び排ガス浄化装置の耐久性の基準か
らいくと限界であるという話からすると、そこが矛盾しているように感じるというのが1
点です。
この矛盾が、要するに欧米はNOxに緩くて、逆にエタノールのメリットをとるという
ところでバランスをとっているんだとすれば、今後日本がE10を考えていく時に、現在
のNOxの基準を変える、そういうふうに均衡を移すつもりがあるのかどうか。もし、移
さないでNOxの基準もとり、E10のメリットもとるのだとすると、世界が挑戦してい
ないかなり厳しいことをやろうとしているのではないかと思うので、そういうことを考え
ておられるのか、この辺が質問したい点なんです。
【吾郷課長補佐】 まず、事実関係だけ御説明します。アメリカの大気汚染防止法でむ
しろエタノールなり、含酸素剤を入れなさいという規制がどうしてなされているかという
点につきましては、実は2つの規制がありまして、まず一つはCOを削減するという観点
で、秋冬に含酸素率の高い燃料を使うようにという地域がございます。
それからもう一つは、地上のオゾン濃度削減のために、一年中含酸素率を幾つに維持し
なさいという地域もございます。オゾン濃度の方は、多分揮発成分のようなもの、それか
らスモッグの原因になる粒子のようなものの規制の関係だと聞いております。
【西脇課長補佐】 今の事実関係の方は、吾郷補佐の方から説明したとおりだと思うん
ですけれども、多分今の橘川委員の御質問に正面からお答えしていくと2つ言えて、一つ
は排ガス性状とか大気汚染といった場合にも、COやHCの増加という議論もあれば、別
途NOxの増加ということで、これは私の記憶ですと、以前、松村委員が各国の性状に合
ったという議論をされていたと思うんですけれども、同じ排ガス規制でも、何に重点を置
くかというのが、国によって、国民意識によって違ってくると。
例えば、エタノールを混ぜる特徴として、これはあくまで一般的傾向として言えるかど
うかという議論はあると思うんですけれども、一般的に言われているのは、COは減るけ
れども、NOxは若干増える傾向が見られるのではないかと。これもまた車によっていろ
いろ見ていかなければいけない部分というのがあると思うんです。
そういう意味で、何に主眼に置いて排ガス規制をしていくかというのも国によってまた
違ってくる。それで、私の方で承知している限りでは、例えば、カリフォルニアは、含酸
素分を義務づけて入れていきなさいと。カリフォルニアにおいては、いわゆるロサンゼル
スの有名なスモッグ対策という観点からも、COやHCの削減というところに意識が高い
ということがあるのではないかというのは一つ。
あともう一つの価値観としては、より再生可能資源であるバイオマスエタノールないし
はバイオ燃料、BDFも含めて利用していくという価値観と、排ガス性状のところの価値
観をどういうふうに見ていくのかという議論があって、最後、橘川委員の御指摘があった
ようなところというのは、今後議論としてあるのではないかと認識しているのは、排ガス
の方で、例えばNOxの規制というところで、厳しいあれをとりながら、バイオ燃料を、
バイオマスエタノールに限らず、BDFも含めて利用していくと、新しいチャレンジとい
う部分は一つあるのではないかというのは、論点としてあると思っております。
【吾郷課長補佐】 それから、ヨーロッパの方の部分で、CO、NOx、VOC、粒子
状物質の削減とEUの政策目的の方に書いてあって、今申し上げた、アメリカの方でNO
xが増えてしまうという話と矛盾しているのではないかという御指摘もあったと思うんで
すけれども、EUの政策目的の話というのは、バイオ燃料全般について今後増やしていこ
うという方針を定めたペーパーに書かれている目的の例示です。
従って、エタノールだけではなくて、バイオディーゼルのことも含めて、ふわっとバイ
オ燃料全体として書いてある記述をそのままとってきてしまったので、こういう記述にな
ってしまいました。ですから、これがエタノールの場合に全部当てはまるというものでは
ないということで御了解いただければと思います。
【御園生委員長】 よろしいですか。恐らくNOxについては増えるトレンドはあるけ
れども、後処理その他で、規制値をクリアするのはそんなに難しくないという理解なんで
しょうか。大聖委員、いかがですか。
【大聖委員】 アメリカなどでは古い車が結構ありまして、キャブレタ仕様のものです
