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様々なジャンルの方に直接お会いして、ソーシャルメディアの魅力をお伺いする「ツイナビインタビュー」。今回は『劇場版 SPEC~天~』に主演の戸田恵梨香さんと加瀬亮さんが登場です。おふたりは昨年10月から放映されて大好評を得た連続ドラマ『SPEC』、そして4月に映画に先駆けて放映予定のスペシャルドラマ『SPEC~翔~』の主演も務めています。TVドラマから映画と、1年を超えて演じてきた役どころ、さらにプロデューサーで、公式Twitterアカウント「@spec_loc」のツイートを担当されている植田博樹さんにお話を伺いました。

──瀬文は「スペックなんていらねぇー」と否定する役柄ですが、加瀬さんご自身はどうですか?
加瀬  スペックを「特殊な力」というものに置き換えるのであればそうだと思います。僕個人としてはスペックを持っていたら絶対悪用するなって思います(笑)。ただ、マイノリティーと置き換えるならば、また話は変わってきますが。
──映画からは出演者たちの思いを通して大切なことがたくさん伝わってきます。今回の映画でお二人が伝えたかったメッセージというものはありますか?
戸田  映画ではたくさんの謎が新たに提示されていて、これという1つに絞りきるのが難しいです。

加瀬  ワケわからないものができました。すいません(笑)。
──確かに次の展開がこんなに読めない映画もない、と思いました。
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戸田  連続ドラマで伝えようとしていたメッセージが、スペシャルドラマ版ではっきりと分かりやすく描かれています。スペシャルドラマ版では登場人物たちそれぞれの悩みや苦悩が明かされ、強いメッセージ性があります。そこへつながる形で、映画版ではさらに新しい様々な要素がちりばめられ、観る人が100人いれば100様のとらえ方がある形に仕上がっています。ご覧になってくださった方々が、これが映画からのメッセージだとそれぞれ自由に受け止めてくれればうれしいです。特殊能力『SPEC』を持った犯罪者たちと、彼らに立ち向かう特別捜査官たちの物語は奇想天外でいて観る側にも大いに共感できるものがたくさん含まれています。映画を観てから連続ドラマを再度観たくなり、連続ドラマを観れば映画をまた観たくなり、リピート必須の作品です。

──プロデューサーの植田さんは連続ドラマから務められていらっしゃるんですね?
植田  はい、『ケイゾク』からで、最初『SPEC』は『ケイゾク2』としての企画でした。 タイトルも『ケイゾク』の部署の名前で『未詳』だったんですが、それだと意味が分かりづらいし、『SPEC』というタイトルだったら当るかもしれないねと言われて、当るならそれがいいと(笑)、タイトルを『SPEC』にしました。
──「SPEC」というタイトルにはどんな意味が込められているのですか?
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植田  車やバイクの“スペック”と言いますよね。フェラーリだと320キロ出ると書いてあっても、本当は出ない。それと同様に、人間の能力の底に秘められたものがもし100%表に出たらどうなるだろう?と考えました。でも超能力といった言葉は使いたくなくて、新しい用語をつけようと考えて使った言葉です。
──公式ツイッターはドラマ開始と同時に始められたのですか?
植田  はい。ドラマの放映開始とほぼ同時に始めました。会社から“ツイッターをすると宣伝になるし、リアルタイムな記述はブログよりも面白いよ”と言われて“確かにそれは面白そうだ”と思い、始めました。でも最初は“ハッシュタグを付けろ”と言われても分からず、「ハッシュタグって何ですか?」とツイートしたら、“ハッシュタグも分からないで公式を語るなんて”とフォロワーさんに呆れられました(笑)。
──ツイッターらしい交流は生まれましたか?
植田  ファンの方から“ドラマ放映中にリアルタイム中継をやっては?”とご提案をいただきました。そこでドラマの進行に合わせて“ここのエピソードはこうでした”とか、“このアイディアは堤監督のアドリブでした”といった書き込みをして、喜んでくださる方が大勢いらしたのですが、中には“ネタバレ、うざい”と怒って書き込まれる方もいて。なるほどこれはフォロワーさんからすると色々な見方があり、難しいものだと分かりました。失敗続きで、試行錯誤の1年でした。
──しかしそうした即時性と親密感のある交流も他ではありえませんから、そうした意味ではとても面白いですね。
植田  そうですね。その後も熱心なファンの方さんから“一十一(ニノマエ)祭を名前にちなんで1月11日にやりましょう、自分の好きな一十一のセリフをシャウトしましょう”とご提案いただきました。それを見て“こんなに愛されているのか”と思いましたね。それをリツイートして、1時11分にシャウトしましょうと書き込んだところ、実にたくさんツイートしていただきました。そうしたら次には“3月8日はサヤだから当麻(紗綾)の日だよね”とご提案があって、時間も3時8分に合わせて一斉にツイートしていただいたり、その日は1日中“時間には間に合わなかったけれど”というファンの方々からツイートしていただきました。たいへんありがたく感じています。
──最後に映画の見所をTwitterファンのみなさんに向けてお願いします。
植田  『翔』というスペシャルドラマで連続ドラマの最終回で残された謎をすべて解決しています。その上でまた新たな謎を提示して、映画版は初めてご覧になる方も楽しんでいただけるよう制作しました。そしてドラマ・スペシャル『翔』でも、映画版『天』でも、撮影中に主演の戸田さんと加瀬さんから色々とアイディアをいただき、それが物語に生かされています。この『SPEC』というシリーズはスタッフ、出演者、二人三脚で制作していて、その団結力が面白さを支えています。さらに物語そのものについて言えば、映画版『天』で戸田さん演じる当麻と、加瀬さん演じる瀬文の、えもいえぬ関係性が滲み出てきます。日ごろ、堤監督はウエットなラストにはあんまりしない方ですが、この2人の関係に関しては“胸が熱くなる話にしたい”と、そこは強く思われていました。それから映画版の大きな見所として、テレビ版ではできないスペクタルの部分が僕自身、とても衝撃でした。奇想天外なアクション・シーンも戸田さんや加瀬さんは素晴らしく芝居をしてくださり、そこへCGチームががんばって、緩急をつけたかっこいい仕上げをしてくれました。同時にそうしたシーンでは特に観てくださる方がハラハラしながらも笑っていただけるものだといいなぁと思っていましたが、まさにその通りになりました。思い返せば、どんな場面でも戸田さんと加瀬さんが僕らを信頼してやってくださり、本当にお2人はSPECの良心であり、核ですね。


映画『SPEC』そのまま、息の合ったコンビネーションで発言してくださる戸田さんと加瀬さん。合間にちょっと戸田さんが冗談を言えば、加瀬さんが突っ込む。それもどこまで冗談なのか本気なのか?ちょっと謎めいてゆる~い笑いっぽいところも映画そのままで、まるでデジャブのような感覚で取材させていただきました。ありがとうございました。