とメリットがあるのではないかと思うんですが、電子制御ですとどこまでカバーできるか。
多分、ラムのコントロールを幅広くやっているのではないかと思います。
【御園生委員長】 他に御質問、御意見ございますでしょうか。細かいことなんですけ
れども、今御指摘された点とも関係あるんですけれども、米国の場合のオゾン濃度その他
が、許容水準以上の地域で、バイオ燃料、例えばエタノールを使った車で、州境を越えて
出入りするものについてはどういうコントロールがされているんですか。
【吾郷課長補佐】 多分その地域で売る燃料をということだと思います。
【御園生委員長】 もう一つ、日本の場合ですと、オゾン濃度は環境基準が非常に低く
て、達成率が実際にあまり高くない結果になっているわけです。ですから、例えば、これ
を日本に持ち込むと、かなりの地域がひっかかってしまう可能性がありますね。どうぞ、
八嶋委員。
【八嶋委員】 これはエンジンのほうの方にお聞きしたいんですけれども、今委員長が
おっしゃったように、NOxの低減といいますか、NOxの関係の方は、例えば今リーン
バーン型のエンジンでやられている後処理の触媒とか、そういうので解決できるのはない
かという気がいたしました。
それから、その前に、先程E3の話で、安全性というお話でしたけれども、今お聞きし
ているとほとんどE10前後のものですから、それによる安全性に対してはどのような処
置がなされているんでしょうか。
【吾郷課長補佐】 少なくともアメリカについて言えば、E10向けの対策車が使われ
ているということでございます。それから、エタノールの話を主にということですが、と
いう意味でいいますと、ブラジルが一番濃度が高いわけですが、これもブラジルの規格を
満たすものが使われていると思われます。そういう意味でいいますと、フランスのETB
Eに変えて使うという判断は、そういった観点もあると聞いております。それから、ヨー
ロッパでいいますと、スウェーデンはE5を使っているわけですけれども、E5という数
字というのも、そういった意味での車両への影響ということを考えた上での数字と聞いて
おります。
【八嶋委員】 今日本で、既販車で問題になっておりますような問題は特に起きていな
いということでしょうか。
【西脇課長補佐】 その点なんですけれども、今、吾郷から話がありましたように、ブ
ラジル、アメリカもそれぞれ対応した車を作っていますし、あとヨーロッパにおいても、
ヨーロッパの場合、もともとバイオ燃料が普及する以前から、パイプライン輸送で、いろ
いろなところで作られたガソリンというのが取引されているという現状もあるので、必ず
しも品質が一定していないという現状もあるので、車の方でもともと対策した車がかなり
走っていると。それは、輸出されている、ないしは現地で作られている日本車も含めてで
すけれども、そういう車側の対応があるという前提の上で、E5という水準が決められて
いると承知しております。
【植田委員】 エンジン側の質問があったので、その件だけ、技術的な話としてお答え
しておきます。基本的には、エンジンでNOxが増えるものをどう制御するかということ
につきましては、、ストイキで使うものは、基本的にはフィードバック制御をかけて、燃料
と空気の量を緻密に制御するということが主眼になります。いわゆるストイキで使われる
三元触媒つきのガソリン車というものについては、そういう技術を今一生懸命やっている
という状況に対して、先程言われたようなリーンバーンは、もともとそういう制御ができ
ません。それから、ディーゼルも同じように、そういう制御ができない。
だから、言われたことは逆で、ディーゼルとか、リーンバーンの方がNOxの排出が増
えるものをコントロールする技術が難しいと御理解いただいた方がいいと思います。わか
ります。専門用語がいっぱい入って難い説明になりましたが。要するに……。
【御園生委員長】 ガソリン自動車は後処理をコントロールして、排ガス、エミッショ
ンを小さくすることはできるけれども、リーンとかディーゼルはそれが技術的に難しい。
【八嶋委員】 現状はそうかもしれませんけれども、近い将来かなり解決できる技術と
いうのが出てくるのではないかと期待しているんですけれども、そうでもないんですか。
【植田委員】 それは一生懸命努力はしているんですけれども、例えば、直噴ガソリン
エンジンでも一番問題になるのが、排ガス規制、特にNOxをどうミートさせるかという
のが非常に難しい技術になっていますし、ディーゼルにおきましても、NOx、PMをど
うミートさせるかというのが非常に難しい技術になっている。
例えば、今のガソリンの三元触媒でフィードバックをしたような、制御をしたものの排
ガスレベルと、いろいろなものの実情を比べていただければ、難易度がおわかりいただけ
るかと思いますけれども、そういうものに向かって最大限よくする技術を開発していると
いうことは御理解いただきたいんです。現状の技術の問題点という意味では、説明させて
いただきました。
【御園生委員長】 よろしいでしょうか。いろいろ議論があるところではあると思いま
すが、大聖委員、何かいかがですか。
【大聖委員】 ちょっと細かい話になっちゃうんですけれども、リーンバーンですと、
NOxが多少多目に出ると思うんです。最近の技術ですと、吸蔵型のNOx還元触媒とい
うのがリンバーンにはあるんです。直噴のガソリンエンジンでもそうですけれども、1回
急増したものを吐き出すためのコントロールが、ガソリンを前提にコントロールされてま
すから、アルコールが入ってきたときに、それをもう少しコントロールするのにシビアに
なるという面があると思いますけれども、これはチューニングで何とかできるのかという
のがありますけれども、ちょっと難しい面はあると思います。
【御園生委員長】 なるべくわかりやすくお願いしたいと思います。
【小高委員】 大分話が専門的になって難しくなったみたいなんですけれども、繰り返
しになりますけれども、今の普通のガソリン車というのは、ちょうど空気と燃料の比率が
1対1で燃えるようなところで燃やして触媒を使いますと、NOxもCOもハイドロカー
ボンもとれてしまうというのが、三元触媒の原理なんです。これはどういうふうにコント
ロールしていくかといいますと、排気中の酸素濃度を検出して、燃料の量をかげんしてい
るわけです。
だから、そういうことで、仮にこういう含酸素燃料が入ったとしても、酸素を検出して
いるわけですから、わりと簡単にコントロールできるだろうというのが植田さんのお話だ
ったと思うんですけれども、今度燃費を向上させるということで、だんだん薄く、ストイ
キじゃなくて、リーンで燃やしてくると、今大聖先生……。
【御園生委員長】 空気過剰で燃やすという……。
【小高委員】 空気過剰で燃やすということです。空気の方が多いということです。そ
うすると、常に酸素はいっぱいあるわけですから、酸素を検出してコントロールするとい
うことができなくなると。
今、NOx、吸蔵触媒の話が出ましたけれども、リーンのところで、NOxをためてお
いて、ある程度たまってきたところで、瞬間的に濃くしてやって吐き出すわけですけれど
も、そういうコントロールがガソリーン用にできるだろうと。それから、もっとつけ加え
ますと、例えば、E10ということになった時には、E10用にそういうコントロールも
多分できるだろうと。E10を入れたり、ガソリンを入れたり、あるいはE5とか、いろ
いろな混合率のものに対して、どういうふうに対応していくのかということが一番難しい
のではないかと思います。
外国の話を伺って、特にヨーロッパなんかは陸続きなんだけれども、国によって随分中
身が違うと。そうすると、その辺の問題は起きてこないのかというのが非常に素朴な疑問
として、それを伺いたかったんです。前半は解説で、後半は質問ということです。
【御園生委員長】 ありがとうございました。何かございますか。
【吾郷課長補佐】 もちろん規制が違うわけですから、同じ車が入ってきたら、それは
問題じゃないかと言えば問題かもしれません。現状を申し上げれば、まさにおっしゃると
おり、バイオディーゼルについても、ニートで利用する国もあれば、非常に薄めて使う国
もありまして、具体的に何がどれだけ困っているかというのはわかりませんけれども、規
格が、使い方がばらばらだというのは事実でございます。
【小高委員】 だから、今後ここで検討していく時に、その辺というのは非常に重要な
ポイントではないかと思うんです。
【御園生委員長】 本日は各国の状況について現状をお話しいただいたということで、
今後ここでどういうことを議論すべきかということで、いろいろ御指摘をいただいたと理
解しております。本当にバイオ系の燃料がよいものであれば、各種の技術的、あるいはそ
の他の施策も含めて推進することができるような考え方をすべきですが、技術的な問題も
あるし、燃料として好ましいかどうかという議論もこれからしていかなければいけないん
だと思うんです。先に橘川委員、それから松村委員、お願いします。
【橘川委員】 難しい技術の後で、非常に単純な話で済みません。今日のプレゼンは非
常に情報価値が高くておもしろかったんですが、エタノールの話で、要するに環境と石油
価格との相対価格で入れたという話があったんですが、最後のところで、いや、実は生産
している国が消費しているんだということは、農業の利害があって、エタノールへ行った
という筋も見えてくるわけで、調査されていて、どちらかが本当に筋なのかということを、
印象でも構わないんですけれども、聞きたいんです。
【吾郷課長補佐】 この背景というのを、まさにおっしゃる関心で、どこが強いかとい
うのを一生懸命調べようとはしたんですけれども、幾つも並べて、和集合で、合わせ技一
本でやっているというような書き方を、特に公式文書になればなるほど、いろいろなこと
を書いて、みんな役に立つでしょうと書いてありまして、おっしゃるとおり、農業政策と
いう面は非常に強いと思います。特に最近の途上国という意味でいいますと、中国もそう
ですし、インドもそうですし、ブラジルもそうです。EUの各国というのも、まさにそう
ですし、その要素が強いことは事実だと思います。ただ、どれが一番強いかというのは、
私としてもなかなかよくわかりませんので、済みません。
【御園生委員長】 お約束ですので、松村委員からどうぞ。
【松村委員】 先程委員長が最後を締めていただいたような気がするので、申し上げる
ことはなくなっちゃったんですけれども、もう一回、もともとこの委員会では、高濃度含
酸素燃料は、自動車の安全性に非常に問題あるということで、許容濃度はどの程度かとい
うことを決めるために始まった委員会であって、その途中にバイオ燃料、含酸素燃料が出
てきたので、さらにそれを引き伸ばして、いろいろな燃料の供給安定性だとか、流通だと
か、長期的な観点から、バイオ燃料の整理をしておく必要があるということではないかと
思うんです。
そういう意味からすれば、バイオ燃料──エタノールにしたって、バイオディーゼルに
したって、何のためにこれを日本で導入するかというところの整理は、この委員会ではな
いかもしれませんけれども、そこの軸足のところをはっきりしておかないとまずいのでは
ないかと。
つまり、先程言いましたように、日本も独自の事情がありますし、農業振興なのか、C
O2対策なのか、それとも排ガス対策なのか、あるいは燃料の性能向上のためなのか、それ
ぞれ微妙に関連はしてきているわけです。
環境対策であれば、さっきのNOxを落とすのか、ハイドロカーボンを落とすのか、ど
っちの政策を先にとるのか。それによってアルコール燃料の、含酸素燃料の導入の仕方と
いうのは全く違ってくるわけです。本当にCO?対策であれば、どれぐらいCO?の対策に
寄与するのか、これは日本でやるのか、あるいは外国から導入するのか、これだけでも全
然様相は違ってきます。
そこのところの軸足をはっきりしないと、今さっきのような技術論議が生きてこないし、
また、つまらない技術論になってしまう可能性もありますので、できればこの委員会の性
格としても、何のために含酸素化合物、あるいはバイオ燃料を日本の国として導入する必
要があるのかというのを徹底的に議論していただきたいと思いますし、意見をいただきた
いと思います。それがもうよければ、進んでいけばいいということだと思います。
【御園生委員長】 どうもありがとうございました。これから、そういう議論に入ると
思いますので、今の御指摘を尊重してといいますか、本当に重要なポイントだと思います
ので、中心に置いて進めたいと思います。何人かご発言があるんですけれども、時間が押
していますので、簡単に。十市委員どうぞ。
【十市委員】 今の松村委員と同じ意見で、この委員会でどの範囲まで検討するのかと
いうのが非常にあいまいになってきたように思います。技術的な問題、安全性とか、環境
にかかわる問題をやるのははっきりしていたんですけれども、先程の海外の事例でも、結
局補助金といいますか、税制面で相当優遇しないと入ってこないのは明らかですし、そう
いう議論も含めて、ここでやるのかどうかという点を、それは事務局の方でもう一度明確
にしていただきたいと思います。
【御園生委員長】 そうですね。そのポリシーを決めるのはここではないんですけれど
も、どういう問題点があって、どういう視点で見ると、どういうプラスやマイナスがある
かということを明確にすることはしておくべきだろうと思います。
【岸本委員】 最後に1点お聞きしたいんですけれども、米国での調査の中で、アルデ
ヒドに関してはまだ規制がないんですけれども、その辺のところは、米国ではどういうふ
うに対応されているのか、その辺のところがわかりましたら、教えていただきたいんです。
【吾郷課長補佐】 現状では全く知識がありませんので、調べて御報告します。
【御園生委員長】 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。それでは、
横山委員、お願いします。
【横山委員】 じゃ、簡単に。E3がほぼ妥当だということで、次にE10というよう
な話になっていますけれども、やはり需要がないと研究開発の方の上流もドライブされな
いんです。過去、日本も通産省がアルコールの大きいプログラムを2つやっているんです。
やっぱり出口が見えないと、技術もドライブされないので、是非そういう観点からしてい
ただきたいと。その場合、E10の場合には、どういう問題があるのか、どこをクリアす
ればどうかというような話で、前向きに議論をお願いしたいと思います。
以上でございます。
【御園生委員長】 それもご指摘があったということで。山梨委員どうぞ。
【山梨委員】 済みません。聞き漏らしただけかもしれませんが、19番で、最近ブラ
ジルのガソリン車が大幅に増加したという、この理由はどういうことでございますでしょ
うか。
【井上(三菱総研)】 一つには、説明中にも若干あったかと思いますけれども、アルコ
ール価格が従来ほど有利ではなくなってきた、政府の補助金が入らなくなってきたという
話もあります。市場原理の中で戦う中では、やはりガソホールの方が消費者受けしてきた
ということ。あと、車両側の対応として、やはりガソリン車の方が、利便性とかも含めて、
消費者の方に受け入れやすかったということもあると聞いております。
ちなみに、ここでガソリンと書いてありますのは、ガソホール車という意味ですので、
御留意いただきたいと思います。
【御園生委員長】 よろしいでしょうか。私は一つだけ、細かいことなんです。前にも
ここで議論になって、どなたかもおっしゃっていたと思うんですけれども、こういうバイ
オ系の燃料は、地球温暖化、あるいは農業、そういう視点から、本当によいものであれば、
注文のうるさい自動車燃料に使わないで、他の燃料に使ってもいいのではないかという議
論があります。それについて何かコメントをしていただけますか。
【吾郷課長補佐】 ヨーロッパの例で申しますと、たしかバイオディーゼルの生産量で
いいますと、イタリアというのは比較的量は大きいのですが、その利用は暖房用に使って
いるという国もあります。ですから、そういうチョイスをしている国が全くなくはないと
いうのが、まず調査の方からの御報告です。
【御園生委員長】 そうですか。どうもありがとうございました。他にはございますで
しょうか。よろしゅうございますか。
それでは、大変活発な御発言、あるいは貴重な御意見をいただきまして、ありがとうご
ざいました。時間が少し過ぎてしまいましたけれども、これをもちまして、本日の小委員
会を終了させていただきます。
最後に次回の御連絡を事務局よりお願いいたします。
【畑田専門官】 それでは、次回の予定についてでございます。次回の本小委員会につ
きましては、7月23日午前10時から12時を予定させていただいております。次回の
議題といたしましては、今こちらで皆さんに御議論いただいておりましたような、バイオ
燃料の導入意義ですとか効果を議論していただく一環といたしまして、CO2排出の効果と
いった観点から、バイオマス燃料のLCA調査に関する御報告をさせていただきまして、
それについて御議論いただくということを予定しております。追って、事務局より正式に
御案内を送付いたしますので、御出席いただけますように、よろしくお願い申し上げます。
【御園生委員長】 それでは、どうもありがとうございました。これで、閉会いたしま
す。

── 了 ──




審議会全体トップ